5.売買
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私は黙ってアカギの後ろを歩いた。
着いた先は、ボロい建物だった。
私、付いて来ちゃったけど、これで合ってるんだよね? 良いんだよね。
勝負が終わったから、私は大人な演出もしていない。なんというか、素。それなのに、目の前にアカギがいるというのはとても不思議。
「入って」
ぶっきらぼうにそう言われ、身を縮こまらせて入る。私たち、さっきまで敵同士だったのに。
まだアカギの真意が分からない。
「この家、今日で引っ越すから。……眠いでしょ」
確かに、徹マンをして頭も使ったし、命を賭けての勝負で精神的にもヘトヘトだ。
「とりあえず、あんたの今日の寝床はここだ」
アカギは布団を指差すと、自分は床で腕を頭の上に組んで寝始めた。私はおろおろした。
「でも、私、」
「女なんだから黙って寝ておけば。今は特に襲う気とかないから。」
うっ。やっぱり、私を買ったのってそういう意味で? ……でも、正直寝床の提供は助かる。逃げても行く場所もないし、今日はここで寝かせてもらおう。
と、その前に。
私は目を瞑ったアカギの顔をじっと見つめた。
間違いなく美形だ。
それだけじゃなく、麻雀の打ちも最高。
身体つきもしっかりしていて男らしいし、色気を感じる。彼の言葉1つに鼓膜が震え、声を堪能してしまう。
そのまま目元を見ていると––––いや、見惚れていると、アカギがぱちっと目を開けた。
目が合ってしまい、覗き込んでいたことがバレる。
「何、見てんの」
「別に、見てない! 寝たのかなって思っただけ。そろそろ、私も寝かせてもらうからっ」
私は顔を赤くして反論した。
「そう」
「お、おやすみなさい」
恥ずかしさで布団に潜り込む。なぜか、治さんに接するようにアカギに接することが出来ない。やけに攻撃的になってしまう。
……そんなつもりじゃないのに。
そして、布団の中で深呼吸をしたところ、声を上げてしまいそうになった。アカギの匂いがする!
やだ、なんか寝れない。体温が上がる。
そんな強い匂いじゃないはずなのに、私を惹きつける。微かに煙草の匂いがするからかも。
私、煙草の匂い好きだし。……きっとそうだ。
もう、こんな匂い気にしないでおこう。
と、そんな気持ちとは裏腹に、鼻を、スン、と鳴らしてしまう。好き。……好き?
どうしたの、私。
命のやり取りで変になってしまったみたい。
私はそこから数分間、アカギの匂いと格闘したが、ようやく睡魔が襲ってきて、眠りについた。それでも、なぜか身体が熱かった。勝負の時の熱とは違って、まるで何かが疼く感じだった。その疼きをどうやったら止められるかなんて、私は知らなかった。
……いや、嘘。
本当は知っていたのかもしれない。
私が、本当は何をどうしたいのかなんて。
でも、それを理解したら何かが変わってしまう、そんな気がした。
私は素直に、夢に沈んだ。
着いた先は、ボロい建物だった。
私、付いて来ちゃったけど、これで合ってるんだよね? 良いんだよね。
勝負が終わったから、私は大人な演出もしていない。なんというか、素。それなのに、目の前にアカギがいるというのはとても不思議。
「入って」
ぶっきらぼうにそう言われ、身を縮こまらせて入る。私たち、さっきまで敵同士だったのに。
まだアカギの真意が分からない。
「この家、今日で引っ越すから。……眠いでしょ」
確かに、徹マンをして頭も使ったし、命を賭けての勝負で精神的にもヘトヘトだ。
「とりあえず、あんたの今日の寝床はここだ」
アカギは布団を指差すと、自分は床で腕を頭の上に組んで寝始めた。私はおろおろした。
「でも、私、」
「女なんだから黙って寝ておけば。今は特に襲う気とかないから。」
うっ。やっぱり、私を買ったのってそういう意味で? ……でも、正直寝床の提供は助かる。逃げても行く場所もないし、今日はここで寝かせてもらおう。
と、その前に。
私は目を瞑ったアカギの顔をじっと見つめた。
間違いなく美形だ。
それだけじゃなく、麻雀の打ちも最高。
身体つきもしっかりしていて男らしいし、色気を感じる。彼の言葉1つに鼓膜が震え、声を堪能してしまう。
そのまま目元を見ていると––––いや、見惚れていると、アカギがぱちっと目を開けた。
目が合ってしまい、覗き込んでいたことがバレる。
「何、見てんの」
「別に、見てない! 寝たのかなって思っただけ。そろそろ、私も寝かせてもらうからっ」
私は顔を赤くして反論した。
「そう」
「お、おやすみなさい」
恥ずかしさで布団に潜り込む。なぜか、治さんに接するようにアカギに接することが出来ない。やけに攻撃的になってしまう。
……そんなつもりじゃないのに。
そして、布団の中で深呼吸をしたところ、声を上げてしまいそうになった。アカギの匂いがする!
やだ、なんか寝れない。体温が上がる。
そんな強い匂いじゃないはずなのに、私を惹きつける。微かに煙草の匂いがするからかも。
私、煙草の匂い好きだし。……きっとそうだ。
もう、こんな匂い気にしないでおこう。
と、そんな気持ちとは裏腹に、鼻を、スン、と鳴らしてしまう。好き。……好き?
どうしたの、私。
命のやり取りで変になってしまったみたい。
私はそこから数分間、アカギの匂いと格闘したが、ようやく睡魔が襲ってきて、眠りについた。それでも、なぜか身体が熱かった。勝負の時の熱とは違って、まるで何かが疼く感じだった。その疼きをどうやったら止められるかなんて、私は知らなかった。
……いや、嘘。
本当は知っていたのかもしれない。
私が、本当は何をどうしたいのかなんて。
でも、それを理解したら何かが変わってしまう、そんな気がした。
私は素直に、夢に沈んだ。