4.最終局面
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こうして、私の命運を決める勝負が始まった。負けたら風俗堕ち、そしてそれが儲からなければ命を取られて終わる。
もう姑息な策なんて練らない。
私の麻雀で、正面突破だ。
私自身の勘に頼るしか道はない。
本当の意味で自分を信じる。
アカギのリーチ後、私もテンパイする。
すかさず、追っかけリーチ。
今までの私ならこんな麻雀は打たなかったが、今は突っ走るしかない。
「ツモっ」
運が味方したのか、なんとか点を得る。しかしツモならアカギと大きな点差は開かない。
それでも、アカギのリーチを蹴ったというのは私にとって大きな自信になった。
楽しい。
血がたぎる。
しかし、この勝負に狂おしいほどの熱を持ちながら、心の奥底では僅かな恐怖心が芽生え始めていた。さっきまでは無かった恐怖。
アカギが何か仕掛けてくるのではないか、といった警戒の恐怖ではなく、負けそのものに対する純粋な恐怖。これは私にとって良くないことだった。これはさっきの、私が負けたらどうなるか、という真実を知ってしまったことに関係する。
だからって、臆してはいけない。
私は恐怖に呑まれて堕ちていった他の債務者たちを見てきた。
駄目、怖がるな。
これは私が望んだことでしょ!
しっかりして、東雲舞美。
この時、私は恐怖を克服したつもりでいたが、実際には無意識にアカギからの直撃を避けることを1番に考えてしまっていたに違いない。
私にとっては攻めを出した牌でも、やはりリスクを恐れた攻めになっている。打とうと思えば、もっと高リスクで、鋭く攻められる打ちがあったのに、気付かない。無意識に頭の中でその選択肢を排除しているからだ。
……見えていなかったんだろう。
それでも、完全に私が臆していないことについて、アカギは一目置いているようだった。攻めを見せるたびに、嬉しそうに笑っていた。
アカギも楽しんでいることは、その表情から伝わる。
しかし、
「ロン」
あっけなく放銃してしまう私。
……自分の勘を信じて打っているわけだから、こういうのは結構きつい。
最終的な勝負師としてのセンスが、アカギを上回ることができていないのだ。
「あんた、結構善戦してるよ」
まるで慰めるように言われた。
善戦、じゃダメなの。あなたに勝たないと!
若干涙目になりそうになるが、ぐっとこらえていつもの私に戻る。
私は既にボロボロだった。
考えてみれば当然のことだった。
勝負の熱が高まり、同時に恐怖が添えられることによって、私は体験したことのないスリル、ギャンブルの真骨頂を味わうのだ。
そして私がそれを楽しいと思えば思うほど、私はそんな “生” に未練を抱き、助かろうと考えてしまう。
そんな中途半端な攻めじゃ、赤木しげるを討ち取ることは到底不可能なのだ。
「その攻めは通らない。ロン」
「……」
私は死にはしないまでも、少しずつ点棒をむしり取られていった。ギリギリの状態でアカギに生かされているようなものだ。
今まで私がカモってきた輩に、今度は私がなっている。
もう九尾狐なんかじゃない、ただの狐。
それも、銃を持った狩人の前で震えている子狐だ。
次は私が、食べられる番。
イカサマをしてやろうかとも考えたが、それがバレたらアカギも容赦なく仕返しをしてくるに違いない。そうなると、先に仕掛けた方が不利になる。
それに、この神聖な勝負をサマなんかで穢したくはなかった。それはかなり恐怖していた私でも唯一譲れない、最後の一線だったのだ。
そして迎えたオーラス。
ここで逆転手を打たなければ、死ぬ。
もう心臓はバクバクだった。
死にたくない、というよりも、ずっとアカギと勝負していたい、という気持ち。
……あなたに通じるかな。
そう思いながら、13枚の牌を取っていった。
そして牌を開けると、ここへ来て、大三元が狙えそうな手が私に舞い降りた。
もう姑息な策なんて練らない。
私の麻雀で、正面突破だ。
私自身の勘に頼るしか道はない。
本当の意味で自分を信じる。
アカギのリーチ後、私もテンパイする。
すかさず、追っかけリーチ。
今までの私ならこんな麻雀は打たなかったが、今は突っ走るしかない。
「ツモっ」
運が味方したのか、なんとか点を得る。しかしツモならアカギと大きな点差は開かない。
それでも、アカギのリーチを蹴ったというのは私にとって大きな自信になった。
楽しい。
血がたぎる。
しかし、この勝負に狂おしいほどの熱を持ちながら、心の奥底では僅かな恐怖心が芽生え始めていた。さっきまでは無かった恐怖。
アカギが何か仕掛けてくるのではないか、といった警戒の恐怖ではなく、負けそのものに対する純粋な恐怖。これは私にとって良くないことだった。これはさっきの、私が負けたらどうなるか、という真実を知ってしまったことに関係する。
だからって、臆してはいけない。
私は恐怖に呑まれて堕ちていった他の債務者たちを見てきた。
駄目、怖がるな。
これは私が望んだことでしょ!
しっかりして、東雲舞美。
この時、私は恐怖を克服したつもりでいたが、実際には無意識にアカギからの直撃を避けることを1番に考えてしまっていたに違いない。
私にとっては攻めを出した牌でも、やはりリスクを恐れた攻めになっている。打とうと思えば、もっと高リスクで、鋭く攻められる打ちがあったのに、気付かない。無意識に頭の中でその選択肢を排除しているからだ。
……見えていなかったんだろう。
それでも、完全に私が臆していないことについて、アカギは一目置いているようだった。攻めを見せるたびに、嬉しそうに笑っていた。
アカギも楽しんでいることは、その表情から伝わる。
しかし、
「ロン」
あっけなく放銃してしまう私。
……自分の勘を信じて打っているわけだから、こういうのは結構きつい。
最終的な勝負師としてのセンスが、アカギを上回ることができていないのだ。
「あんた、結構善戦してるよ」
まるで慰めるように言われた。
善戦、じゃダメなの。あなたに勝たないと!
若干涙目になりそうになるが、ぐっとこらえていつもの私に戻る。
私は既にボロボロだった。
考えてみれば当然のことだった。
勝負の熱が高まり、同時に恐怖が添えられることによって、私は体験したことのないスリル、ギャンブルの真骨頂を味わうのだ。
そして私がそれを楽しいと思えば思うほど、私はそんな “生” に未練を抱き、助かろうと考えてしまう。
そんな中途半端な攻めじゃ、赤木しげるを討ち取ることは到底不可能なのだ。
「その攻めは通らない。ロン」
「……」
私は死にはしないまでも、少しずつ点棒をむしり取られていった。ギリギリの状態でアカギに生かされているようなものだ。
今まで私がカモってきた輩に、今度は私がなっている。
もう九尾狐なんかじゃない、ただの狐。
それも、銃を持った狩人の前で震えている子狐だ。
次は私が、食べられる番。
イカサマをしてやろうかとも考えたが、それがバレたらアカギも容赦なく仕返しをしてくるに違いない。そうなると、先に仕掛けた方が不利になる。
それに、この神聖な勝負をサマなんかで穢したくはなかった。それはかなり恐怖していた私でも唯一譲れない、最後の一線だったのだ。
そして迎えたオーラス。
ここで逆転手を打たなければ、死ぬ。
もう心臓はバクバクだった。
死にたくない、というよりも、ずっとアカギと勝負していたい、という気持ち。
……あなたに通じるかな。
そう思いながら、13枚の牌を取っていった。
そして牌を開けると、ここへ来て、大三元が狙えそうな手が私に舞い降りた。