9.一組の
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結局勝てた。
数局打ったけれど、潮時だったので、私たちは彼らを適当にあしらって外に出る。敵としてはイマイチだった彼らも、アカギとコンビ打ちをさせてくれたという点においてはとても良い相手だった。新鮮だったし、何より……
「久々に打てて楽しかったわ」
「あんたならそう言うと思ってた」
アカギはまた毟り取れた金を見つめながら、そう言った。何か考え事をしているようだ。
「ふう」
私は幸せのため息をついた。
————————————————————
家に帰ると、私は最短時間で夕飯を作り、アカギに出した。なんというか、朝食から夕食まで一緒にいたのは初めてだ。謎の感動を覚える。
しかし、もう夜も深い。
私は早く寝ようと思って、風呂に入り、今度はしっかり髪を乾かして、布団を敷いた。
しかし、アカギは夕食を食べたきり、寝る支度をする様子がない。
「寝ないの?」
「……あんたは先に寝てな」
「ん……」
私は頷いてから、言う通りにした。
でも、中々眠れなくて、目を瞑りながらも意識のある状態で横たわっていた。
だから、アカギが外に1人で出て行ったことにも気がついた。
ああ、と私は、残念なような、少し安心したような気持ちになった。
アカギはアカギだ。
変わらない。
私が寂しがっていたからと、夜中に出かけなくなる、なんてことはないのだ。
それが普通の女であれば悲しむのだろうが、私はそうではなかったのだ。
むしろ、変わらないことに安心を覚えるほど。
私は、アカギが満たされていないことを知っている。私は彼の乾きを完全に抑えることはできない。でも、ほぼ間違いなく、アカギは私に興味を抱いているんだろうと思う。
それは光栄なこと。
でも、まぁ、できたら、アカギが私に惚れれば良いのに。
そうすれば、私は彼を慰めてあげられる。
そして、私が例の勝負に勝つ。
私たちは、似た者同士。
私は、彼がどこに行ったかは聞かない。
もう、後をつけたりもしない。
けど、その日、アカギが向かった先を知って、私が酷く落ち込んだのは、その翌朝だった。
10.一組の 〈完〉
数局打ったけれど、潮時だったので、私たちは彼らを適当にあしらって外に出る。敵としてはイマイチだった彼らも、アカギとコンビ打ちをさせてくれたという点においてはとても良い相手だった。新鮮だったし、何より……
「久々に打てて楽しかったわ」
「あんたならそう言うと思ってた」
アカギはまた毟り取れた金を見つめながら、そう言った。何か考え事をしているようだ。
「ふう」
私は幸せのため息をついた。
————————————————————
家に帰ると、私は最短時間で夕飯を作り、アカギに出した。なんというか、朝食から夕食まで一緒にいたのは初めてだ。謎の感動を覚える。
しかし、もう夜も深い。
私は早く寝ようと思って、風呂に入り、今度はしっかり髪を乾かして、布団を敷いた。
しかし、アカギは夕食を食べたきり、寝る支度をする様子がない。
「寝ないの?」
「……あんたは先に寝てな」
「ん……」
私は頷いてから、言う通りにした。
でも、中々眠れなくて、目を瞑りながらも意識のある状態で横たわっていた。
だから、アカギが外に1人で出て行ったことにも気がついた。
ああ、と私は、残念なような、少し安心したような気持ちになった。
アカギはアカギだ。
変わらない。
私が寂しがっていたからと、夜中に出かけなくなる、なんてことはないのだ。
それが普通の女であれば悲しむのだろうが、私はそうではなかったのだ。
むしろ、変わらないことに安心を覚えるほど。
私は、アカギが満たされていないことを知っている。私は彼の乾きを完全に抑えることはできない。でも、ほぼ間違いなく、アカギは私に興味を抱いているんだろうと思う。
それは光栄なこと。
でも、まぁ、できたら、アカギが私に惚れれば良いのに。
そうすれば、私は彼を慰めてあげられる。
そして、私が例の勝負に勝つ。
私たちは、似た者同士。
私は、彼がどこに行ったかは聞かない。
もう、後をつけたりもしない。
けど、その日、アカギが向かった先を知って、私が酷く落ち込んだのは、その翌朝だった。
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