5.売買
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しばらくして、ガラガラと扉の開く音がした。
アカギが風呂から上がってきたことが分かる。
……なんだか照れてしまう。
いや、私だって男に慣れていないわけではないし、それだけでどきどきするような人間でもないはずだ。これは、相手があの赤木しげるだからこうなるだけ。……それはそれで、どういうことかと言われると、分からないけど。
そしてアカギが私の前に現れた。私はさっと目を逸らした。
どうしてかって?
彼の上半身は裸のまま、首にタオルをかけて私の前にいたからだ。ズボンは履いていてくれて助かった。
が、滴る水がその色気を倍増させている。
「服、着ないの?」
私が伏せ目がちに言うと、アカギは私の隣に座った。目の端に肌色が映る。……やめてよ。
「どうせ脱ぐんだから、関係ねぇな」
えっと。
「脱ぐ?」
その意味は考えなくても分かるはずだった。他の男なら。
でも、例によってこの赤木しげるが私を欲しているとは思いもよらなかったのだ。
そして、私は反応が遅れてしまった。
「あんたも、期待してたんだろ」
「え」
ふっと彼が倒れた。
と思うと、気が付けば床に倒されていたのは私の方で、暗い天井に良く映える白い髪が視界に入る。そしてようやく、押し倒されたのだと分かる。
「なっ⁈」
慌てて起き上がろうとするものの、両手首を押さえつけられていて、動けない。
アカギが真上から私を見ている。
「これを待ってたんでしょ」
「え、」
「わざわざ夕飯も風呂も用意して、オレが帰ってくるのを遅くまで待ってたってことは」
「違う、私はただ……」
そこで、私は反論をやめた。
ただ、なんだろう。
私がアカギを待っていたのは、ただ、せっかく作ったご飯を食べてほしくて。いや、それも根本的な理由じゃない。
「フフ、あんたも本当は分かってるんだ。オレにどうされたいのか」
「そ、そんなはずない」
「正直、嫌じゃないんでしょ」
「……!」
確かに、私は本気で抵抗してはいなかった。徐々に自分が彼を受け入れ始めているのを感じた。
「ちが、ちがうもん」
……違ってない。
このまま、押し倒されたまま触られたい。
けど、私のプライドはそれを許さなかった。
私は自分の気持ちを認めたくなくて、半泣きになってしまった。
「……あらら」
アカギはそう言うと、あっさり退いてしまった。
「いくら狐でも、いじめすぎたか」
「いじめ……」
ってことは、私は反応を見て遊ばれてたってこと?
急に恥ずかしくなる。
「まさか、東雲がそこまで本気でオレに惚れてるとはね」
アカギが横目で言ってきたので、
「誰が!」
と言い返した。
「勝手に自惚れないでよね! そっちこそ、私に惚れてるんじゃない? まぁ、触らせてあげても良かったけど、どうやら、その勇気も無いみたいだし。さっきの私の反応に騙されちゃったのかな? とにかく、これで私から一本取ったと思ってるんなら大間違いだから。ホント。何より、私、男に惚れるなんて馬鹿な真似、するわけないんだから。分かったら、肝に命じてよ」
私がこういったことをまくし立てている間、アカギは上の服を着ながら、呟いた。
「……よくしゃべるね」
アカギが風呂から上がってきたことが分かる。
……なんだか照れてしまう。
いや、私だって男に慣れていないわけではないし、それだけでどきどきするような人間でもないはずだ。これは、相手があの赤木しげるだからこうなるだけ。……それはそれで、どういうことかと言われると、分からないけど。
そしてアカギが私の前に現れた。私はさっと目を逸らした。
どうしてかって?
彼の上半身は裸のまま、首にタオルをかけて私の前にいたからだ。ズボンは履いていてくれて助かった。
が、滴る水がその色気を倍増させている。
「服、着ないの?」
私が伏せ目がちに言うと、アカギは私の隣に座った。目の端に肌色が映る。……やめてよ。
「どうせ脱ぐんだから、関係ねぇな」
えっと。
「脱ぐ?」
その意味は考えなくても分かるはずだった。他の男なら。
でも、例によってこの赤木しげるが私を欲しているとは思いもよらなかったのだ。
そして、私は反応が遅れてしまった。
「あんたも、期待してたんだろ」
「え」
ふっと彼が倒れた。
と思うと、気が付けば床に倒されていたのは私の方で、暗い天井に良く映える白い髪が視界に入る。そしてようやく、押し倒されたのだと分かる。
「なっ⁈」
慌てて起き上がろうとするものの、両手首を押さえつけられていて、動けない。
アカギが真上から私を見ている。
「これを待ってたんでしょ」
「え、」
「わざわざ夕飯も風呂も用意して、オレが帰ってくるのを遅くまで待ってたってことは」
「違う、私はただ……」
そこで、私は反論をやめた。
ただ、なんだろう。
私がアカギを待っていたのは、ただ、せっかく作ったご飯を食べてほしくて。いや、それも根本的な理由じゃない。
「フフ、あんたも本当は分かってるんだ。オレにどうされたいのか」
「そ、そんなはずない」
「正直、嫌じゃないんでしょ」
「……!」
確かに、私は本気で抵抗してはいなかった。徐々に自分が彼を受け入れ始めているのを感じた。
「ちが、ちがうもん」
……違ってない。
このまま、押し倒されたまま触られたい。
けど、私のプライドはそれを許さなかった。
私は自分の気持ちを認めたくなくて、半泣きになってしまった。
「……あらら」
アカギはそう言うと、あっさり退いてしまった。
「いくら狐でも、いじめすぎたか」
「いじめ……」
ってことは、私は反応を見て遊ばれてたってこと?
急に恥ずかしくなる。
「まさか、東雲がそこまで本気でオレに惚れてるとはね」
アカギが横目で言ってきたので、
「誰が!」
と言い返した。
「勝手に自惚れないでよね! そっちこそ、私に惚れてるんじゃない? まぁ、触らせてあげても良かったけど、どうやら、その勇気も無いみたいだし。さっきの私の反応に騙されちゃったのかな? とにかく、これで私から一本取ったと思ってるんなら大間違いだから。ホント。何より、私、男に惚れるなんて馬鹿な真似、するわけないんだから。分かったら、肝に命じてよ」
私がこういったことをまくし立てている間、アカギは上の服を着ながら、呟いた。
「……よくしゃべるね」