1.出会い
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その頃、舞美は帰り道、ある男に捕まっていたところだった。
姿勢を崩さず歩いていたところ、物陰から、「おい。」と呼ばれたのである。
(私?)
周りには人っ子1人いなかったため、すぐに自分を指しているのだと分かった。
東雲という名を知っている者は、わざわざ彼女を狙うようなことはしない。だからこういう時は大体、酔っ払いか不良少年であることは今までの経験から分かっていた。
しかしどう見ても相手が酔っているようには見えないし、少年というような年でもない。
というか、黒服にサングラスをかけたその姿は、極道そのものだった。
とうとう目をつけられたのか、と不安になる。
少し稼ぎ過ぎたか。
でも、最近はこういう人たちの所で勝つことは控えてきたし……。
やはり、暴力を振るう様子もない。
サングラスの奥を睨み付けると、相手は割と友好的に話しかけてきた。
「お前、東雲舞美だろう。探してたんだ。」
「えっと、どちら様?」
「川田組の石川だと言えば分かってもらえるか」
「川田組……」
川田組とは、かつてその組長が偽アカギと呼ばれる平山と、本物である赤木しげるを闘わせようとしたことのある暴力団である。
しかし、藤沢組の囲っていた浦部という男に平山が負け、その後アカギが浦部に勝利したため、結局直接的な対決はなされなかった。
浦部と対峙した際の平山の打ち方を見た組長は偽アカギを見限り、アカギに助けを求めたのである。偽者と本物は闘うまでもなかった。
「それで、私に何か用?」
もしかしたら、代打ちとして呼ばれるかもしれない、と心躍らせる。
こういうチャンスは滅多にない。
「それなんだが、東雲。赤木しげるを知っているか?」
突然、赤木しげるという名を出され内心驚くが、平静を装う。
「もちろん。」
「なら話は早い。単刀直入に言えば、うちの組長が、お前とアカギの闘牌を見たいと言っているんだ」
(えっ)
願ってもない話だった。
胸の高鳴りが抑えられない。
「場所はこっちが用意する。別にアカギはうちの代打ちじゃあないから、負けたからってお前をどうこうすることもない。」
「もちろん、ノーレートってわけじゃないよね?」
賭ける物が在るのと無いのとでは、勝負の質は格段に変わる。ノーレートなんて概念は、舞美の中に存在していなかった。
「あぁ、お前とアカギの間には発生するだろうな。」
「……だろう、って?」
舞美は全てが自分の思い通りになっていくのを感じた。
「その2人で納得する賭けをしてもらうつもりだ。アカギは安い勝負はしない。だから、お前がどれだけ条件を飲めるかで、その勝負が成立するかどうかが決まる。これは大げさに感じるかもしれないが、腕を賭けろなどと言ってくるかもしれん。」
「何それ。」
舞美の本音が漏れる。
「……まぁ、そうだよな。腕は流石に、な。俺だって、若い女に腕を賭けさせたくはない。が、これからアカギと接触出来たら、どのくらいの賭け値であれば東雲と勝負してくれるか、聞くつもりだ。もしそれがお前の許容範囲なら、勝負は成立する。そこで、お前の許容範囲を聞いておきたいんだが、」
そこまで聞いて、舞美は、腕で言葉を制した。
「ちょっと待って、私は別に腕を賭けるのが無理だなんて、言ってない」
姿勢を崩さず歩いていたところ、物陰から、「おい。」と呼ばれたのである。
(私?)
周りには人っ子1人いなかったため、すぐに自分を指しているのだと分かった。
東雲という名を知っている者は、わざわざ彼女を狙うようなことはしない。だからこういう時は大体、酔っ払いか不良少年であることは今までの経験から分かっていた。
しかしどう見ても相手が酔っているようには見えないし、少年というような年でもない。
というか、黒服にサングラスをかけたその姿は、極道そのものだった。
とうとう目をつけられたのか、と不安になる。
少し稼ぎ過ぎたか。
でも、最近はこういう人たちの所で勝つことは控えてきたし……。
やはり、暴力を振るう様子もない。
サングラスの奥を睨み付けると、相手は割と友好的に話しかけてきた。
「お前、東雲舞美だろう。探してたんだ。」
「えっと、どちら様?」
「川田組の石川だと言えば分かってもらえるか」
「川田組……」
川田組とは、かつてその組長が偽アカギと呼ばれる平山と、本物である赤木しげるを闘わせようとしたことのある暴力団である。
しかし、藤沢組の囲っていた浦部という男に平山が負け、その後アカギが浦部に勝利したため、結局直接的な対決はなされなかった。
浦部と対峙した際の平山の打ち方を見た組長は偽アカギを見限り、アカギに助けを求めたのである。偽者と本物は闘うまでもなかった。
「それで、私に何か用?」
もしかしたら、代打ちとして呼ばれるかもしれない、と心躍らせる。
こういうチャンスは滅多にない。
「それなんだが、東雲。赤木しげるを知っているか?」
突然、赤木しげるという名を出され内心驚くが、平静を装う。
「もちろん。」
「なら話は早い。単刀直入に言えば、うちの組長が、お前とアカギの闘牌を見たいと言っているんだ」
(えっ)
願ってもない話だった。
胸の高鳴りが抑えられない。
「場所はこっちが用意する。別にアカギはうちの代打ちじゃあないから、負けたからってお前をどうこうすることもない。」
「もちろん、ノーレートってわけじゃないよね?」
賭ける物が在るのと無いのとでは、勝負の質は格段に変わる。ノーレートなんて概念は、舞美の中に存在していなかった。
「あぁ、お前とアカギの間には発生するだろうな。」
「……だろう、って?」
舞美は全てが自分の思い通りになっていくのを感じた。
「その2人で納得する賭けをしてもらうつもりだ。アカギは安い勝負はしない。だから、お前がどれだけ条件を飲めるかで、その勝負が成立するかどうかが決まる。これは大げさに感じるかもしれないが、腕を賭けろなどと言ってくるかもしれん。」
「何それ。」
舞美の本音が漏れる。
「……まぁ、そうだよな。腕は流石に、な。俺だって、若い女に腕を賭けさせたくはない。が、これからアカギと接触出来たら、どのくらいの賭け値であれば東雲と勝負してくれるか、聞くつもりだ。もしそれがお前の許容範囲なら、勝負は成立する。そこで、お前の許容範囲を聞いておきたいんだが、」
そこまで聞いて、舞美は、腕で言葉を制した。
「ちょっと待って、私は別に腕を賭けるのが無理だなんて、言ってない」