4.最終局面
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「どうしてあの組長がオレたち2人に4000万も借せるのか、疑問に思わないの」
「……どういうことよ」
「えっと、アカギさん?」
「……オレは代打ちで稼ぐ腕がある、と組長は見込んでいる。だから4000万を借せる。それに、いざとなれば死ねば良いだけの話。つまり、負けても返済可能な額、ってこと」
「し、死ねば良いって……」
「でも、それは私も同じでしょ? 何か問題が?」
「大アリだよ。あんたは自覚できていない」
「何をよ」
その後アカギから発された言葉は、私にとって予想外のことだった。
「あんたは女だってこと」
それに何の関係が——、と考えて、私は青くなった。
「ただでさえ女ってだけで代打ちに呼ばれないあんたが、ここで一度負けたら二度と呼ばれなくなる。ヤクザにもヤクザのメンツってもんがあるんだ。だからと言って、4000万を生命保険だけで支払うのにも無理がある。そうなれば、女であるあんたが行くところは1つ」
風俗・ソープ堕ち……。
「……」
「金を持った男に気に入られれば上出来。散々働かされてから、さらに命や臓器を金に変え、ようやく返済ってところだな」
「ア、アカギさんっ!」
知らない。
私、そんなこと知らない。
負けても代打ちで稼いだり、すぐ死んで終わりかと思ってた。死ぬなら良い。勝負の末に死ぬのは。ただ、閉じ込められて、穢されて、希望もなく死ぬなんて、ただの拷問だ。
私の美徳、全てに反する。論外。論外……
「オレとあんたには、ハナから失う物に差があったんだ。こういうリスクは等分にするのが公正なギャンブル。だから、今オリるなら1500万は免除しよう」
「東雲さん、オリましょうったら!! そんな東雲さん、見たくない」
この時、私は迷っていた。でも、負けると決まったわけじゃないし、身の破滅を賭けての勝負なんて、私が一番望んでたことじゃなかったの? それに、
「自分が女であることを言い訳にするつもりはない。続行よ」
「ちょっと!!」
「……なるほどね。中々芯があるじゃない。なおさら、あんたのその奥を見てみたくなる」
「奥?」
「さっきも言ったけど、お前は自分を繕うことに慣れている。慣れ過ぎた。勝負の時になるとその傾向がよく出る。その口調もそう」
「……!」
「まるで小娘。1本しかない尾を9本に見せたがる。あんたは、そんな見栄を張っている」
「馬鹿にしないで」
私はカチンときた。それが図星だったからか、全く的外れだったからか、見透かされていることが嫌だったのか、アカギに小娘と思われていることが心外だったからかは分からない。
とにかく嫌で、でも否定はできなくて、そして悔しいほどにアカギが色っぽかった。
私は、さっさと次の賭け金を決めようと、牌をめくった。勝負を早く始めないと、決心が鈍ってしまいそうだったから。
現在の差額は2200万。
そしてめくった牌は、
西
「西……ってことは」
治さんから血の気が引いていく。
字牌を引いた場合、前回の勝負の二倍となる。
さっきの賭け金は900万だった。
つまり、次の賭け金は1800万。
負ければ、(2200+1800)万で、差額はちょうど4000万に到達し、私は終わる。
アカギはにやりと口の端を上げた。
私も顔が引きつらないよう注意しながら、それに応じた。
ここへ来て、私の血が騒ぎ出す。
「休憩時間は終わりよ」
次で負けたら、終わり。
「……どういうことよ」
「えっと、アカギさん?」
「……オレは代打ちで稼ぐ腕がある、と組長は見込んでいる。だから4000万を借せる。それに、いざとなれば死ねば良いだけの話。つまり、負けても返済可能な額、ってこと」
「し、死ねば良いって……」
「でも、それは私も同じでしょ? 何か問題が?」
「大アリだよ。あんたは自覚できていない」
「何をよ」
その後アカギから発された言葉は、私にとって予想外のことだった。
「あんたは女だってこと」
それに何の関係が——、と考えて、私は青くなった。
「ただでさえ女ってだけで代打ちに呼ばれないあんたが、ここで一度負けたら二度と呼ばれなくなる。ヤクザにもヤクザのメンツってもんがあるんだ。だからと言って、4000万を生命保険だけで支払うのにも無理がある。そうなれば、女であるあんたが行くところは1つ」
風俗・ソープ堕ち……。
「……」
「金を持った男に気に入られれば上出来。散々働かされてから、さらに命や臓器を金に変え、ようやく返済ってところだな」
「ア、アカギさんっ!」
知らない。
私、そんなこと知らない。
負けても代打ちで稼いだり、すぐ死んで終わりかと思ってた。死ぬなら良い。勝負の末に死ぬのは。ただ、閉じ込められて、穢されて、希望もなく死ぬなんて、ただの拷問だ。
私の美徳、全てに反する。論外。論外……
「オレとあんたには、ハナから失う物に差があったんだ。こういうリスクは等分にするのが公正なギャンブル。だから、今オリるなら1500万は免除しよう」
「東雲さん、オリましょうったら!! そんな東雲さん、見たくない」
この時、私は迷っていた。でも、負けると決まったわけじゃないし、身の破滅を賭けての勝負なんて、私が一番望んでたことじゃなかったの? それに、
「自分が女であることを言い訳にするつもりはない。続行よ」
「ちょっと!!」
「……なるほどね。中々芯があるじゃない。なおさら、あんたのその奥を見てみたくなる」
「奥?」
「さっきも言ったけど、お前は自分を繕うことに慣れている。慣れ過ぎた。勝負の時になるとその傾向がよく出る。その口調もそう」
「……!」
「まるで小娘。1本しかない尾を9本に見せたがる。あんたは、そんな見栄を張っている」
「馬鹿にしないで」
私はカチンときた。それが図星だったからか、全く的外れだったからか、見透かされていることが嫌だったのか、アカギに小娘と思われていることが心外だったからかは分からない。
とにかく嫌で、でも否定はできなくて、そして悔しいほどにアカギが色っぽかった。
私は、さっさと次の賭け金を決めようと、牌をめくった。勝負を早く始めないと、決心が鈍ってしまいそうだったから。
現在の差額は2200万。
そしてめくった牌は、
西
「西……ってことは」
治さんから血の気が引いていく。
字牌を引いた場合、前回の勝負の二倍となる。
さっきの賭け金は900万だった。
つまり、次の賭け金は1800万。
負ければ、(2200+1800)万で、差額はちょうど4000万に到達し、私は終わる。
アカギはにやりと口の端を上げた。
私も顔が引きつらないよう注意しながら、それに応じた。
ここへ来て、私の血が騒ぎ出す。
「休憩時間は終わりよ」
次で負けたら、終わり。