3.対峙
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私は100万を稼ぎ、これで同点となった。
この際100万なんて、小銭みたいなものだ。
そして、900万の勝負では、300点差で負けた。かなり惜しいところまでいったと思うんだけど。アカギの運は相変わらず良い。この点差は、アカギが1本場で和了った300点分だ。偶然だと思うけど、こういうピリついた勝負も、まさに麻雀、って感じで、良い。
いや、アカギのことだから、わざとこの300点差で負けるように仕組んだっていうのもあり得る。私に思い切った戦法を取らせるために。
この勝負で、少し闘い方が変わってきた。他家からの和了で点を稼ごうとする相手の、邪魔をする形を目指す。
例えば、他家への振り込み、頭ハネ、鳴きでのツモ飛ばし。これらは基本的なことだが、この勝負ではそれがさらに大事になってくる。どれをどう使い、誰を利用し勢いを止めるか、といったゲームにもなってくる。
もちろん、それらをすり抜け、自分が和了ることも忘れてはならない。
そういった邪魔が鬱陶しかったので、私は300万の勝負で、少し乱暴な麻雀を打つことにした。というか、そういう手牌になった。要は、
「カン」
明槓、暗槓、加カン。
ツモるのが嶺上牌ならば、誰にも邪魔が出来ない。
そして成った時は、
「嶺上開花」
責任払いの発生。
「そうやって打ったりもするんだな」
「まあね。点はいただくわよ」
「どうぞ」
そして流れを掴み、親番では小細工も出来ないような安い手で和了ったりする。それはアカギにもどうしようもできない。
この勝負はなんとかトップを取り、300万円分は取り返せた。
「東雲もやるな……芯を持っている」
「ああ、アカギ相手に大きく出られるやつはそう多くはいない」
「アカギにとっても初めてだろう」
違う。
確かに、合計で私が4勝、赤木しげるが2勝していて、一見私が有利に見える。
しかし、既に私は600万負けているのだ。
何故なら、半荘ごとにその重みが違うから。毎回の賭け金は出た牌の目で決めている。いわば、天に任せた状態。安い時に和了ってばかりいても、仕方がない。
アカギはその点で強い。だって彼は、“勝つべき時に勝つ”男だから。まさに勝負師。
でも、私だって負けちゃいない。
私には策があった。次の勝負で、私の本当の打ち筋を見せてあげる。罠を張って、引っ掛けて。でも、アカギにはきっと通用しない。彼は今までの相手とは全然違うんだ。
だから、次の勝負では勝てなくても良い。
むしろそれを目的には打たない。
とにかく、私というものをアカギに強く印象づけることが大事。その後、私は化ける。
そもそも、私に打ち筋などあってないようなもの。私は自由に打ちを変えることが出来る。
だから、まずは私の癖を勘違いさせる。ああ、こいつは本気を出すとこういう打ち方をするのか、とアカギに観察させるのだ。そしてその次の勝負では、それとは全く違った打ちをする。
ただし、それだとすぐバレてしまうので、さっきの打ち方と少し被せるように打つ。私にしか打ちを変えたことは分からない。
つまり、周りから見た時には、さっきまでと同じ打ちをしているように装う。
そうすれば、アカギでさえも気付かず、きっと、私がわざと見せつけた時の癖から判断して、牌を捨てることになる。それを待ちにすれば、アカギから直撃を取れる……といった計算だ。
問題は、私がそれを気付かれずに出来るかどうか。打ちを急に変えるんだ、少し空気が変わったことを察されれば一瞬にしてバレてしまう。
大丈夫、自分を偽るのは得意分野。私はどこにだって適応してきたし、いつだって自分を作れた。
そう、これが本当の私の打ち。幻のように、見えるが決して触れることは出来ない、実体の無いもの。
次は700万の賭けになった。
この700万は捨てても良い。
いや、捨てる。
この勝負の間は、自分を偽り、私の癖について勘違いを起こさせることに集中するんだ。
この際100万なんて、小銭みたいなものだ。
そして、900万の勝負では、300点差で負けた。かなり惜しいところまでいったと思うんだけど。アカギの運は相変わらず良い。この点差は、アカギが1本場で和了った300点分だ。偶然だと思うけど、こういうピリついた勝負も、まさに麻雀、って感じで、良い。
いや、アカギのことだから、わざとこの300点差で負けるように仕組んだっていうのもあり得る。私に思い切った戦法を取らせるために。
この勝負で、少し闘い方が変わってきた。他家からの和了で点を稼ごうとする相手の、邪魔をする形を目指す。
例えば、他家への振り込み、頭ハネ、鳴きでのツモ飛ばし。これらは基本的なことだが、この勝負ではそれがさらに大事になってくる。どれをどう使い、誰を利用し勢いを止めるか、といったゲームにもなってくる。
もちろん、それらをすり抜け、自分が和了ることも忘れてはならない。
そういった邪魔が鬱陶しかったので、私は300万の勝負で、少し乱暴な麻雀を打つことにした。というか、そういう手牌になった。要は、
「カン」
明槓、暗槓、加カン。
ツモるのが嶺上牌ならば、誰にも邪魔が出来ない。
そして成った時は、
「嶺上開花」
責任払いの発生。
「そうやって打ったりもするんだな」
「まあね。点はいただくわよ」
「どうぞ」
そして流れを掴み、親番では小細工も出来ないような安い手で和了ったりする。それはアカギにもどうしようもできない。
この勝負はなんとかトップを取り、300万円分は取り返せた。
「東雲もやるな……芯を持っている」
「ああ、アカギ相手に大きく出られるやつはそう多くはいない」
「アカギにとっても初めてだろう」
違う。
確かに、合計で私が4勝、赤木しげるが2勝していて、一見私が有利に見える。
しかし、既に私は600万負けているのだ。
何故なら、半荘ごとにその重みが違うから。毎回の賭け金は出た牌の目で決めている。いわば、天に任せた状態。安い時に和了ってばかりいても、仕方がない。
アカギはその点で強い。だって彼は、“勝つべき時に勝つ”男だから。まさに勝負師。
でも、私だって負けちゃいない。
私には策があった。次の勝負で、私の本当の打ち筋を見せてあげる。罠を張って、引っ掛けて。でも、アカギにはきっと通用しない。彼は今までの相手とは全然違うんだ。
だから、次の勝負では勝てなくても良い。
むしろそれを目的には打たない。
とにかく、私というものをアカギに強く印象づけることが大事。その後、私は化ける。
そもそも、私に打ち筋などあってないようなもの。私は自由に打ちを変えることが出来る。
だから、まずは私の癖を勘違いさせる。ああ、こいつは本気を出すとこういう打ち方をするのか、とアカギに観察させるのだ。そしてその次の勝負では、それとは全く違った打ちをする。
ただし、それだとすぐバレてしまうので、さっきの打ち方と少し被せるように打つ。私にしか打ちを変えたことは分からない。
つまり、周りから見た時には、さっきまでと同じ打ちをしているように装う。
そうすれば、アカギでさえも気付かず、きっと、私がわざと見せつけた時の癖から判断して、牌を捨てることになる。それを待ちにすれば、アカギから直撃を取れる……といった計算だ。
問題は、私がそれを気付かれずに出来るかどうか。打ちを急に変えるんだ、少し空気が変わったことを察されれば一瞬にしてバレてしまう。
大丈夫、自分を偽るのは得意分野。私はどこにだって適応してきたし、いつだって自分を作れた。
そう、これが本当の私の打ち。幻のように、見えるが決して触れることは出来ない、実体の無いもの。
次は700万の賭けになった。
この700万は捨てても良い。
いや、捨てる。
この勝負の間は、自分を偽り、私の癖について勘違いを起こさせることに集中するんだ。