11.所有
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アカギの物言いの裏側に、なんらかの脅しを感じる。ヤクザの方も、そういったことには敏感なようで、素直に負けを認めた。
「アカギ」
私はアカギの方へ走って行った。こういう時、どう言えば良いんだろう。ありがとう、かな。助かった、かな。信じてたわ、とか?
そんなことを模索していると、アカギは私の方をちらりと見てから、顔を逸らして、言った。
「服、着たら」
「あっ……!」
なんてこと。私、この格好のままだった。
安心して気が緩んでた……。
私がどうしてこんなにも安心したのか。自分の身体が惜しかったとか、そういう理由も無いわけじゃないけど、本質的には、きっと違う。そうだったら、まず勝負が終わって、すぐに服を着るはずだからだ。実際には、勝負が終わると、私はまずアカギの元へ行った。
つまり、こうだ。私は、この勝負に負け、ヤクザに引き取られた結果、“アカギから離れる”ことが怖かったのだ。
——私、アカギのこと好き過ぎ。
無性に恥ずかしくなり、お手洗いに走って服を着る。ああもう、やっぱりこんなの私らしくない。恋って、こんなにも思い通りにならないものなの? 全く、嫌気がさす。
服を着替えて出てくると、ヤクザたちが2倍の支払いを終えて出て行くところだった。上納金だか何だか知らないけど、手を付けてはいけない金だったらしく、彼らの未来も危うい。
でも、自業自得。相手から仕掛けてきた博打なんだから。
それにしても、やっぱりアカギはアカギだった。単に、優しい人、とは言えない部分はある。
それも、彼の良いところなんだけど。
私は、アカギに近づいた。
「……これ。あんたの取り分」
「どうして? これはあなたのでしょ」
「東雲の身体を利用して2倍儲けたんだから、あんたに返すのは当然のこと」
アカギは札束を寄越してきた。ので、
「でも、要らない」
と、それを手のひらで押し返した。
「使い道がないもの」
「ま……それはオレも同じ」
つまらなさそうに金を見るアカギ。
その様子を見て、私はある案を思い付いた。
「あ、ねえ。こんなのどう? 帰るまでに、これを全額使えるか試してみるの」
「へえ。良いんじゃない。宵越しの金は持たない、ってやつか」
「そう。私たちには似合わないでしょ」
「決まり」
ということで、私たちは唖然としている雀荘の人たちを横目に、外に出ていった。
でも、夜にこんな大金を使える場所なんていうのは、結構限られているもので。
自然と、周囲はネオンの輝く街なみへと変化していった。
「アカギ」
私はアカギの方へ走って行った。こういう時、どう言えば良いんだろう。ありがとう、かな。助かった、かな。信じてたわ、とか?
そんなことを模索していると、アカギは私の方をちらりと見てから、顔を逸らして、言った。
「服、着たら」
「あっ……!」
なんてこと。私、この格好のままだった。
安心して気が緩んでた……。
私がどうしてこんなにも安心したのか。自分の身体が惜しかったとか、そういう理由も無いわけじゃないけど、本質的には、きっと違う。そうだったら、まず勝負が終わって、すぐに服を着るはずだからだ。実際には、勝負が終わると、私はまずアカギの元へ行った。
つまり、こうだ。私は、この勝負に負け、ヤクザに引き取られた結果、“アカギから離れる”ことが怖かったのだ。
——私、アカギのこと好き過ぎ。
無性に恥ずかしくなり、お手洗いに走って服を着る。ああもう、やっぱりこんなの私らしくない。恋って、こんなにも思い通りにならないものなの? 全く、嫌気がさす。
服を着替えて出てくると、ヤクザたちが2倍の支払いを終えて出て行くところだった。上納金だか何だか知らないけど、手を付けてはいけない金だったらしく、彼らの未来も危うい。
でも、自業自得。相手から仕掛けてきた博打なんだから。
それにしても、やっぱりアカギはアカギだった。単に、優しい人、とは言えない部分はある。
それも、彼の良いところなんだけど。
私は、アカギに近づいた。
「……これ。あんたの取り分」
「どうして? これはあなたのでしょ」
「東雲の身体を利用して2倍儲けたんだから、あんたに返すのは当然のこと」
アカギは札束を寄越してきた。ので、
「でも、要らない」
と、それを手のひらで押し返した。
「使い道がないもの」
「ま……それはオレも同じ」
つまらなさそうに金を見るアカギ。
その様子を見て、私はある案を思い付いた。
「あ、ねえ。こんなのどう? 帰るまでに、これを全額使えるか試してみるの」
「へえ。良いんじゃない。宵越しの金は持たない、ってやつか」
「そう。私たちには似合わないでしょ」
「決まり」
ということで、私たちは唖然としている雀荘の人たちを横目に、外に出ていった。
でも、夜にこんな大金を使える場所なんていうのは、結構限られているもので。
自然と、周囲はネオンの輝く街なみへと変化していった。