7.喚問*
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私は、服を着替えた。さて寝よう、と思ったが、アカギは既に布団に潜り込んでいる。
普通の男なら、我慢できずに私に襲いかかるくらいだと思うんだけど……。
この人と一緒にいると、逆に私の方が翻弄されてしまう。男を翻弄してきた、この私が。
離れたところに敷いてある布団に入ると、寒く感じた。暗闇にすると、なんだか怖い。
金縛り、に遭いそうだった。
私、まだ無意識に恐怖を感じてる?
とにかく、寒く感じた。
さっきまで熱くなっていたからなのか、急に人肌が恋しくなってしまっている。
“人肌”……。
あるには、あるんだけど。
と、向こう側に目を向ける。
もぞもぞと布団の中で動いていると、アカギが、「寝れないの」と聞いてきた。
「ちょ、ちょっとね」
そう言ったが、アカギは何も言わなかった。
ただ、向こうも、少し布団の中で動いたようだった。
小さな明かりで目を凝らすと、アカギは布団の真ん中より少しずれたところに寝転がっていた。
え、なに。
今私が寝れないと言ったら、アカギが布団の端っこに寄った、ってことは。
——そっちに入っても、良いの?
心の中で問いかけるが、誰も答えてはくれない。当たり前だ。
私はしばし迷って、でも寒くて、とうとう、布団から抜け出した。
そして、枕を抱いてアカギの方へ赴き、敷かれてある布団の隣に膝をついた。
しかし、拒否されたらどうしよう、と思って、そこから声がなかなか出せない。かといって、無言で潜り込んで追い出されるのも嫌だ。
そういうわけで、動けずにそこにいると、
「寝づらいんだけど」
とクレームが出てしまった。
私は意を決して、
「入っても?」
と尋ねた。アカギは、
「恐いんならさっさと入ったら」
と、まるで私の考えを見透かしたように答えた。言い方こそぶっきらぼうだったが、はっきりとした優しさを感じる。
私は嬉しくて、足の先を布団に入れた。
「じゃあ、遠慮なく……失礼します」
もそもそと身体を中に入れる。
あったかい。
……いや、実際には自分の布団とそんなに温度は変わらないかもしれない。が、あったかい。
アカギの体温が布団に伝わって、それが今度は私をまるまる包みこんでいる。
そして、この匂いが、アカギがすぐ隣にいることを感じさせる。私は、はぁ、とバレないようにため息をついた。
安心する。
ふと横を見ると、アカギの背中。背を向けてはいるが、私はそれがまるで何かから私を守ってくれているように感じた。
もう寝たかな、と思い、アカギの服の先っちょをつまんでみる。
特に反応はない。
……反応が、ない。
ってことは、つまんでも良いってことだ。
私は、足の先さえもアカギに触れてしまわないように気をつけていたが、その手先の部分だけはどうしても離すことができなかった。
私が離したくなかったのだ。
これをつまんでいたら、悪夢なんて見ない。
そんな気がしたから。
「……おやすみなさい」
私はそっと、彼の背中に呟いた。
「……ん。」
7.喚問 〈完〉
普通の男なら、我慢できずに私に襲いかかるくらいだと思うんだけど……。
この人と一緒にいると、逆に私の方が翻弄されてしまう。男を翻弄してきた、この私が。
離れたところに敷いてある布団に入ると、寒く感じた。暗闇にすると、なんだか怖い。
金縛り、に遭いそうだった。
私、まだ無意識に恐怖を感じてる?
とにかく、寒く感じた。
さっきまで熱くなっていたからなのか、急に人肌が恋しくなってしまっている。
“人肌”……。
あるには、あるんだけど。
と、向こう側に目を向ける。
もぞもぞと布団の中で動いていると、アカギが、「寝れないの」と聞いてきた。
「ちょ、ちょっとね」
そう言ったが、アカギは何も言わなかった。
ただ、向こうも、少し布団の中で動いたようだった。
小さな明かりで目を凝らすと、アカギは布団の真ん中より少しずれたところに寝転がっていた。
え、なに。
今私が寝れないと言ったら、アカギが布団の端っこに寄った、ってことは。
——そっちに入っても、良いの?
心の中で問いかけるが、誰も答えてはくれない。当たり前だ。
私はしばし迷って、でも寒くて、とうとう、布団から抜け出した。
そして、枕を抱いてアカギの方へ赴き、敷かれてある布団の隣に膝をついた。
しかし、拒否されたらどうしよう、と思って、そこから声がなかなか出せない。かといって、無言で潜り込んで追い出されるのも嫌だ。
そういうわけで、動けずにそこにいると、
「寝づらいんだけど」
とクレームが出てしまった。
私は意を決して、
「入っても?」
と尋ねた。アカギは、
「恐いんならさっさと入ったら」
と、まるで私の考えを見透かしたように答えた。言い方こそぶっきらぼうだったが、はっきりとした優しさを感じる。
私は嬉しくて、足の先を布団に入れた。
「じゃあ、遠慮なく……失礼します」
もそもそと身体を中に入れる。
あったかい。
……いや、実際には自分の布団とそんなに温度は変わらないかもしれない。が、あったかい。
アカギの体温が布団に伝わって、それが今度は私をまるまる包みこんでいる。
そして、この匂いが、アカギがすぐ隣にいることを感じさせる。私は、はぁ、とバレないようにため息をついた。
安心する。
ふと横を見ると、アカギの背中。背を向けてはいるが、私はそれがまるで何かから私を守ってくれているように感じた。
もう寝たかな、と思い、アカギの服の先っちょをつまんでみる。
特に反応はない。
……反応が、ない。
ってことは、つまんでも良いってことだ。
私は、足の先さえもアカギに触れてしまわないように気をつけていたが、その手先の部分だけはどうしても離すことができなかった。
私が離したくなかったのだ。
これをつまんでいたら、悪夢なんて見ない。
そんな気がしたから。
「……おやすみなさい」
私はそっと、彼の背中に呟いた。
「……ん。」
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