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それって、どういう意味で……、と言いかけるものの、彼はズカズカと雀荘に入っていくもんだから、私は最後まで言えずに、小走りでアカギを追いかけた。
「やっと来たか」
中にはそっちの道らしき者が2人いて、私たちを待っていた。片方は部下らしい。私はきりりと気持ちを引き締めた。
「ほう、そちらが例の嬢ちゃんか」
「はい、東雲舞美と申します」
私は名乗った。
「間違いない、こいつです」
「なるほど。狐の方は、負けたらこっちに来ることは分かってるんだな」
「ええ、承知の上です。煮るなり焼くなり好きにしてください」
「潔い。ますます気に入った」
アカギは男を睨んだ。
「が、オレが勝てばあんたたちは東雲に手を出さない。それで良いんだよな」
「ああ」
「なら問題ない」
どうやら、雀荘にいる他の人が立会人になるらしい。さらに、目の前にいるヤクザは私を欲しがっているようだが、さらに上の方にも私を欲しがっている人がいるようだ。負けたらどこへ行くのか分からない。
が、心配する必要はない。
私が賭けてるのは、アカギだから。
アカギは、ゆっくり卓についた。私はその後ろに陣取った。
すると、
「ん? どうしてそんなところに」
と、対戦相手に言われた。
「はい?」
「それじゃあ、俺達がよく見えないだろう」
「どういうことですか?」
相手は、いやらしく嗤った。
「ああ、言い忘れてたよ。女を賭ける時は、いつも脱いでもらってんだ」
「……は」
「いやいや、何も今脱げって言ってるんじゃない。満貫以上で和了るごとに、一枚脱いでくれれば良いのさ」
私はアカギを見た。眉をひそめているところを見ると、アカギもこの話は聞いていなかったようだ。
「今の時点では、まだ東雲はオレのもの。勝手にそんなことを決められても困るね」
「困る困らないじゃない。あなた方に選択権なんて存在しないんだよ。それとも、痛い目に遭わないと分からないかな」
仁義もへったくりもない。なんなんだ、こいつら。私は軽蔑の眼差しで彼らを見た。
アカギは、そんな “痛い目” などどうだって良いだろう。こんな脅し、なんともないはずだ。
しかし、たとえ、アカギの喧嘩力でこの場を凌いだとしても、私はヤクザに狙われる身となり、また外出できず寂しい思いをすることになる。
もう、あれは嫌だ。
そこで、私は、覚悟を決めた。
「分かりました。満貫以上を和了る度に身につけているものを1つずつ、脱ぎます」
「東雲」
アカギが、そんなことしなくても、と私を見るが、ヤクザの方は、話のわかる奴だ、などと喜んでいる。私は続けた。
「代わりに、アカギが満貫以上を和了った場合は、私は1つ服を着ます」
「それはその通りだ。流石に、そうでないと燃えないのでね」
「それなら、大丈夫です。受け入れます」
「……なるほどね。新たなリスクが増えたってわけだ。だったら、あんたたちの方も、もちろん失うものを増やすんだろうね?」
アカギが声をあげた。もっともだ。
「その点においては、負けた時に、鑑賞料も含めて、取り決めよりも多額を払うことでなんとかしてもらおう。2倍ってところだ」
「え……、ちょっと、2倍って大丈夫ですか。それは流石に、上からシメられると言うか、」
「黙ってな。こんな白髪小僧に負ける訳ないだろう。……ってことで、それで良いよな?」
「足りねぇな。オレの女の身体を見る機会を得ておいて、たかが倍の支払い。それじゃ足りない。もし負けたら、あんたたちも脱ぎなよ。それで警察 の世話にでもなれば良い。それなら認めよう」
アカギが言うと、そいつらは顔をしかめた。
私は慌てて、
「そんなリスクは要らない。何より私、そんなモノ見たくないわ。汚らわしい」
と言った。それを聞くと、アカギは珍しく、大きな声で笑った。
「あんた、最高だよ」
「え、何が?」
相手を見ると、アカギが挑発した時よりも、怒っているようだった。
「何故怒っていらっしゃるの」
私は小声で言ったが、それはヤクザにも聞こえていたようだ。
「てめぇ、」
「あっ」
私はヤクザを遮った。
「汚らわしいとか言ったから?」
「……!」
「そんなモノとか言ったからかしら」
そう言って、ちらりと相手を見ると、ますます怒っていた。怒らせてしまったのか。アカギだけがただ1人、楽しそうに肩を揺らしている。
「女にこうまで言われちゃ、あんたたちも面目無いでしょ。良いよ。東雲に免じて、2倍の支払いで手を打とう。あんたたちも結構辛いみたいだしね。良いんでしょ、東雲」
「うん。私、アカギのこと、信じてるから。問題ないはずよ、あなたの力量があれば」
「……そう。なら良い」
「アカギに賭けてるから」
——こうして、私1人の変則脱衣麻雀が幕を開けた。
「やっと来たか」
中にはそっちの道らしき者が2人いて、私たちを待っていた。片方は部下らしい。私はきりりと気持ちを引き締めた。
「ほう、そちらが例の嬢ちゃんか」
「はい、東雲舞美と申します」
私は名乗った。
「間違いない、こいつです」
「なるほど。狐の方は、負けたらこっちに来ることは分かってるんだな」
「ええ、承知の上です。煮るなり焼くなり好きにしてください」
「潔い。ますます気に入った」
アカギは男を睨んだ。
「が、オレが勝てばあんたたちは東雲に手を出さない。それで良いんだよな」
「ああ」
「なら問題ない」
どうやら、雀荘にいる他の人が立会人になるらしい。さらに、目の前にいるヤクザは私を欲しがっているようだが、さらに上の方にも私を欲しがっている人がいるようだ。負けたらどこへ行くのか分からない。
が、心配する必要はない。
私が賭けてるのは、アカギだから。
アカギは、ゆっくり卓についた。私はその後ろに陣取った。
すると、
「ん? どうしてそんなところに」
と、対戦相手に言われた。
「はい?」
「それじゃあ、俺達がよく見えないだろう」
「どういうことですか?」
相手は、いやらしく嗤った。
「ああ、言い忘れてたよ。女を賭ける時は、いつも脱いでもらってんだ」
「……は」
「いやいや、何も今脱げって言ってるんじゃない。満貫以上で和了るごとに、一枚脱いでくれれば良いのさ」
私はアカギを見た。眉をひそめているところを見ると、アカギもこの話は聞いていなかったようだ。
「今の時点では、まだ東雲はオレのもの。勝手にそんなことを決められても困るね」
「困る困らないじゃない。あなた方に選択権なんて存在しないんだよ。それとも、痛い目に遭わないと分からないかな」
仁義もへったくりもない。なんなんだ、こいつら。私は軽蔑の眼差しで彼らを見た。
アカギは、そんな “痛い目” などどうだって良いだろう。こんな脅し、なんともないはずだ。
しかし、たとえ、アカギの喧嘩力でこの場を凌いだとしても、私はヤクザに狙われる身となり、また外出できず寂しい思いをすることになる。
もう、あれは嫌だ。
そこで、私は、覚悟を決めた。
「分かりました。満貫以上を和了る度に身につけているものを1つずつ、脱ぎます」
「東雲」
アカギが、そんなことしなくても、と私を見るが、ヤクザの方は、話のわかる奴だ、などと喜んでいる。私は続けた。
「代わりに、アカギが満貫以上を和了った場合は、私は1つ服を着ます」
「それはその通りだ。流石に、そうでないと燃えないのでね」
「それなら、大丈夫です。受け入れます」
「……なるほどね。新たなリスクが増えたってわけだ。だったら、あんたたちの方も、もちろん失うものを増やすんだろうね?」
アカギが声をあげた。もっともだ。
「その点においては、負けた時に、鑑賞料も含めて、取り決めよりも多額を払うことでなんとかしてもらおう。2倍ってところだ」
「え……、ちょっと、2倍って大丈夫ですか。それは流石に、上からシメられると言うか、」
「黙ってな。こんな白髪小僧に負ける訳ないだろう。……ってことで、それで良いよな?」
「足りねぇな。オレの女の身体を見る機会を得ておいて、たかが倍の支払い。それじゃ足りない。もし負けたら、あんたたちも脱ぎなよ。それで
アカギが言うと、そいつらは顔をしかめた。
私は慌てて、
「そんなリスクは要らない。何より私、そんなモノ見たくないわ。汚らわしい」
と言った。それを聞くと、アカギは珍しく、大きな声で笑った。
「あんた、最高だよ」
「え、何が?」
相手を見ると、アカギが挑発した時よりも、怒っているようだった。
「何故怒っていらっしゃるの」
私は小声で言ったが、それはヤクザにも聞こえていたようだ。
「てめぇ、」
「あっ」
私はヤクザを遮った。
「汚らわしいとか言ったから?」
「……!」
「そんなモノとか言ったからかしら」
そう言って、ちらりと相手を見ると、ますます怒っていた。怒らせてしまったのか。アカギだけがただ1人、楽しそうに肩を揺らしている。
「女にこうまで言われちゃ、あんたたちも面目無いでしょ。良いよ。東雲に免じて、2倍の支払いで手を打とう。あんたたちも結構辛いみたいだしね。良いんでしょ、東雲」
「うん。私、アカギのこと、信じてるから。問題ないはずよ、あなたの力量があれば」
「……そう。なら良い」
「アカギに賭けてるから」
——こうして、私1人の変則脱衣麻雀が幕を開けた。