3.対峙
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「ここからは本気でいかせてもらうよ」
宣言をして、それらしさを出す。そして、打ち始めた。まず私が演出するのは、“こだわらない打ち”。両面待ち、ドラ、親流しなど、普段なら気を遣うべき部分に、配慮をしない。
代わりに、ブラフをかけ、敵を圧倒しつつ、早く高い手を目指す。だから、ドラ表示にもあまり注目しない。
もちろん、私が振り込んでしまう危険性も上がるが、とにかく自己流で点数を稼ぐのだ。
点数を稼ぎたいのに、ドラを捨てるなんて矛盾しているが、それは“今の私”の考えじゃない。
今の私は、自分の手牌とアカギの捨て牌しか見ていない女。そう振る舞い、和了っていく。全ツッパってわけでもないが、攻める。
最初はこちらに流れがあった。
しかし、早くも読まれ始めたのか、溢れた牌を捨てるとそれで和了られるようになった。
「オレを錯乱させるための捨て牌と、あんたが本当に捨てたい牌の匂いは全然違う。そんなに手牌を隠したいか? ……だったらオレは、その逆を行くよ」
「逆?」
私が眉をひそめると、アカギは点棒を取り出して牌を倒した。
「オープンリーチ」
オープンリーチは二翻つく。彼の手牌を見ると、役牌混一色一盃口だった。これにリーチが二本、ツモを加え三本となり、計8本で倍満だ。待ちは三六萬待ち。確かにこの状況、私なら絶対出さない。そして、このオープンリーチで倍満に届くとなると、この選択は間違ってないと言える。
そして数巡後。
「……ツモ」
「くっ」
アカギの華麗なツモ和了り。
「オレは無意味に手牌を偽ったりしない」
これが私以外だったなら、絶体絶命だ。しかし、私にとっては好都合。アカギが私の癖に気づき始めたっていうこと自体が、次の勝負の布石になる。この700万は最初から捨てているのだから、関係ない。むしろ、良い兆候。
結局、アカギが700を掻っ攫っていった。
もちろん、悩んでいる風の表情も作る。苦い顔をして、その700万が惜しいフリをする。実際、これで厳しくなるにはなるので、全くの嘘ではない。差が1300万になったのだから。
でも、これで良い。ここからだ。次は、私が打ちを根本的に変える。ただし、周りからは見ても分からないように。
つまり、脳内で別の手牌を設定して作り、それを目指しているかのような捨て牌にする。
しかし本当は、全く別。
どうしても捨てたいものが出来た場合でも、今の私を見ている人からしたら、その捨て自体がブラフだと感じるだろう。いける。
アカギは頭の回転も早い。今回は、それに賭けるということだ。私はちゃんと、アカギの恐さを知っている。だからこそ出来る、戦略。ここからが勝負だ。私の本当の勝負。山場。
「まだまだ終わらないわよ」
「こんなところで終わらせない」
「次の賭け金は……」
ここで高い数字を引かなければ、私はまた点数を捨てる羽目になる。ここまで引き伸ばせば、十分だろう。低い数字だけは出ないでほしい。
私なら引けるはずだ。むしろ、ここで引かなければ、今の私にツキは無いということだ。
私はこれだ、と思う牌を選んだ。
来い。
選んだのは、九萬だった。
よし!
「流石九尾、悪くない引きだね」
「私もそう思う」
申し分ない。これを待ってたわ。
今、私に流れが来ている!
宣言をして、それらしさを出す。そして、打ち始めた。まず私が演出するのは、“こだわらない打ち”。両面待ち、ドラ、親流しなど、普段なら気を遣うべき部分に、配慮をしない。
代わりに、ブラフをかけ、敵を圧倒しつつ、早く高い手を目指す。だから、ドラ表示にもあまり注目しない。
もちろん、私が振り込んでしまう危険性も上がるが、とにかく自己流で点数を稼ぐのだ。
点数を稼ぎたいのに、ドラを捨てるなんて矛盾しているが、それは“今の私”の考えじゃない。
今の私は、自分の手牌とアカギの捨て牌しか見ていない女。そう振る舞い、和了っていく。全ツッパってわけでもないが、攻める。
最初はこちらに流れがあった。
しかし、早くも読まれ始めたのか、溢れた牌を捨てるとそれで和了られるようになった。
「オレを錯乱させるための捨て牌と、あんたが本当に捨てたい牌の匂いは全然違う。そんなに手牌を隠したいか? ……だったらオレは、その逆を行くよ」
「逆?」
私が眉をひそめると、アカギは点棒を取り出して牌を倒した。
「オープンリーチ」
オープンリーチは二翻つく。彼の手牌を見ると、役牌混一色一盃口だった。これにリーチが二本、ツモを加え三本となり、計8本で倍満だ。待ちは三六萬待ち。確かにこの状況、私なら絶対出さない。そして、このオープンリーチで倍満に届くとなると、この選択は間違ってないと言える。
そして数巡後。
「……ツモ」
「くっ」
アカギの華麗なツモ和了り。
「オレは無意味に手牌を偽ったりしない」
これが私以外だったなら、絶体絶命だ。しかし、私にとっては好都合。アカギが私の癖に気づき始めたっていうこと自体が、次の勝負の布石になる。この700万は最初から捨てているのだから、関係ない。むしろ、良い兆候。
結局、アカギが700を掻っ攫っていった。
もちろん、悩んでいる風の表情も作る。苦い顔をして、その700万が惜しいフリをする。実際、これで厳しくなるにはなるので、全くの嘘ではない。差が1300万になったのだから。
でも、これで良い。ここからだ。次は、私が打ちを根本的に変える。ただし、周りからは見ても分からないように。
つまり、脳内で別の手牌を設定して作り、それを目指しているかのような捨て牌にする。
しかし本当は、全く別。
どうしても捨てたいものが出来た場合でも、今の私を見ている人からしたら、その捨て自体がブラフだと感じるだろう。いける。
アカギは頭の回転も早い。今回は、それに賭けるということだ。私はちゃんと、アカギの恐さを知っている。だからこそ出来る、戦略。ここからが勝負だ。私の本当の勝負。山場。
「まだまだ終わらないわよ」
「こんなところで終わらせない」
「次の賭け金は……」
ここで高い数字を引かなければ、私はまた点数を捨てる羽目になる。ここまで引き伸ばせば、十分だろう。低い数字だけは出ないでほしい。
私なら引けるはずだ。むしろ、ここで引かなければ、今の私にツキは無いということだ。
私はこれだ、と思う牌を選んだ。
来い。
選んだのは、九萬だった。
よし!
「流石九尾、悪くない引きだね」
「私もそう思う」
申し分ない。これを待ってたわ。
今、私に流れが来ている!