従順な奴隷
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雨降りの夜。
私は傘をさし、ひとり夜道を歩いていた。
歩くにつれ、ぼたぼたと傘に当たる雨音が大きくなってきたので、両手で傘を支えるようにして足を進める。早く家に帰らないと。
そうして人通りのない一本道を歩いていると、前方に人影が見えた。
あ、大変。あの人、傘を持っていない。
こんな雨の中じゃ、きっと風邪をひいてしまう。
傘のない人の後ろで自分だけ雨を防いでいるのは、きまりが悪く思えた。
ああもう、仕方ない。
私はその人の隣までパシャパシャ駆けていって、少し背伸びして腕を掲げ、傘の中に入れてやった。
「あの、途中まで一緒に入りましょ」
「……ありがたいけど、遠慮しておく」
「えっ、どうして?」
ああ、びっくりした。
彼の返答にだけじゃない。
この真っ白な髪の毛は、一体……?
視線を上げると、今度は整った容貌が目に入った。こんな人、いたんだ……。
おまけに、声も妖艶に思えてきた。
なんだかドキドキする。
「それじゃあんたが半分濡れるだろ」
素っ気ない優しさもある。……最高。
彼の前髪から雫がぽつ、と落ち、私は我に返る。
「ううん、全然気にしないで。もし入ってくれないんなら、私も傘を閉じますよ」
「フフ、何それ。お人好しだね」
彼は困ったように笑い、「それなら仕方ない」と私の傘を手にし、
「こっち寄りなよ」
と、鞄を持った方の手で私の肩を抱いた。
「わっ」
私は一瞬びくっとしてから、ぎこちなくお礼の言葉を言った。初対面の男の人に急にこんなことされるとは思わなくて。
でも、おかげで雨が当たらなくなった。
もしかしたら、これは中々良い出会いなんじゃないかな、なんて。
こうなると、女の私はこの人について知りたくなってしまう。
「お名前、聞いても?」
「……赤木しげる」
私はにこりと笑って心の中に彼の名前を残した。
「あんたは?」
「私は東雲舞美です」
「ふうん」
私に興味があるんだかないんだか。
彼は急に、私の方を見る。
「家こっち? 送ってくよ」
気がつけば、一本道はもう終わり。
前方にはわかれ道が現れていた。
「じゃあ、お願いしようかな。ありがとうございます」
もう少しだけ彼と一緒にいたい。
言われてみると、夜に女ひとりで歩くのって、結構危ない気がしてきたし。
「ところで、アカギさんのお家はここから近いの?」
「……オレはそうだと思ってたんだけどね」
「えっ? どういうこと?」
会話が噛み合ってない気がして、聞き返すと、彼は肩をすくめた。
「長く部屋を空けていて、久しぶりに戻ったら、既にそこはオレ名義じゃなくなっていた。まあさっき知ったんだけど」
「それ、つまり追い出されたってこと?」
「そう」
「えっ……、それなら、今夜はどうするつもりで……?」
私が聞くと、彼は少し笑った。
「どうしようね」
「どうしようって……! そんな、雨にも打たれてるのに。風邪ひいちゃう」
「そうだな、あんたの言う通りだ」
私が瞬きを繰り返すと。
「……ねえ、」
と、アカギさんがこちらを覗き込んできた。
「あんた、一人暮らしだよね」
「えっ、そうですけど……」
言い当てられてどきっとする。
するとアカギさんは、くすりと笑って私を見下ろして言った。
「じゃあさ、今夜泊めてくれない。」
私は傘をさし、ひとり夜道を歩いていた。
歩くにつれ、ぼたぼたと傘に当たる雨音が大きくなってきたので、両手で傘を支えるようにして足を進める。早く家に帰らないと。
そうして人通りのない一本道を歩いていると、前方に人影が見えた。
あ、大変。あの人、傘を持っていない。
こんな雨の中じゃ、きっと風邪をひいてしまう。
傘のない人の後ろで自分だけ雨を防いでいるのは、きまりが悪く思えた。
ああもう、仕方ない。
私はその人の隣までパシャパシャ駆けていって、少し背伸びして腕を掲げ、傘の中に入れてやった。
「あの、途中まで一緒に入りましょ」
「……ありがたいけど、遠慮しておく」
「えっ、どうして?」
ああ、びっくりした。
彼の返答にだけじゃない。
この真っ白な髪の毛は、一体……?
視線を上げると、今度は整った容貌が目に入った。こんな人、いたんだ……。
おまけに、声も妖艶に思えてきた。
なんだかドキドキする。
「それじゃあんたが半分濡れるだろ」
素っ気ない優しさもある。……最高。
彼の前髪から雫がぽつ、と落ち、私は我に返る。
「ううん、全然気にしないで。もし入ってくれないんなら、私も傘を閉じますよ」
「フフ、何それ。お人好しだね」
彼は困ったように笑い、「それなら仕方ない」と私の傘を手にし、
「こっち寄りなよ」
と、鞄を持った方の手で私の肩を抱いた。
「わっ」
私は一瞬びくっとしてから、ぎこちなくお礼の言葉を言った。初対面の男の人に急にこんなことされるとは思わなくて。
でも、おかげで雨が当たらなくなった。
もしかしたら、これは中々良い出会いなんじゃないかな、なんて。
こうなると、女の私はこの人について知りたくなってしまう。
「お名前、聞いても?」
「……赤木しげる」
私はにこりと笑って心の中に彼の名前を残した。
「あんたは?」
「私は東雲舞美です」
「ふうん」
私に興味があるんだかないんだか。
彼は急に、私の方を見る。
「家こっち? 送ってくよ」
気がつけば、一本道はもう終わり。
前方にはわかれ道が現れていた。
「じゃあ、お願いしようかな。ありがとうございます」
もう少しだけ彼と一緒にいたい。
言われてみると、夜に女ひとりで歩くのって、結構危ない気がしてきたし。
「ところで、アカギさんのお家はここから近いの?」
「……オレはそうだと思ってたんだけどね」
「えっ? どういうこと?」
会話が噛み合ってない気がして、聞き返すと、彼は肩をすくめた。
「長く部屋を空けていて、久しぶりに戻ったら、既にそこはオレ名義じゃなくなっていた。まあさっき知ったんだけど」
「それ、つまり追い出されたってこと?」
「そう」
「えっ……、それなら、今夜はどうするつもりで……?」
私が聞くと、彼は少し笑った。
「どうしようね」
「どうしようって……! そんな、雨にも打たれてるのに。風邪ひいちゃう」
「そうだな、あんたの言う通りだ」
私が瞬きを繰り返すと。
「……ねえ、」
と、アカギさんがこちらを覗き込んできた。
「あんた、一人暮らしだよね」
「えっ、そうですけど……」
言い当てられてどきっとする。
するとアカギさんは、くすりと笑って私を見下ろして言った。
「じゃあさ、今夜泊めてくれない。」
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