2.雀斑
名前変換はコチラから
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
陽の光で目が覚めた。
私はそろりと布団から出る。
自分の他には誰もここに住んでいない。私だけのお城。
ふわあ、とあくびをしてから、朝の準備を始める。そう言えば、と昨日のことを思い出して無意識に笑みがこぼれてしまう。あの赤木しげると一瞬だったけど言葉も交わしたし。
とうとうここまで漕ぎ着けたんだもの。あとは川田組からの連絡を待つだけ。
とりあえず軽食を摂ろう。喫茶店で簡単に済ますのが良いな。金ならあるし。
ギャンブルをしている時は舐められないように出来るだけ大人っぽく振る舞っているけど、周りから私の姿はどう見えているのかな。
最近は自分でも様になってきたと思うけど。
外に出て、当てもなくふらふらと歩き出す。
いつも行くような喫茶店ではなくて、たまには散歩がてら、新しい所に行ってみようか。
夜の私は九尾として恐れられているけど、昼はただの女の子。特に何をするわけでもない。
そろそろ働いたりしても良いかなぁなんて思うけど、今まで勝負事で稼いできたものだから、今更普通に働いたところで、退屈凌ぎにしかならないだろうし。
勝負より面白いものなんて、他に無いって。
そんなことをぼんやり考える。
この時、私は完全に油断していた。
なんだか鼻がむずむずして、
「くしゅんっ!」
と大きなくしゃみを1つ。
と、その瞬間、それを狙っていたかのように、誰かが私に走り寄り、私の鞄を引ったくっていった。
「え、ちょっと!」
別に大金が入っているわけじゃないけど、流石にびっくりする。すると、後ろからまた誰かが走ってきて、今度は私を追い抜き、
「待て!」
と、今の引ったくり犯を追いかけていった。
犯人が逃げていった方向へ私も駆けていくと、私と年の変わらないくらいの青年が、犯人の抱えている私の鞄の紐を掴んだところだった。
「うっ……」
犯人は相当気が弱かったらしい。紐を掴まれただけで鞄を手放し、スタコラと逃げていってしまった。
現場には、私とそばかすのある青年が残った。
「あの、ありがとうございます」
「い、いやいや……」
私が青年にお礼を言うと、頭を掻いて恥ずかしそうに鞄を手渡してきた。中を確認すると、財布もちゃんとあり、何も盗られていない。それを伝えると、彼も嬉しそうにした。
「犯人は逃しちゃったんですけどね」
「そんな、わざわざ取り返してくれただけでありがたいです。きっと、犯人ももう懲りたでしょうし」
「そ、そうですかね」
私は何かお礼をしようと思い、名前を聞いた。
「お名前、伺っても?」
「え、僕ですか?
僕は……野崎治です」
私はそろりと布団から出る。
自分の他には誰もここに住んでいない。私だけのお城。
ふわあ、とあくびをしてから、朝の準備を始める。そう言えば、と昨日のことを思い出して無意識に笑みがこぼれてしまう。あの赤木しげると一瞬だったけど言葉も交わしたし。
とうとうここまで漕ぎ着けたんだもの。あとは川田組からの連絡を待つだけ。
とりあえず軽食を摂ろう。喫茶店で簡単に済ますのが良いな。金ならあるし。
ギャンブルをしている時は舐められないように出来るだけ大人っぽく振る舞っているけど、周りから私の姿はどう見えているのかな。
最近は自分でも様になってきたと思うけど。
外に出て、当てもなくふらふらと歩き出す。
いつも行くような喫茶店ではなくて、たまには散歩がてら、新しい所に行ってみようか。
夜の私は九尾として恐れられているけど、昼はただの女の子。特に何をするわけでもない。
そろそろ働いたりしても良いかなぁなんて思うけど、今まで勝負事で稼いできたものだから、今更普通に働いたところで、退屈凌ぎにしかならないだろうし。
勝負より面白いものなんて、他に無いって。
そんなことをぼんやり考える。
この時、私は完全に油断していた。
なんだか鼻がむずむずして、
「くしゅんっ!」
と大きなくしゃみを1つ。
と、その瞬間、それを狙っていたかのように、誰かが私に走り寄り、私の鞄を引ったくっていった。
「え、ちょっと!」
別に大金が入っているわけじゃないけど、流石にびっくりする。すると、後ろからまた誰かが走ってきて、今度は私を追い抜き、
「待て!」
と、今の引ったくり犯を追いかけていった。
犯人が逃げていった方向へ私も駆けていくと、私と年の変わらないくらいの青年が、犯人の抱えている私の鞄の紐を掴んだところだった。
「うっ……」
犯人は相当気が弱かったらしい。紐を掴まれただけで鞄を手放し、スタコラと逃げていってしまった。
現場には、私とそばかすのある青年が残った。
「あの、ありがとうございます」
「い、いやいや……」
私が青年にお礼を言うと、頭を掻いて恥ずかしそうに鞄を手渡してきた。中を確認すると、財布もちゃんとあり、何も盗られていない。それを伝えると、彼も嬉しそうにした。
「犯人は逃しちゃったんですけどね」
「そんな、わざわざ取り返してくれただけでありがたいです。きっと、犯人ももう懲りたでしょうし」
「そ、そうですかね」
私は何かお礼をしようと思い、名前を聞いた。
「お名前、伺っても?」
「え、僕ですか?
僕は……野崎治です」