4.最終局面
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私は次の配牌を見て、今回もこの作戦のまま行くことに決めた。アカギは現物を切ってくる。その間に、ツモ和了りした。
設定上では安牌のはずの牌で和了ったのだから、私が言わば2つの手牌を持っているということを知らないアカギは、さぞ驚いていることだろう。だって、自分が間違えたんだから。
そう思ってまたアカギの顔を見ると、割と余裕そうな顔をしている。まさに難攻不落。
どうすればこの人を焦らせることが出来るのだろう? この人は一体、何に恐怖するのか。全くブレないから、こっちが臆してしまう。
「不思議か?」
「え?」
「今、僅かだが気の迷いが見えた。今和了ったのは東雲、あんたなんだから、もっと堂々としていなよ」
「あ、あなたに何が分かるのよ」
「フフ……既にあんたのことならお見通しさ、東雲さん」
私のことを初めて “東雲さん” と呼んだアカギの声がやけに優しくて、どきりとする。けど、私のことならお見通しって、そんなはずはない。だってあなたが読めるのは、あくまでも “設定上の” 私の手牌でしょ。無理よ。こんな言葉で私は惑わされない。次もこの手でやってやる。
「じゃあ、次は私から直撃を取ってみなさい」
私は舐められないよう、威圧的に言った。
「そのつもり」
やれるものならやってみてよ。あなたが直撃に固執すればするほど、絡みついてこっちが取ってみせる。この作戦は対アカギ用なの。言ってみれば、あなたを潰すためのものなんだから!
私は2回も高めの点数を取れていたし、その内の1回はアカギから直撃を取っていた。だから、次もいけると信じ切っていた。そして、私がまた設定を考えながら手作りしていると、
「ロン。残念、それだ」
「!」
ダマテン、筒子の清一色? 早い。でもアカギは割と筒子は捨てていた。わざわざ多面張から待ちを変えて狙ってきたってこと? 非効率的だけど、実際に私から直撃を取れている。
でもこの筒子は、設定上切らなければいけない牌だったんだから仕方がない。別に私の牌が読まれてたってわけじゃないし、アカギの引きとかが良かっただけでしょ。これは仕方のないこと。
私が打ちを変えたのはまだ誰にもばれていないはず。だから、大丈夫。
しかし。
次は、アカギの裸単騎に当たってしまう。
「ロン」
「これ待ち……?」
「ね、お見通しって言ったでしょ」
どうして……? いや、偶然でしょ。偶然。
裸単騎なら、アカギの捨て牌選択は毎回2分の1だから、私の作戦には引っかかりにくいっていうのが関係してるんだ。これも仕方ないこと。私がしていること自体は間違ってないから、大丈夫よ。
点数を逆転されたが、ここで自分を疑っては、打ちがブレてカモに成り下がってしまう。私は私を信じるしかない。これが正しいのだと。
そしてオーラス。アカギは鳴きまくることもなく、私の配牌も高めで罠を作りやすかったので、もう一度頭を使って影武者を作った。
この状況ならアカギは振り込む。振り込んでくれなければ、困る。
一手一手がギャンブルそのもの。最高に楽しい、私が求めていたもの。既に牌を恐れず捨てるのさえ、常人には難しい領域。ここで勝てなければ、また-900万。
それに、この作戦が通用しないとなれば、私にはもう後がない。本当に運否天賦な麻雀を打たない限り、アカギには届かなくなってしまう。
なおさら、オリることは出来ない。それは負けを意味する。今が正念場。4000万もアカギから絞るには、普通に打ってちゃいけない。
(通れ……)
勝負に出た。
とは言っても、通るとは踏んでいた牌。
それなのに、彼は無言で両手を動かした。
やめて。まさか、噓。
私の悲痛な心の叫びも虚しく、彼は牌を倒した。
「ロン」
設定上では安牌のはずの牌で和了ったのだから、私が言わば2つの手牌を持っているということを知らないアカギは、さぞ驚いていることだろう。だって、自分が間違えたんだから。
そう思ってまたアカギの顔を見ると、割と余裕そうな顔をしている。まさに難攻不落。
どうすればこの人を焦らせることが出来るのだろう? この人は一体、何に恐怖するのか。全くブレないから、こっちが臆してしまう。
「不思議か?」
「え?」
「今、僅かだが気の迷いが見えた。今和了ったのは東雲、あんたなんだから、もっと堂々としていなよ」
「あ、あなたに何が分かるのよ」
「フフ……既にあんたのことならお見通しさ、東雲さん」
私のことを初めて “東雲さん” と呼んだアカギの声がやけに優しくて、どきりとする。けど、私のことならお見通しって、そんなはずはない。だってあなたが読めるのは、あくまでも “設定上の” 私の手牌でしょ。無理よ。こんな言葉で私は惑わされない。次もこの手でやってやる。
「じゃあ、次は私から直撃を取ってみなさい」
私は舐められないよう、威圧的に言った。
「そのつもり」
やれるものならやってみてよ。あなたが直撃に固執すればするほど、絡みついてこっちが取ってみせる。この作戦は対アカギ用なの。言ってみれば、あなたを潰すためのものなんだから!
私は2回も高めの点数を取れていたし、その内の1回はアカギから直撃を取っていた。だから、次もいけると信じ切っていた。そして、私がまた設定を考えながら手作りしていると、
「ロン。残念、それだ」
「!」
ダマテン、筒子の清一色? 早い。でもアカギは割と筒子は捨てていた。わざわざ多面張から待ちを変えて狙ってきたってこと? 非効率的だけど、実際に私から直撃を取れている。
でもこの筒子は、設定上切らなければいけない牌だったんだから仕方がない。別に私の牌が読まれてたってわけじゃないし、アカギの引きとかが良かっただけでしょ。これは仕方のないこと。
私が打ちを変えたのはまだ誰にもばれていないはず。だから、大丈夫。
しかし。
次は、アカギの裸単騎に当たってしまう。
「ロン」
「これ待ち……?」
「ね、お見通しって言ったでしょ」
どうして……? いや、偶然でしょ。偶然。
裸単騎なら、アカギの捨て牌選択は毎回2分の1だから、私の作戦には引っかかりにくいっていうのが関係してるんだ。これも仕方ないこと。私がしていること自体は間違ってないから、大丈夫よ。
点数を逆転されたが、ここで自分を疑っては、打ちがブレてカモに成り下がってしまう。私は私を信じるしかない。これが正しいのだと。
そしてオーラス。アカギは鳴きまくることもなく、私の配牌も高めで罠を作りやすかったので、もう一度頭を使って影武者を作った。
この状況ならアカギは振り込む。振り込んでくれなければ、困る。
一手一手がギャンブルそのもの。最高に楽しい、私が求めていたもの。既に牌を恐れず捨てるのさえ、常人には難しい領域。ここで勝てなければ、また-900万。
それに、この作戦が通用しないとなれば、私にはもう後がない。本当に運否天賦な麻雀を打たない限り、アカギには届かなくなってしまう。
なおさら、オリることは出来ない。それは負けを意味する。今が正念場。4000万もアカギから絞るには、普通に打ってちゃいけない。
(通れ……)
勝負に出た。
とは言っても、通るとは踏んでいた牌。
それなのに、彼は無言で両手を動かした。
やめて。まさか、噓。
私の悲痛な心の叫びも虚しく、彼は牌を倒した。
「ロン」