11.所有
名前変換はコチラから
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「まったく。私を賭けるなんて」
早歩きで雀荘に向かいながら、私はぶつぶつと呟いた。
「勝負をするのは良いんだけど、私ってそんなに安いのかしら」
アカギは私の隣に来た。
「いや、あんたは安くないよ。あんたを賭けたんだ。もちろん、相手は普通のやつじゃない」
私は足を止めた。
「え、その辺の人じゃないってこと? 大きな勝負?」
「まぁね。そこそこのヤクザさ」
「へぇ……」
少し、興味が湧いた。まぁ、アカギが私を安く扱ってはいないということが分かったし。
「どうして、私を?」
「前雀荘に東雲を連れて行った時、チンピラが上に報告してたらしい。たぶん、九尾狐が欲しかったんだろ。勝負を仕掛けてきた」
「ああ、なるほどね。でも、それをアカギが受けたっていうのは意外だわ」
「なんで?」
「なんでって……」
「勝負、受けなきゃあんたが何されるか分からないでしょ」
「あ、そっか……」
「まだ甘いな、あんたは」
相手はヤクザなんだから、勝負に応じないとなれば力ずくで私をさらいに来るかもしれない。アカギはまるで、私を守るように勝負を受けたのだ。
「ありがと」
「別に、あんたの為だけじゃないよ」
私はアカギの横顔を盗み見た。
綺麗だ。街のネオンが霞むくらい。
「東雲のおかげでオレも楽しめるんだから」
「どういうこと?」
「ギャンブルは、リスクの分だけ勝負としての楽しみを得られるでしょ」
「それは、分かる。私もそうだったから」
「ただ、オレは、金や自分の命を賭けすぎた。既にリスクとしての価値が薄れつつある」
「なるほどね」
アカギはため息をついた。
「だから、オレは、あんたを賭けることで、また、あの熱を取り戻せるってわけ」
「ええと……?」
「……オレが、あんた——東雲舞美——を失うことを、リスクに感じてるってこと」
「え、嘘。ほんとに?」
嬉しい。アカギが金や自分の命に固執していないということは知っていたけれど、私を失うことは、嫌なんだ。どうしてだろう? 聞けないけど、聞かないけど、でも、今は十分。
アカギは、例の雀荘の前で足を止めた。
「それともあんたは、組の女になりたい?」
そう言って口角を上げたアカギ。
私は目を奪われた。
「まさか。……勝ってよ。負けたら承知しないから」
アカギは、「安心しな」と言い、私の頭にぽんと手を乗せて、扉を開けた。
「——あんたは誰にも渡さない」
早歩きで雀荘に向かいながら、私はぶつぶつと呟いた。
「勝負をするのは良いんだけど、私ってそんなに安いのかしら」
アカギは私の隣に来た。
「いや、あんたは安くないよ。あんたを賭けたんだ。もちろん、相手は普通のやつじゃない」
私は足を止めた。
「え、その辺の人じゃないってこと? 大きな勝負?」
「まぁね。そこそこのヤクザさ」
「へぇ……」
少し、興味が湧いた。まぁ、アカギが私を安く扱ってはいないということが分かったし。
「どうして、私を?」
「前雀荘に東雲を連れて行った時、チンピラが上に報告してたらしい。たぶん、九尾狐が欲しかったんだろ。勝負を仕掛けてきた」
「ああ、なるほどね。でも、それをアカギが受けたっていうのは意外だわ」
「なんで?」
「なんでって……」
「勝負、受けなきゃあんたが何されるか分からないでしょ」
「あ、そっか……」
「まだ甘いな、あんたは」
相手はヤクザなんだから、勝負に応じないとなれば力ずくで私をさらいに来るかもしれない。アカギはまるで、私を守るように勝負を受けたのだ。
「ありがと」
「別に、あんたの為だけじゃないよ」
私はアカギの横顔を盗み見た。
綺麗だ。街のネオンが霞むくらい。
「東雲のおかげでオレも楽しめるんだから」
「どういうこと?」
「ギャンブルは、リスクの分だけ勝負としての楽しみを得られるでしょ」
「それは、分かる。私もそうだったから」
「ただ、オレは、金や自分の命を賭けすぎた。既にリスクとしての価値が薄れつつある」
「なるほどね」
アカギはため息をついた。
「だから、オレは、あんたを賭けることで、また、あの熱を取り戻せるってわけ」
「ええと……?」
「……オレが、あんた——東雲舞美——を失うことを、リスクに感じてるってこと」
「え、嘘。ほんとに?」
嬉しい。アカギが金や自分の命に固執していないということは知っていたけれど、私を失うことは、嫌なんだ。どうしてだろう? 聞けないけど、聞かないけど、でも、今は十分。
アカギは、例の雀荘の前で足を止めた。
「それともあんたは、組の女になりたい?」
そう言って口角を上げたアカギ。
私は目を奪われた。
「まさか。……勝ってよ。負けたら承知しないから」
アカギは、「安心しな」と言い、私の頭にぽんと手を乗せて、扉を開けた。
「——あんたは誰にも渡さない」