8.変化
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知らなかった。アカギに、そんな風に思われていたなんて。
その、欲しいという感情が、恋心から来ているものではないにしろ、私は欲されている。
嬉しい。
「何にやついてんの」
アカギが不機嫌そうに言った。
「ふふ、なんでもない。気にしないで」
私は言いながら、濡れた髪を撫でた。
「乾かしなよ」
アカギが言う。
「ドライヤー無かったじゃない」
「ああ」
アカギは洗面台とは別の場所を指差した。
「あっち」
「……なんでそんなところに?」
「なんとなく」
アカギは私を見てもう一度言った。
「なんとなく。水も滴 るいい女、って言うから試してみた」
私はアカギの視線に戸惑ったが、
「で、どうだったの?」
と尋ねた。
「まあ」
アカギは意地悪に笑った。
「いいんじゃない」
私は、それは良かった、と言ってからすぐにそのドライヤーを手に持ち、洗面台に向かって、髪を乾かし始めた。
私が今あついのは、ドライヤーの熱風が顔に当たっているからで、決して他の理由があるわけじゃない。
そう簡単に、赤木しげるの思い通りになってたまるか。……まぁ、昨日は色々と甘えてしまったけれど、あれは仕方のなかったこと。
髪を乾かし終えて、櫛 で梳 かし、サラサラと手でその感触を確かめた。うん、綺麗。
それから、鏡に映る跡をもう一度恨めしく睨んだ。
嘘、全然恨めしくはないんだけど。
「アカギ」
私は部屋に戻り、強めに彼を呼んだ。
「なに」
私は首元を指差した。
「これ」
「うん」
「うん じゃない」
「どうかした?」
私は、少しとぼける彼を睨んで、
「結構、残ってる。これ、全然公平じゃない」
と言った。眉をひそめるアカギ。
「これ、私がアカギのものだっていう証として付けた訳じゃないでしょ? だって、それじゃあ私に惚れてるってことになるものね」
「クク……何が言いたい?」
私はその部分を指で撫でた。
「これ、どうして付けたの?」
「理由なんて大したものはねぇな」
「そうよね、それじゃあ」
私は言った。
「この跡を抱えているから、私、数日は外で男に寄り付かれることは少なくなると思うの。でも、それじゃあさっきの勝負に条件の差が出ちゃうでしょ」
私にはこの跡のせいで男が寄らないのに、アカギには女が寄る。だからアカギは他の女で欲とかを発散できるが、私はできない。そうなれば、私の方がアカギに惚れやすくなってしまう。
「これは公平な勝負じゃない」
「ふーん。それで?」
私はアカギの首元に目をやった。
「……私も、同じことをしなくちゃいけないと思うの」
その、欲しいという感情が、恋心から来ているものではないにしろ、私は欲されている。
嬉しい。
「何にやついてんの」
アカギが不機嫌そうに言った。
「ふふ、なんでもない。気にしないで」
私は言いながら、濡れた髪を撫でた。
「乾かしなよ」
アカギが言う。
「ドライヤー無かったじゃない」
「ああ」
アカギは洗面台とは別の場所を指差した。
「あっち」
「……なんでそんなところに?」
「なんとなく」
アカギは私を見てもう一度言った。
「なんとなく。水も
私はアカギの視線に戸惑ったが、
「で、どうだったの?」
と尋ねた。
「まあ」
アカギは意地悪に笑った。
「いいんじゃない」
私は、それは良かった、と言ってからすぐにそのドライヤーを手に持ち、洗面台に向かって、髪を乾かし始めた。
私が今あついのは、ドライヤーの熱風が顔に当たっているからで、決して他の理由があるわけじゃない。
そう簡単に、赤木しげるの思い通りになってたまるか。……まぁ、昨日は色々と甘えてしまったけれど、あれは仕方のなかったこと。
髪を乾かし終えて、
それから、鏡に映る跡をもう一度恨めしく睨んだ。
嘘、全然恨めしくはないんだけど。
「アカギ」
私は部屋に戻り、強めに彼を呼んだ。
「なに」
私は首元を指差した。
「これ」
「うん」
「うん じゃない」
「どうかした?」
私は、少しとぼける彼を睨んで、
「結構、残ってる。これ、全然公平じゃない」
と言った。眉をひそめるアカギ。
「これ、私がアカギのものだっていう証として付けた訳じゃないでしょ? だって、それじゃあ私に惚れてるってことになるものね」
「クク……何が言いたい?」
私はその部分を指で撫でた。
「これ、どうして付けたの?」
「理由なんて大したものはねぇな」
「そうよね、それじゃあ」
私は言った。
「この跡を抱えているから、私、数日は外で男に寄り付かれることは少なくなると思うの。でも、それじゃあさっきの勝負に条件の差が出ちゃうでしょ」
私にはこの跡のせいで男が寄らないのに、アカギには女が寄る。だからアカギは他の女で欲とかを発散できるが、私はできない。そうなれば、私の方がアカギに惚れやすくなってしまう。
「これは公平な勝負じゃない」
「ふーん。それで?」
私はアカギの首元に目をやった。
「……私も、同じことをしなくちゃいけないと思うの」