8.変化
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もう、今ここで振るのか。
私は、目の前のサイコロをじっと見てから、こくりと頷いた。
これを振って不利なのはアカギ。むしろ私にとっては有利なんだから。
唯一気にするべき点は、アカギが外した時、私に与えられる2つの選択肢のみ。この私の選択によっては、アカギの負けも覆るらしい。
とりあえず、私は壺の代わりになるものを探した。そして、目に付いた茶碗をひっくり返して、サイコロを混ぜる。
まさか、私が混ぜる側になるなんてね。
「丁半、揃いました」
と、私が手を止めると、
「丁だ」
ですって。即答ですか……
「勝負っ!」
私は掛け声と共に茶碗を開いた。
急いでサイの目を確認する。
——しろくの丁だった。
「……流石だわ」
「まぁね。ってことで、勝負は続行だ。この期間は……2週間ごとでどう?」
「分かった」
私は承諾した。つまり、あと2週間は私がこの家に住むことは決定したということか。うん。
それで、その間に私がアカギに惚れなければ良い話。そして2週間後に、また丁半。
ここでようやく、アカギが “プライドを賭けて勝負”、と言った意味が分かった。そもそも、私たちはそこまで金欲がない。だから、金を賭けるということ自体、まず間違ってる。だからといって、身の破滅を呼ぶほどの金を賭けたり、身体の一部を賭けたりしては、アカギが私を買った意味がなくなる。
第一、何かを賭ける、というのは、何も賭けなければ真剣勝負が出来ないからこそする行為だ。そこで初めて負けたくないという意思が生まれ、スリルを味わうことができる。でも、私たちは生粋の勝負師。そんなものは必要でないし、むしろ、ここでは金品なんかよりも、互いのプライドの方がその役割を果たす。それは双方、譲れないものだからだ。
要は、根比べ。
……それにしても、私が常にアカギに惚れないように気を張っているのも結構辛いよね、と思った。そこで、
「そう言えば」
と、口を開いた。
「もし、あなたが私に惚れたらどうするの」
「……オレが東雲に惚れたら?」
「そう」
私はぼそりと言った。
「その可能性も、全くないってわけじゃないと思うけど」
「自信があるんだな」
「そういうわけじゃない」
「フフ……良いぜ、オレが惚れたと認めても東雲の勝ちにするよ」
「よし」
「まぁ、東雲は丁半を当てる必要はなく、サイコロを振るだけで良い」
「そう? まぁ、確かにお互いにそれをするとただの丁半博打になってしまうし、妥当か」
「そういうこと」
アカギはもう不要になったサイを元に戻した。
私はその様子を見ていた。
特にすることもなかったし。
というか、そもそも、この家に2人きりだという現状は変わっていないのだ。今日はここで何をするのだろうか? アカギは私に迫ってくるだろうか?
そんなことを考えながら、ぼーっとアカギの横顔を眺めていたのである。
すると、アカギは、
「東雲ってさ、」
と、私を見据えた。
「オレの顔、すきでしょ」
私は、目の前のサイコロをじっと見てから、こくりと頷いた。
これを振って不利なのはアカギ。むしろ私にとっては有利なんだから。
唯一気にするべき点は、アカギが外した時、私に与えられる2つの選択肢のみ。この私の選択によっては、アカギの負けも覆るらしい。
とりあえず、私は壺の代わりになるものを探した。そして、目に付いた茶碗をひっくり返して、サイコロを混ぜる。
まさか、私が混ぜる側になるなんてね。
「丁半、揃いました」
と、私が手を止めると、
「丁だ」
ですって。即答ですか……
「勝負っ!」
私は掛け声と共に茶碗を開いた。
急いでサイの目を確認する。
——しろくの丁だった。
「……流石だわ」
「まぁね。ってことで、勝負は続行だ。この期間は……2週間ごとでどう?」
「分かった」
私は承諾した。つまり、あと2週間は私がこの家に住むことは決定したということか。うん。
それで、その間に私がアカギに惚れなければ良い話。そして2週間後に、また丁半。
ここでようやく、アカギが “プライドを賭けて勝負”、と言った意味が分かった。そもそも、私たちはそこまで金欲がない。だから、金を賭けるということ自体、まず間違ってる。だからといって、身の破滅を呼ぶほどの金を賭けたり、身体の一部を賭けたりしては、アカギが私を買った意味がなくなる。
第一、何かを賭ける、というのは、何も賭けなければ真剣勝負が出来ないからこそする行為だ。そこで初めて負けたくないという意思が生まれ、スリルを味わうことができる。でも、私たちは生粋の勝負師。そんなものは必要でないし、むしろ、ここでは金品なんかよりも、互いのプライドの方がその役割を果たす。それは双方、譲れないものだからだ。
要は、根比べ。
……それにしても、私が常にアカギに惚れないように気を張っているのも結構辛いよね、と思った。そこで、
「そう言えば」
と、口を開いた。
「もし、あなたが私に惚れたらどうするの」
「……オレが東雲に惚れたら?」
「そう」
私はぼそりと言った。
「その可能性も、全くないってわけじゃないと思うけど」
「自信があるんだな」
「そういうわけじゃない」
「フフ……良いぜ、オレが惚れたと認めても東雲の勝ちにするよ」
「よし」
「まぁ、東雲は丁半を当てる必要はなく、サイコロを振るだけで良い」
「そう? まぁ、確かにお互いにそれをするとただの丁半博打になってしまうし、妥当か」
「そういうこと」
アカギはもう不要になったサイを元に戻した。
私はその様子を見ていた。
特にすることもなかったし。
というか、そもそも、この家に2人きりだという現状は変わっていないのだ。今日はここで何をするのだろうか? アカギは私に迫ってくるだろうか?
そんなことを考えながら、ぼーっとアカギの横顔を眺めていたのである。
すると、アカギは、
「東雲ってさ、」
と、私を見据えた。
「オレの顔、すきでしょ」