3.対峙
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気付けば、治さんだけじゃなくて、周りの人間も動揺していた。
でも、そんなこと関係ない。組長も口を挟んでこないということは、勝負は成立したのだ。口を挟めるわけがない。だって、彼らが私たちを招いたんだから。
「じゃあ早速、仮親の私が」
私は目の前の牌を人差し指でひっくり返した。四筒。まずは賭け金400万からだ。4000万も差がつくには、何回も半荘戦をすることになる。徹夜はほぼ確定だろう。大丈夫、昼寝はしっかりしてきたし。とりあえず小手調べといったところか。
「じゃあ、始めましょ」
「ああ」
そして、少し力を抜きつつ打ち始めた。
皆が注目している。身体の熱が上がっていく。まさに、って感じだ。私は目を一瞬閉じて、“勝負の時の私”を作った。
見惚れたって知らないわよ、そこのヤーさん方。
まずは私に流れが来た。軽く上がった後から来る好配牌。わざわざ狙わなくとも、入ってくる、この感じ。
「ポン」
まだ手の内を明かしたくはないのは、お互い同じだから、特に目立った動きはなく、素直に打つ。そんな時にこの流れはありがたいものだった。指が牌に吸い付く。
「ツモ。三色同刻対々和、満貫」
ツモ和了り。やはり簡単に赤木しげるから直撃など取れるものじゃない。今回は点差は関係なく、どちらの順位が上かで半荘ごとの勝敗が決まる。まずは点棒拾いからだ。
「結構、用心深いね」
アカギが口元に笑みを浮かべている。
「こんなに男の人に囲まれて緊張するなって言う方が無理な話じゃない?」
「よく言うよ」
この半荘、アカギは高い手が来てもオリているようだった。私の打ち筋を観察しているのだろうか、不気味に感じる。
でも、私がここでオリる理由はないし。癖を出さないようにしつつ、素直に、あくまで素直に勝ちを目指す。
あっけなく半荘が終わり、この1回戦目は私の逃げ切りに終わった。私がトップで、アカギは2着。まずは400万を手にした。もちろん、現金ではなく、数字上である。金は決着がついた後でまとめてやり取りをするからだ。
そしてようやく、今勝負をしているという実感が湧き始める。
「楽しい」
「まだこれからでしょ」
そう、まだ足りない。まだ序盤中の序盤。
私は、そうね、と澄ました声で言った。
2戦目、五索がめくられ、賭け金は500万となった。
今この瞬間に、自分は金を賭けているのだ。
金、もとい命を。
私はどんどん熱くなっていくのが自分で分かった。
でも、そんなこと関係ない。組長も口を挟んでこないということは、勝負は成立したのだ。口を挟めるわけがない。だって、彼らが私たちを招いたんだから。
「じゃあ早速、仮親の私が」
私は目の前の牌を人差し指でひっくり返した。四筒。まずは賭け金400万からだ。4000万も差がつくには、何回も半荘戦をすることになる。徹夜はほぼ確定だろう。大丈夫、昼寝はしっかりしてきたし。とりあえず小手調べといったところか。
「じゃあ、始めましょ」
「ああ」
そして、少し力を抜きつつ打ち始めた。
皆が注目している。身体の熱が上がっていく。まさに、って感じだ。私は目を一瞬閉じて、“勝負の時の私”を作った。
見惚れたって知らないわよ、そこのヤーさん方。
まずは私に流れが来た。軽く上がった後から来る好配牌。わざわざ狙わなくとも、入ってくる、この感じ。
「ポン」
まだ手の内を明かしたくはないのは、お互い同じだから、特に目立った動きはなく、素直に打つ。そんな時にこの流れはありがたいものだった。指が牌に吸い付く。
「ツモ。三色同刻対々和、満貫」
ツモ和了り。やはり簡単に赤木しげるから直撃など取れるものじゃない。今回は点差は関係なく、どちらの順位が上かで半荘ごとの勝敗が決まる。まずは点棒拾いからだ。
「結構、用心深いね」
アカギが口元に笑みを浮かべている。
「こんなに男の人に囲まれて緊張するなって言う方が無理な話じゃない?」
「よく言うよ」
この半荘、アカギは高い手が来てもオリているようだった。私の打ち筋を観察しているのだろうか、不気味に感じる。
でも、私がここでオリる理由はないし。癖を出さないようにしつつ、素直に、あくまで素直に勝ちを目指す。
あっけなく半荘が終わり、この1回戦目は私の逃げ切りに終わった。私がトップで、アカギは2着。まずは400万を手にした。もちろん、現金ではなく、数字上である。金は決着がついた後でまとめてやり取りをするからだ。
そしてようやく、今勝負をしているという実感が湧き始める。
「楽しい」
「まだこれからでしょ」
そう、まだ足りない。まだ序盤中の序盤。
私は、そうね、と澄ました声で言った。
2戦目、五索がめくられ、賭け金は500万となった。
今この瞬間に、自分は金を賭けているのだ。
金、もとい命を。
私はどんどん熱くなっていくのが自分で分かった。