6.追跡
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流れるように、数日が経った。
私とアカギは、一緒に暮らしている、というような関係では到底なかった。
目覚めると、彼はもういない。
昼はお互いの好きに行動し、私はご飯を作る。帰りが遅くなる時はもう先に寝て、私はまた次の日を生きるだけ。
私はもう、雀荘にも賭場にも行かなかった。自分の立場くらいはちゃんとわきまえる。私は負けたばかりで、アカギに飼われているようなものだ。彼の金を使って博打なんて、できない。
そして、私は昼も何をする気にもなれず、一言で言ってしまえば退屈だった。
でも、たまに見るアカギの顔が私を目覚めさせた。
彼は無口だったけれど、私の作るご飯については毎日欠かさず褒めてくれた。味もそうだが、私がアカギのために作る、ということが “美味い” らしい。
私はそれが嬉しかった。だから、私の唯一の欠かさない行動はそれだった。まるで、それが生きる糧かのように。
でも、あれから押し倒されたり、なんてことはされなかった。私はそれに安心したし、落胆もした。結局、何がなんだか分かっていなかった。ただ、刺激を求めていた。
しかしある日、私はとうとう、夜に外に出ることにした。
もう、無理だった。
でも、流石に人の金で勝負はできない。
そこで思いついたのが、アカギを尾行することだった。
(決行は、今日……)
私は夜、アカギがどこかに行った後に、そっと玄関を出た。久々の夜だ。なんだか血が騒ぐような気もするが、危ない危ない、九尾狐には少し黙っててもらわないと。
私は、思い当たる限りの雀荘や賭場を覗いた。
アカギなら、どこへ行くだろう?
ふと、ここかな、と思うところを覗く。
……ビンゴ。
入口の窓からアカギが見えた。あそこにいる。
それだけで満足してしまいそうになる。1人で家にいると、発狂してしまいそうだったから。
ここからでも勝負の熱が伝わってくる。
ただし、アカギはあまり熱中してはいないみたい。
やっぱり、私との勝負が楽しすぎたのかな? なんて、考えてみる。
見ていると、アカギが帰りそうになった。
私はそれをいち早く察知して、家に先回りする。急いで帰宅し、外に出ていた痕跡を消す。
そして、寝たふりをする。
どきどきするが、狸寝入りはお手の物。
完璧だった。
その日、アカギは、私が尾行していたことに気が付かなかった。
この、見つからないようにする というスリル感は、勝負に似たものがあった。これがバレると、またからかわれてしまうかもしれない。そして何よりずっと見てたなんて、罰が悪い。
そういったリスクも、私を虜にした。
この日をきっかけに、尾行は私の日課になり始めた。
たまに、アカギを見つけられない日もあったけど、それはそれでどきどきする。だって、急に夜道で鉢合わせるかもしれないし、私より先にアカギが帰ってしまうかもしれない。
そうなれば、私が不毛なことをしていたとバレてしまう。だめだめ……。
今夜はやめておこうか? それとも、また隠し通せることに賭けようか?
そんなギャンブル性は、まさに私にぴったりだった。
そして私は今夜も、それを心から楽しんでいた。
——だからこそ、その後ろに迫る影には気付かなかった。
私とアカギは、一緒に暮らしている、というような関係では到底なかった。
目覚めると、彼はもういない。
昼はお互いの好きに行動し、私はご飯を作る。帰りが遅くなる時はもう先に寝て、私はまた次の日を生きるだけ。
私はもう、雀荘にも賭場にも行かなかった。自分の立場くらいはちゃんとわきまえる。私は負けたばかりで、アカギに飼われているようなものだ。彼の金を使って博打なんて、できない。
そして、私は昼も何をする気にもなれず、一言で言ってしまえば退屈だった。
でも、たまに見るアカギの顔が私を目覚めさせた。
彼は無口だったけれど、私の作るご飯については毎日欠かさず褒めてくれた。味もそうだが、私がアカギのために作る、ということが “美味い” らしい。
私はそれが嬉しかった。だから、私の唯一の欠かさない行動はそれだった。まるで、それが生きる糧かのように。
でも、あれから押し倒されたり、なんてことはされなかった。私はそれに安心したし、落胆もした。結局、何がなんだか分かっていなかった。ただ、刺激を求めていた。
しかしある日、私はとうとう、夜に外に出ることにした。
もう、無理だった。
でも、流石に人の金で勝負はできない。
そこで思いついたのが、アカギを尾行することだった。
(決行は、今日……)
私は夜、アカギがどこかに行った後に、そっと玄関を出た。久々の夜だ。なんだか血が騒ぐような気もするが、危ない危ない、九尾狐には少し黙っててもらわないと。
私は、思い当たる限りの雀荘や賭場を覗いた。
アカギなら、どこへ行くだろう?
ふと、ここかな、と思うところを覗く。
……ビンゴ。
入口の窓からアカギが見えた。あそこにいる。
それだけで満足してしまいそうになる。1人で家にいると、発狂してしまいそうだったから。
ここからでも勝負の熱が伝わってくる。
ただし、アカギはあまり熱中してはいないみたい。
やっぱり、私との勝負が楽しすぎたのかな? なんて、考えてみる。
見ていると、アカギが帰りそうになった。
私はそれをいち早く察知して、家に先回りする。急いで帰宅し、外に出ていた痕跡を消す。
そして、寝たふりをする。
どきどきするが、狸寝入りはお手の物。
完璧だった。
その日、アカギは、私が尾行していたことに気が付かなかった。
この、見つからないようにする というスリル感は、勝負に似たものがあった。これがバレると、またからかわれてしまうかもしれない。そして何よりずっと見てたなんて、罰が悪い。
そういったリスクも、私を虜にした。
この日をきっかけに、尾行は私の日課になり始めた。
たまに、アカギを見つけられない日もあったけど、それはそれでどきどきする。だって、急に夜道で鉢合わせるかもしれないし、私より先にアカギが帰ってしまうかもしれない。
そうなれば、私が不毛なことをしていたとバレてしまう。だめだめ……。
今夜はやめておこうか? それとも、また隠し通せることに賭けようか?
そんなギャンブル性は、まさに私にぴったりだった。
そして私は今夜も、それを心から楽しんでいた。
——だからこそ、その後ろに迫る影には気付かなかった。