「ほら、脱げよ」

下品な物言いで私を見つめる彼ら。

「分かってます」

私はシャツに手をかけ、ばさりと脱いだ。肌が晒される。本当に下着姿になってしまった。

対戦相手は私をじろじろと見る。視姦されているのが分かり、ぞっとして身震いする。
今、彼らが私のどこを見ているのか。
舐めるような視線が気分を害する。

部下の方なんて、女を知らないのだろうか、あんぐりと口を開けて、だらしなく私を見ている。そして、私の視線に気がつくと、バツの悪そうな顔をして、今度はチラチラ見始めた。

私がちらりとアカギを見ると、彼は私の目を真っ直ぐ見ていた。その瞳は、私を勇気付けた。
ああ、多分、これもアカギの計画通りだ。

「あんたが東雲に目を奪われるのも分かるけど。そろそろ再開して良いかな」

アカギが言う。ヤクザは不思議そうだった。

「お前、男のくせに興味ないのか。女の身体に」
「そんなこと言った？ ただ、オレはあんたらと違って、東雲の身体は毎日見てるってだけ」

……いや、なんのブラフ⁈
もちろん、私は毎日アカギに身体なんか見せてない。完全な嘘っぱちだ。
でも、それに効果があったのか、ヤクザたちは苛つき始めた。さっさと私を脱がして、自分のモノにしたい、そんな気持ちをひしひしと感じる。

アカギはにやりと静かに笑った。
少しずつ、アカギのペースに乗せられる彼ら。

そして始まった局。
しかし、それは今までのとは大きく違っていた。
ヤクザたちは、ただただ満貫を作りにかかっている。時たま、私に目をやりながら。それなのに、どうやら部下が差し込まない様子。ヤクザは理由も分からず、貧乏揺すりをしていた。


そんなことをしている間に、アカギから「ロン」の発声。ようやく動き出した、白い悪魔。
が、満貫には届かず。私は服を着ることを許されなかった。……仕方ない。最終的に、私が全裸になる前に対局を終わらせ、点数で勝っていれば良いのだから。


次の局も同じような運びだった。ぼんやりと私を見つめ、舌舐めずりをするヤクザの集中力が尽きていることは、一目瞭然。そんな状態で、アカギと麻雀を打って勝てるわけがないのだ。

アカギはまた和了った。が、満貫に届かない。
ここで私も気付く。わざと、アカギは私をこの下着姿のままにしている。

実は、差し込みというのは、かなり集中力を有する。部下はそれに慣れていないようだったし、何より女の身体に見惚れ、差し込みそのものが出来なくなっていた。満貫だけを狙うがために、自分の手牌が良いと感じれば、上司に差し込むべきところを差し込まず、自分が満貫を和了ろうとしてしまうなども多々見られる。

アカギはこの状態を狙っていたのだ。
現に、少しずつ直撃で点数を得ることで、十分点差は開いていた。

もう、この場はアカギが制したも同義だった。