8.変化
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私は目覚めると、また家に1人でいる、はずだった。とにかく、今まではそうだった。
朝の訪れに、ゆっくりと目を開けると、いつもとは違う温もりと共に、大きな背中が視界に映る。
私は無意識に、しかししっかりと、その裾を指先で握りしめていた。
「あ、」
思い出した。
結局、私はアカギと一緒に寝たんだった。
悪夢、見なかったな。あんなに恐いことがあったっていうのに。あれは、私史上最高の危機だった。私が最も恐れてたこと。それは、自分の意思なく無理矢理屈服させられ、誇りを失うこと。
それが間一髪、アカギのおかげで助かった。
でも、どうして、今日はアカギもお寝坊していらっしゃるの?
不思議に思い、とりあえず手を彼から離した。
「ん……」
すると、アカギは急に動き出した。ぐっと伸びをして、「起きたか」と、くるりと振り向いた。
「あ、うん。起き、た……」
同じ布団の中にいるのに振り向かれると、こんなに顔が近くなって……。動揺する。
寝起きかどうか分からないけれど、相変わらずアカギの顔立ちは完璧で、崩れない。
私は気持ちの揺れを隠すように、話し出した。
「どうしてまだ、ここに?」
そう、いつもなら朝食を摂ってどこかへ行ってしまうあなたが、どうしてまだ布団に?
私は、彼の切れ長の目を見つめた。
「オレを離さなかったのは、あんたの方だぜ」
「は」
急に何を、と思うが、確かに起きるまで、私の指は彼の服をつまんでいた。つい、さっきまでのことだ。
指を離したら、急にアカギが動き出した……ってことは。
私が握っていたから、アカギは動けなかったっていうこと? 逆に言えば、寂しがらないように、私が起きるまでずっと側 にいてくれてたってこと?
私は、もう至近距離にあるアカギの顔が見られなくなって、うつむいた。
昨夜は同じ布団で過ごしたという事実が、今更ながら恥ずかしく思えてくる。それも、身体の関係は持たずに、ただ、私が添い寝を頼んだ形でだ。
「その……礼を言うわ」
あぁ、しまった。またいけない癖が。
照れると、高飛車な物言いをしてしまう。
素直になれない。
「礼はもう充分もらった……良かったよ、あんたの乱れた姿」
ひっ……。
一晩明けて冷静になると、とんでもないことをしたんじゃないかと思えてくる。
「わ、わすれて」
顔を見せないように言うと、アカギは鼻で笑った。
「あんなに愉 しそうにしてたくせに」
妙に色気をはらんだ声が直接耳に吹きかかる。
私はたまらずに、布団から抜け出て、
「ば、馬鹿っ‼︎」
と叫び、逃げるように寝室から飛び出した。
「……あらら」
朝の訪れに、ゆっくりと目を開けると、いつもとは違う温もりと共に、大きな背中が視界に映る。
私は無意識に、しかししっかりと、その裾を指先で握りしめていた。
「あ、」
思い出した。
結局、私はアカギと一緒に寝たんだった。
悪夢、見なかったな。あんなに恐いことがあったっていうのに。あれは、私史上最高の危機だった。私が最も恐れてたこと。それは、自分の意思なく無理矢理屈服させられ、誇りを失うこと。
それが間一髪、アカギのおかげで助かった。
でも、どうして、今日はアカギもお寝坊していらっしゃるの?
不思議に思い、とりあえず手を彼から離した。
「ん……」
すると、アカギは急に動き出した。ぐっと伸びをして、「起きたか」と、くるりと振り向いた。
「あ、うん。起き、た……」
同じ布団の中にいるのに振り向かれると、こんなに顔が近くなって……。動揺する。
寝起きかどうか分からないけれど、相変わらずアカギの顔立ちは完璧で、崩れない。
私は気持ちの揺れを隠すように、話し出した。
「どうしてまだ、ここに?」
そう、いつもなら朝食を摂ってどこかへ行ってしまうあなたが、どうしてまだ布団に?
私は、彼の切れ長の目を見つめた。
「オレを離さなかったのは、あんたの方だぜ」
「は」
急に何を、と思うが、確かに起きるまで、私の指は彼の服をつまんでいた。つい、さっきまでのことだ。
指を離したら、急にアカギが動き出した……ってことは。
私が握っていたから、アカギは動けなかったっていうこと? 逆に言えば、寂しがらないように、私が起きるまでずっと
私は、もう至近距離にあるアカギの顔が見られなくなって、うつむいた。
昨夜は同じ布団で過ごしたという事実が、今更ながら恥ずかしく思えてくる。それも、身体の関係は持たずに、ただ、私が添い寝を頼んだ形でだ。
「その……礼を言うわ」
あぁ、しまった。またいけない癖が。
照れると、高飛車な物言いをしてしまう。
素直になれない。
「礼はもう充分もらった……良かったよ、あんたの乱れた姿」
ひっ……。
一晩明けて冷静になると、とんでもないことをしたんじゃないかと思えてくる。
「わ、わすれて」
顔を見せないように言うと、アカギは鼻で笑った。
「あんなに
妙に色気をはらんだ声が直接耳に吹きかかる。
私はたまらずに、布団から抜け出て、
「ば、馬鹿っ‼︎」
と叫び、逃げるように寝室から飛び出した。
「……あらら」