甘える際に、自分の名前を呼ぶ時の呼び名を入力ください。未入力で「私」になります。
狂気、爛漫。
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「さて」
華やかな彼女はその男の雰囲気に呑まれないように自分のペースを取り戻していった。
「私と勝負する者はどこ?」
ざわざわ……と騒がしくなったのは一瞬で、すぐに再び時間が止まった。手を挙げる者がいない。……いくじなし。つまらない。
「お金ならちゃんとあるの。ねえ、どうしたの?」
誰も名乗りでないとは。本当にここは賭場なのだろうか。眉をひそめた彼女は、高圧的に鼻を鳴らした。
「何よ、こんな店。潰してやろうかしら」
「えっ」
店主が声を上げたので、そちらを見る。
「不満でも?」
「いや……その……。それはそうにしても、お嬢さんは、どこの娘さんなのかなと」
「ああ、失礼。名乗ってなかったわね」
小さく咳払いをすると、彼女は笑みを浮かべた。
「鷲巣舞美よ」
「わ、鷲巣……⁈」
その闇の王の名を口にすると、ほんの一部の人間だけが目の色を変えた。知る人のみぞ知る、というものだ。鷲巣の名が都市伝説のように扱われていたのを思い出すと少し笑える。
「ねえ。それで、この鷲巣舞美と勝負をする漢気のあるお方はいないというの?」
どうやら鷲巣の名を出したのは逆効果だったようで、とにかくこの娘に関わってはいけないといった雰囲気が流れ出した。それでも誰もが舞美から目を離せずにいる。全員が傍観者。
舞美はため息を吐いた。
「失望したわ」
ああ、なんてつまらない結果になったんだろう。雀荘で高レート麻雀を仕掛けたら、どんなに強い相手とヒリついた勝負ができるのか、どうなってしまうのか知りたかったのに。
この雀荘、父に頼んで潰してしまうくらい訳はない。そうなったら店主はどうやって許しを乞うてくるでしょうね? 借金地獄に堕ちる前の人間の足掻きを至近距離で見られるかも……。
なんて考えても、以前ほど愉快にはならなかった。もうそれは何度も見てしまった。
大体の出来事において予想がついてしまうのは本当につまらない。どうなるか分からない時に、それをやってみるのが最高だというのに。最近は色々なことをやりつくしてしまった。
もう舞美の好奇心は、普通のことでは満たされなくなってきた。彼女は非人道的な手段をとることに躊躇いはなかったし、ただそれを頼りに生きてきた。倫理観などとうの昔に消えている。いや、元々そんなものはなかった。
「鷲巣巌の娘と勝負なんか、俺らにできるわけない」
ぼそっと聞こえた声に対して、舞美は上品に嘲笑った。
「なるほどね。よおく分かったわ、ここにはギャンブラーなど1人もいないということが」
そうして、外に出ようと思った時だった。
「……オレが、サシで打とうか」
発したのは、さっきの、あの男だった。
華やかな彼女はその男の雰囲気に呑まれないように自分のペースを取り戻していった。
「私と勝負する者はどこ?」
ざわざわ……と騒がしくなったのは一瞬で、すぐに再び時間が止まった。手を挙げる者がいない。……いくじなし。つまらない。
「お金ならちゃんとあるの。ねえ、どうしたの?」
誰も名乗りでないとは。本当にここは賭場なのだろうか。眉をひそめた彼女は、高圧的に鼻を鳴らした。
「何よ、こんな店。潰してやろうかしら」
「えっ」
店主が声を上げたので、そちらを見る。
「不満でも?」
「いや……その……。それはそうにしても、お嬢さんは、どこの娘さんなのかなと」
「ああ、失礼。名乗ってなかったわね」
小さく咳払いをすると、彼女は笑みを浮かべた。
「鷲巣舞美よ」
「わ、鷲巣……⁈」
その闇の王の名を口にすると、ほんの一部の人間だけが目の色を変えた。知る人のみぞ知る、というものだ。鷲巣の名が都市伝説のように扱われていたのを思い出すと少し笑える。
「ねえ。それで、この鷲巣舞美と勝負をする漢気のあるお方はいないというの?」
どうやら鷲巣の名を出したのは逆効果だったようで、とにかくこの娘に関わってはいけないといった雰囲気が流れ出した。それでも誰もが舞美から目を離せずにいる。全員が傍観者。
舞美はため息を吐いた。
「失望したわ」
ああ、なんてつまらない結果になったんだろう。雀荘で高レート麻雀を仕掛けたら、どんなに強い相手とヒリついた勝負ができるのか、どうなってしまうのか知りたかったのに。
この雀荘、父に頼んで潰してしまうくらい訳はない。そうなったら店主はどうやって許しを乞うてくるでしょうね? 借金地獄に堕ちる前の人間の足掻きを至近距離で見られるかも……。
なんて考えても、以前ほど愉快にはならなかった。もうそれは何度も見てしまった。
大体の出来事において予想がついてしまうのは本当につまらない。どうなるか分からない時に、それをやってみるのが最高だというのに。最近は色々なことをやりつくしてしまった。
もう舞美の好奇心は、普通のことでは満たされなくなってきた。彼女は非人道的な手段をとることに躊躇いはなかったし、ただそれを頼りに生きてきた。倫理観などとうの昔に消えている。いや、元々そんなものはなかった。
「鷲巣巌の娘と勝負なんか、俺らにできるわけない」
ぼそっと聞こえた声に対して、舞美は上品に嘲笑った。
「なるほどね。よおく分かったわ、ここにはギャンブラーなど1人もいないということが」
そうして、外に出ようと思った時だった。
「……オレが、サシで打とうか」
発したのは、さっきの、あの男だった。
