5.売買
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「私はあなたのこと、勝負師として本気で尊敬してるし、すごいって思うけど、別にそういう風に見てはないっての」
念押しをすると、アカギは面倒くさそうに言った。
「分かった分かった」
「分かったなら……良いけど」
アカギは寝室にある、並べられた2組の布団を見た。
「で、なんで並べたの」
「あ」
私はまた、無意識な自分の行いを反省しつつ、布団を離した。
「つい、癖で。ほら、これで良いでしょ」
どうよと言わんばかりに顔を向けると、アカギは、あんたのやることは面白いな、とか言いながら布団に入ろうとした。
「東雲は寝ないの」
「ううん、寝る」
私は自分の布団へ駆け寄り、その温かさに触れた。そして電気を消す。
「じゃあ、おやすみなさい」
「……ん」
暗がりの中で目をつむるが、中々寝付けなかった。同じ部屋の中にいるのに、少し離れているアカギ。彼はもう寝ただろうか。
それにしても、押し倒されるとは思わなかった。危うく、流されるところだった。まぁ、結局は私をからかうだけのものだったけど。
アカギは私のことをどう思っているんだろう。暮らし始めて初日だが、全く分からない。
大体、私を前にして我慢できる男っていうのも珍しいし。それって、私に興味はないということなのかな。じゃあ、何のために私を家に置いているんだろう。
はぁ、分からない。
私はため息と共に、深い夜へ沈んでいった。
さようなら、私のかつての日常。
5.売買 〈完〉
念押しをすると、アカギは面倒くさそうに言った。
「分かった分かった」
「分かったなら……良いけど」
アカギは寝室にある、並べられた2組の布団を見た。
「で、なんで並べたの」
「あ」
私はまた、無意識な自分の行いを反省しつつ、布団を離した。
「つい、癖で。ほら、これで良いでしょ」
どうよと言わんばかりに顔を向けると、アカギは、あんたのやることは面白いな、とか言いながら布団に入ろうとした。
「東雲は寝ないの」
「ううん、寝る」
私は自分の布団へ駆け寄り、その温かさに触れた。そして電気を消す。
「じゃあ、おやすみなさい」
「……ん」
暗がりの中で目をつむるが、中々寝付けなかった。同じ部屋の中にいるのに、少し離れているアカギ。彼はもう寝ただろうか。
それにしても、押し倒されるとは思わなかった。危うく、流されるところだった。まぁ、結局は私をからかうだけのものだったけど。
アカギは私のことをどう思っているんだろう。暮らし始めて初日だが、全く分からない。
大体、私を前にして我慢できる男っていうのも珍しいし。それって、私に興味はないということなのかな。じゃあ、何のために私を家に置いているんだろう。
はぁ、分からない。
私はため息と共に、深い夜へ沈んでいった。
さようなら、私のかつての日常。
5.