8.変化
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全く、本当にどういうつもりなの?
私は顔を洗いながら、頭を巡らせた。
身支度を整えて台所へ戻り、朝ごはんを作る。
アカギがそろりと寝室から出てくるのを横目で見て、少し焦った。
彼は私のご飯を待ち始めたからだ。
いつもは作り置きをしているから、こうやって人に見られながら料理をするのは初めてで、なんだか照れくさいし、緊張する。
すると、
「東雲、人妻みたい」
と、アカギがつぶやくもんだから、私は危うく皿を落としそうになった。
「変なこと言わないでよ!」
キッと睨んで言うと、アカギは頬杖をつく。
「なんでそんなことで動揺するかな。今のはあんたの自意識過剰なんじゃないの」
「でも」
「オレは別にあんたを嫁にしたいとか考えてないよ」
「そ、そんなこと分かってる」
私は言った。
「こっちだって、お断りよ!」
アカギはやれやれとため息をついた。
「素直じゃないね」
「私はいつでも素直です」
適当に盛り付けた皿を持って、アカギの前へ置く。
「どうも」
「いーえ」
アカギは相変わらず、黙々と食べる。
私はこの、静かな空間が好きだ。
この空間では、アカギが私の作った料理だけを見て、私の味付けだけに集中しているから。
他のものなんて、存在しない。
ぼーっとしているとアカギを見つめてしまうので、目線を頑張って逸らして、自分も食べる。
うん、今日も味は悪くない。人のために作っていると、やはり上手になってくるものだ。
それにしても、まさか私が自分以外の人のために働くことになるとは。もちろん、アカギが私を買ったからっていうのもあるけれど、それとは別に、この人のためなら働ける、というような、謎の意思が私にはある。
これがまた、厄介だ。
食べ終わると、アカギは美味かった、と言った。私は、ありがとう、と返し、皿を下げる。
「今日のご予定は?」
しびれを切らした私は、中々出て行こうとしないアカギに問いかけた。すると、
「特に」
と、ぶっきらぼうに言われる。
特に、ですって?
あんなに放浪癖のあるアカギが、今日は大人しく家でゴロゴロするっていうの?
あぁ、でも、私もアカギと暮らし始めてまだ少ししか経っていない。彼が普段何をしているか、分かったつもりになっていただけで、割と家で寝ていたりするのかもしれない。
それにしても、少し驚いた。
ってことは、家に2人きり。
「どこにも行かないの?」
「そんなに、オレにいて欲しい?」
「そんなこと言ってない」
「クク……寂しがりやのくせに」
あ、昨日、私、寂しかったから尾行してたって言っちゃったんだ。最悪。恥ずかしい。
「別に寂しくない。良いよ、外出ても」
本当はちょっといて欲しいけど、出てくる言葉は天邪鬼だ。
「ここに住んでるのはオレなんだから、あんたに何か言われる筋合いはないでしょ」
正論だ。
「あんたへのサービスも兼ねてね。舞美」
ドキッとした。
舞美、と人から呼ばれたのは久しぶりだ。
まさかアカギから呼ばれるなんて。
本当に、何を考えているの?
……今日のアカギ、何かおかしい。
私は顔を洗いながら、頭を巡らせた。
身支度を整えて台所へ戻り、朝ごはんを作る。
アカギがそろりと寝室から出てくるのを横目で見て、少し焦った。
彼は私のご飯を待ち始めたからだ。
いつもは作り置きをしているから、こうやって人に見られながら料理をするのは初めてで、なんだか照れくさいし、緊張する。
すると、
「東雲、人妻みたい」
と、アカギがつぶやくもんだから、私は危うく皿を落としそうになった。
「変なこと言わないでよ!」
キッと睨んで言うと、アカギは頬杖をつく。
「なんでそんなことで動揺するかな。今のはあんたの自意識過剰なんじゃないの」
「でも」
「オレは別にあんたを嫁にしたいとか考えてないよ」
「そ、そんなこと分かってる」
私は言った。
「こっちだって、お断りよ!」
アカギはやれやれとため息をついた。
「素直じゃないね」
「私はいつでも素直です」
適当に盛り付けた皿を持って、アカギの前へ置く。
「どうも」
「いーえ」
アカギは相変わらず、黙々と食べる。
私はこの、静かな空間が好きだ。
この空間では、アカギが私の作った料理だけを見て、私の味付けだけに集中しているから。
他のものなんて、存在しない。
ぼーっとしているとアカギを見つめてしまうので、目線を頑張って逸らして、自分も食べる。
うん、今日も味は悪くない。人のために作っていると、やはり上手になってくるものだ。
それにしても、まさか私が自分以外の人のために働くことになるとは。もちろん、アカギが私を買ったからっていうのもあるけれど、それとは別に、この人のためなら働ける、というような、謎の意思が私にはある。
これがまた、厄介だ。
食べ終わると、アカギは美味かった、と言った。私は、ありがとう、と返し、皿を下げる。
「今日のご予定は?」
しびれを切らした私は、中々出て行こうとしないアカギに問いかけた。すると、
「特に」
と、ぶっきらぼうに言われる。
特に、ですって?
あんなに放浪癖のあるアカギが、今日は大人しく家でゴロゴロするっていうの?
あぁ、でも、私もアカギと暮らし始めてまだ少ししか経っていない。彼が普段何をしているか、分かったつもりになっていただけで、割と家で寝ていたりするのかもしれない。
それにしても、少し驚いた。
ってことは、家に2人きり。
「どこにも行かないの?」
「そんなに、オレにいて欲しい?」
「そんなこと言ってない」
「クク……寂しがりやのくせに」
あ、昨日、私、寂しかったから尾行してたって言っちゃったんだ。最悪。恥ずかしい。
「別に寂しくない。良いよ、外出ても」
本当はちょっといて欲しいけど、出てくる言葉は天邪鬼だ。
「ここに住んでるのはオレなんだから、あんたに何か言われる筋合いはないでしょ」
正論だ。
「あんたへのサービスも兼ねてね。舞美」
ドキッとした。
舞美、と人から呼ばれたのは久しぶりだ。
まさかアカギから呼ばれるなんて。
本当に、何を考えているの?
……今日のアカギ、何かおかしい。