6.追跡
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「お、お前‼︎」
男が動揺してアカギに銃を向ける。
しかし、アカギは私が蹴った護身用ナイフを足で止め、蹴り上げて素早く手に持ち、それを男めがけて投げつけた。
一瞬の出来事だった。
「うああっ」
男は避けようとしたが、無理だった。
ナイフは命中。流石のコントロールだ。
しかし、その瞬間、男も発砲していたのだ。
私は近くで鳴った大きな音に驚いて、腰を抜かしそうになった。
私はすぐさまアカギを見た。
……当たっていないみたい。
おそらく、避けようとしながら発砲したので、てんで違う方向へ弾が飛んだのだろう。
倒れた男を見ると、まだ息がある。
急所は外れたようだ。
いや、わざとアカギが外したのか。
私は決着がついたことにようやく気が付き、倒れている男を見てごくりと唾を飲んだ。
アカギは銃を拾い、中を確認した。
弾はもう入っていない。
さっきのが最初で最後の一発だったらしい。
「だからずっと撃てなかったんだ。ま、一発分しか払えなかったんだろうね」
やはり、こういうものはそういう道の人に金を払って手に入れるのか。
「ん、ぐ……」
男は呻いている。
彼は拾った銃を放ると、まだ縛られている私をそのまま抱き上げた。通称、お姫様抱っこ?
私は少し顔が赤くなった。
がっしりとした腕が私を支えている。
多分、縄を外されても自力で歩けないだろうし、有難いことこの上ない。
「今の銃声で人が来る。運が良ければ、あんたの命は助かる」
アカギは男に対し、そう言って歩き出したが、その場所を出る時、また振り返って言った。
「次はない」
圧倒的な覇気。
男の目を見ると怒りよりも怯えが勝 っているように見えた。
きっと、もう私たちに関わらないだろう。
アカギは私を抱えたまま、夜道を歩き出した。
歩き始めて最初の数分間、私は黙っていた。
まだ恐怖に身体が震えていて、声が出せなかったからだ。
アカギは自分の脱いだシャツを私の上に被せてくれた。私の服はビリビリに破かれ、下着同然の格好だったから。
私の脳裏には、1つのことしかなかった。
アカギが、助けにきてくれた。
さっき、私のことをオレの女とも言った。
助かった。犯されるかと思った。アカギが来てくれなかったら、死んでたかもしれない。
感謝の念が溢れんばかりに湧き、どうしてもお礼だけは言いたくて、私は震える声で、
「……ありがとう」
と言った。アカギはそれには答えず、ただ黙って歩き続けた。
私はアカギを見上げたけれど、目を合わせてはくれなかった。でも、十分優しさは感じ取れていた。私はそのまま黙って、家に着くまでアカギに揺られていた。
6.追跡〈完〉
男が動揺してアカギに銃を向ける。
しかし、アカギは私が蹴った護身用ナイフを足で止め、蹴り上げて素早く手に持ち、それを男めがけて投げつけた。
一瞬の出来事だった。
「うああっ」
男は避けようとしたが、無理だった。
ナイフは命中。流石のコントロールだ。
しかし、その瞬間、男も発砲していたのだ。
私は近くで鳴った大きな音に驚いて、腰を抜かしそうになった。
私はすぐさまアカギを見た。
……当たっていないみたい。
おそらく、避けようとしながら発砲したので、てんで違う方向へ弾が飛んだのだろう。
倒れた男を見ると、まだ息がある。
急所は外れたようだ。
いや、わざとアカギが外したのか。
私は決着がついたことにようやく気が付き、倒れている男を見てごくりと唾を飲んだ。
アカギは銃を拾い、中を確認した。
弾はもう入っていない。
さっきのが最初で最後の一発だったらしい。
「だからずっと撃てなかったんだ。ま、一発分しか払えなかったんだろうね」
やはり、こういうものはそういう道の人に金を払って手に入れるのか。
「ん、ぐ……」
男は呻いている。
彼は拾った銃を放ると、まだ縛られている私をそのまま抱き上げた。通称、お姫様抱っこ?
私は少し顔が赤くなった。
がっしりとした腕が私を支えている。
多分、縄を外されても自力で歩けないだろうし、有難いことこの上ない。
「今の銃声で人が来る。運が良ければ、あんたの命は助かる」
アカギは男に対し、そう言って歩き出したが、その場所を出る時、また振り返って言った。
「次はない」
圧倒的な覇気。
男の目を見ると怒りよりも怯えが
きっと、もう私たちに関わらないだろう。
アカギは私を抱えたまま、夜道を歩き出した。
歩き始めて最初の数分間、私は黙っていた。
まだ恐怖に身体が震えていて、声が出せなかったからだ。
アカギは自分の脱いだシャツを私の上に被せてくれた。私の服はビリビリに破かれ、下着同然の格好だったから。
私の脳裏には、1つのことしかなかった。
アカギが、助けにきてくれた。
さっき、私のことをオレの女とも言った。
助かった。犯されるかと思った。アカギが来てくれなかったら、死んでたかもしれない。
感謝の念が溢れんばかりに湧き、どうしてもお礼だけは言いたくて、私は震える声で、
「……ありがとう」
と言った。アカギはそれには答えず、ただ黙って歩き続けた。
私はアカギを見上げたけれど、目を合わせてはくれなかった。でも、十分優しさは感じ取れていた。私はそのまま黙って、家に着くまでアカギに揺られていた。
6.追跡〈完〉