1.出会い
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簡単に身支度をして卓を離れる。
たまには一般人と戯れるのも悪くないな、と思った。でも、やっぱりぬるい勝負なんてしたくない。もっと刺激が欲しい。まだまだ足りない。
こうやって自分の名を広げれば、きっと自然と巡り会えるはず。私の求める最高の賭事、それに相応しい相手に。きっと、私たちは引き寄せられる。
扉に向かうと、ある青年が入ってきた。
ちょうど、外に出ようとしていた舞美と向かい合う形になる。
舞美は咄嗟に異様な雰囲気を感じ取った。
一瞬にして空気が冷えた。それは間違いなく目の前の男によるものだった。
(なに、一体)
その白い髪を見て、何故かぞっとするような感覚に襲われる。そして気付く、ずっと探していた者はこいつだったのだと。
早くもこんな場所で巡り会うとは、予想外だった。
彼の咥えた煙草の煙が揺れ、目と目が合う。
切れ長の目に見透かされているような気がしたが、逸らすことは出来なかった。
逸らしたら負けだとも感じた。
必死にその目に呑まれないように。
側から見たら睨み返しているかのように見えるかもしれない。
文句なしの整った顔立ちだ、と頭の隅で考える。だが今はそれどころじゃない。
確信を持っていた。
この男があの、“赤木しげる”だと。
(今すぐにでも勝負したい……!)
でも、と考える。
今じゃない。
何故かは分からないが、今が最高のタイミングではないと感じた。こんな低レートで麻雀を打つような場所。
私と彼とが勝負をするような所じゃない、と思った。
「どうも」
そう言って、彼とすれ違う。
ずっと探していた相手だが、今回は見送る。
今は去るのが吉。ここで去れば、彼はここにいる男たちにより、東雲舞美の名を知ることになる。
私が去れば、この雀荘は私の話題で持ちきりになるだろうから。
きっと、彼も気付いているだろう。目の前の女の存在に。そして、ここが低レートだと知るや、もっと格上の博打をしたいと思うはずだ。双方とも、生粋の博徒だから。
「ああ。」
彼はそう応えると、舞美を振り返ることもなく卓の方へ向かった。
少しの後悔と、それでも私は間違ってない、という思いを抱きながら、外へ出た。
真上から放たれる月光が舞美を迎え入れる。
颯爽と歩き出す、裏に生きる少女。
その瞳の奥には彼と同じ狂気が眠るのか、あるいは。
(待ってなさいよ、赤木しげる……!)
この満月の夜が、1番初めの出逢いだった。
たまには一般人と戯れるのも悪くないな、と思った。でも、やっぱりぬるい勝負なんてしたくない。もっと刺激が欲しい。まだまだ足りない。
こうやって自分の名を広げれば、きっと自然と巡り会えるはず。私の求める最高の賭事、それに相応しい相手に。きっと、私たちは引き寄せられる。
扉に向かうと、ある青年が入ってきた。
ちょうど、外に出ようとしていた舞美と向かい合う形になる。
舞美は咄嗟に異様な雰囲気を感じ取った。
一瞬にして空気が冷えた。それは間違いなく目の前の男によるものだった。
(なに、一体)
その白い髪を見て、何故かぞっとするような感覚に襲われる。そして気付く、ずっと探していた者はこいつだったのだと。
早くもこんな場所で巡り会うとは、予想外だった。
彼の咥えた煙草の煙が揺れ、目と目が合う。
切れ長の目に見透かされているような気がしたが、逸らすことは出来なかった。
逸らしたら負けだとも感じた。
必死にその目に呑まれないように。
側から見たら睨み返しているかのように見えるかもしれない。
文句なしの整った顔立ちだ、と頭の隅で考える。だが今はそれどころじゃない。
確信を持っていた。
この男があの、“赤木しげる”だと。
(今すぐにでも勝負したい……!)
でも、と考える。
今じゃない。
何故かは分からないが、今が最高のタイミングではないと感じた。こんな低レートで麻雀を打つような場所。
私と彼とが勝負をするような所じゃない、と思った。
「どうも」
そう言って、彼とすれ違う。
ずっと探していた相手だが、今回は見送る。
今は去るのが吉。ここで去れば、彼はここにいる男たちにより、東雲舞美の名を知ることになる。
私が去れば、この雀荘は私の話題で持ちきりになるだろうから。
きっと、彼も気付いているだろう。目の前の女の存在に。そして、ここが低レートだと知るや、もっと格上の博打をしたいと思うはずだ。双方とも、生粋の博徒だから。
「ああ。」
彼はそう応えると、舞美を振り返ることもなく卓の方へ向かった。
少しの後悔と、それでも私は間違ってない、という思いを抱きながら、外へ出た。
真上から放たれる月光が舞美を迎え入れる。
颯爽と歩き出す、裏に生きる少女。
その瞳の奥には彼と同じ狂気が眠るのか、あるいは。
(待ってなさいよ、赤木しげる……!)
この満月の夜が、1番初めの出逢いだった。