5.売買
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「お前、今、なんて⁈」
石川が大きな声を出した。
私にも状況がよく飲み込めていない。
「3000万でこいつを買う。だから、東雲の負債は1200万だ」
「えっ?」
私を、“かう”?
私、いま赤木しげるに買われたの?
……飼われるの?
「分かったらその書類、書き換えて」
「あ、アカギが女を買うなんて……!」
「ありえん」
「まさか、組長が見たかったのは、これ……?」
驚きを隠せない極道の中に1人、嬉しそうに寄ってくるのは治さんだった。
「東雲さん、良かったですね!」
「え、ええ……」
残り1200万の内、600万は現金で家にある。あとは、家やら家具やらを売ればもう少し足しになる。……ってことは、助かる?
これは、アカギに助けられたってこと?
「あ、ありがとう……でも、なんで」
「何を勘違いしてるかは知らないけど、オレはあんたを買ったんだ。その意味、分かってるの」
「たぶん……」
私は良く分かっていなかったので、曖昧な返事をして、新しい書類にサインをした。そして、都合の良いことを思い出す。
「あっ! 私、全額返せるかもしれない」
「えっ、なんでですか?」
この時、東京オリンピックが行われ、土地の価格は一時的に急上昇していた。私は金を余らせていたため、手っ取り早く金を消費するために、今住んでいる家と土地を購入していた。悪くない土地だ。今売れば、かなり高く売れる。
さらに、適当に買った宝石だのなんだのも、タンスの中に仕舞い込んでいたことを思い出した。家具も一流品を揃えていたはず。
これら全部を売れば、残りの600万も返済可能。特に、私が既に土地を抑えていたというのが大きい。もちろん、その状態も場所も良い。
このことを伝え、私はすぐに返すことを約束した。私の家を監視していた者からも裏は取れたらしく、風俗堕ちはなんとか免れた。
アカギに頭が上がらない。
返済は後日、まとめてすることになった。
「いや、それにしても両者天晴れな対局だった。大いに楽しませてもらったな。……もう夜も明ける、そろそろお開きにしよう」
組長の言葉で、私たちは解放された。この朝一で私の家に査定屋が来て、金に換金するらしい。
その結果、サービス等もあり、私の借金が0になったという旨を知らされるのはもう少し後。
しかし、査定に出す時点で、あそこの管理権は私になくなった。私は、一夜にして、一文無しになった。金だけじゃない、家も服も何もない。
でも、助かった。
私たちは外へ出て、朝日を浴びた。
「ほんと、良かったです」
治さんがにこにこして、私を引っ張った。
一緒に帰ろうということらしい。
が、私には家が無いのでどうしようもない。
「治」
「はい?」
ふと、アカギが治さんに言った。
「その手を離しな。オレの女だ。……あんたも、オレに買われたんだから、付いていく相手を間違えるな」
「えっ」
まさか、私を助けるために「買う」っていう表現をしたんじゃなくて、私、本当に買われちゃったってこと?
「オレが3000万払って手に入れたんだ……治、欲しけりゃそのくらいは必要だぜ」
アカギはにやりと笑うと、1人で歩き出した。治さんの顔を見ると、ぽかんとしている。私もぽかんとしていたけど、我に返った。
私はとりあえず、今日はありがとうだとか適当なことを治さんに言ってから、意味も分からないまま、アカギの背中を追いかけた。
……こうして、私はアカギに身を寄せる形となった。
石川が大きな声を出した。
私にも状況がよく飲み込めていない。
「3000万でこいつを買う。だから、東雲の負債は1200万だ」
「えっ?」
私を、“かう”?
私、いま赤木しげるに買われたの?
……飼われるの?
「分かったらその書類、書き換えて」
「あ、アカギが女を買うなんて……!」
「ありえん」
「まさか、組長が見たかったのは、これ……?」
驚きを隠せない極道の中に1人、嬉しそうに寄ってくるのは治さんだった。
「東雲さん、良かったですね!」
「え、ええ……」
残り1200万の内、600万は現金で家にある。あとは、家やら家具やらを売ればもう少し足しになる。……ってことは、助かる?
これは、アカギに助けられたってこと?
「あ、ありがとう……でも、なんで」
「何を勘違いしてるかは知らないけど、オレはあんたを買ったんだ。その意味、分かってるの」
「たぶん……」
私は良く分かっていなかったので、曖昧な返事をして、新しい書類にサインをした。そして、都合の良いことを思い出す。
「あっ! 私、全額返せるかもしれない」
「えっ、なんでですか?」
この時、東京オリンピックが行われ、土地の価格は一時的に急上昇していた。私は金を余らせていたため、手っ取り早く金を消費するために、今住んでいる家と土地を購入していた。悪くない土地だ。今売れば、かなり高く売れる。
さらに、適当に買った宝石だのなんだのも、タンスの中に仕舞い込んでいたことを思い出した。家具も一流品を揃えていたはず。
これら全部を売れば、残りの600万も返済可能。特に、私が既に土地を抑えていたというのが大きい。もちろん、その状態も場所も良い。
このことを伝え、私はすぐに返すことを約束した。私の家を監視していた者からも裏は取れたらしく、風俗堕ちはなんとか免れた。
アカギに頭が上がらない。
返済は後日、まとめてすることになった。
「いや、それにしても両者天晴れな対局だった。大いに楽しませてもらったな。……もう夜も明ける、そろそろお開きにしよう」
組長の言葉で、私たちは解放された。この朝一で私の家に査定屋が来て、金に換金するらしい。
その結果、サービス等もあり、私の借金が0になったという旨を知らされるのはもう少し後。
しかし、査定に出す時点で、あそこの管理権は私になくなった。私は、一夜にして、一文無しになった。金だけじゃない、家も服も何もない。
でも、助かった。
私たちは外へ出て、朝日を浴びた。
「ほんと、良かったです」
治さんがにこにこして、私を引っ張った。
一緒に帰ろうということらしい。
が、私には家が無いのでどうしようもない。
「治」
「はい?」
ふと、アカギが治さんに言った。
「その手を離しな。オレの女だ。……あんたも、オレに買われたんだから、付いていく相手を間違えるな」
「えっ」
まさか、私を助けるために「買う」っていう表現をしたんじゃなくて、私、本当に買われちゃったってこと?
「オレが3000万払って手に入れたんだ……治、欲しけりゃそのくらいは必要だぜ」
アカギはにやりと笑うと、1人で歩き出した。治さんの顔を見ると、ぽかんとしている。私もぽかんとしていたけど、我に返った。
私はとりあえず、今日はありがとうだとか適当なことを治さんに言ってから、意味も分からないまま、アカギの背中を追いかけた。
……こうして、私はアカギに身を寄せる形となった。