3.対峙
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ようやく、勝負が始まる。
まずは私とアカギが対面に座り、東南西北を使って残りの2人の席と仮親決めをした。
ここからが本番だ。麻雀牌にはまだ手を触れない。私たちはまだ、何を賭けるかを決めていないからだ。まずはそこから。
「さて、どうしましょうかねぇ」
私が言うと、アカギの切れ長の目が私を捉える。身体がぴくりと反応しそうになるが、なんとか抑え、自分の瞳で彼の視線を反射させる。このやり取りでさえ、楽しい。
「今お互いの持ち金は無い。必然的にこれから金のやり取りをする時は、川田組から借りる形になる」
「了解。えっと、利子は……」
組長をチラリと見る。
「敗者にのみ、負けた額に200万を加えた値段が負債となる、というのはどうかな」
「あれ、歩合制じゃなくて良いんですか?」
「なぁに、こちらも楽しませてもらっておる。このくらいの措置は当然じゃ」
「ありがとうございます、分かりました」
私はアカギに向き直った。
「それじゃあ、いくら賭ける?」
「……あんた、総資産いくら持ってるの」
「600万くらいはあったはずだけど」
目の端で治さんが私をすごい顔で見つめているのが分かる。お願いだからそんな風に見ないでよ。私はもう、あなたの知ってる東雲舞美じゃないから。
「ふーん、結構持ってるんだね。で、この組はオレたちにどれだけ借せる?」
「む……。東雲が600万持っているのならば、4000万円までは借せるといったところかの」
「クク……そっちも結構儲かってんだ。なら話は早い。賭け金は始める前の、牌の引いた数字で決める。単位は100万。引いたのが字牌ならその前の倍額を賭けることにする」
例えば、三索を引いたら300万を賭けて半荘、次に白を引いたらその二倍の600万を賭けるってことだ。
「とっても面白そう。乗った」
「そして、オレとあんたの差額が4000万になるまでこれを続ける。ただし、途中で勝負をオリるには1500万払ってもらうぜ」
「上等。私もあなたもオリないでしょ」
「えっ、ってことは、どっちかは必ず4000万、いや、4200万の負債を背負うことになるんですよ?! そんなの、おかしいですって……!」
「おかしくない。私はこのために来たの」
「そんなっ……」
治さんは、私の身とアカギの身、両方を案じているんだろう。これは推測だけど、私に少し惚れてるっぽいし。
もちろん、4200万なんて大金、返せる当てはない。下手をすれば最終的に生命保険を使って、命で支払うことになる。ヤクザから金を借りるというのはそういうことなのだ。でも、互いに譲歩はしない。
どちらかが潰れるまでやる。
まずは私とアカギが対面に座り、東南西北を使って残りの2人の席と仮親決めをした。
ここからが本番だ。麻雀牌にはまだ手を触れない。私たちはまだ、何を賭けるかを決めていないからだ。まずはそこから。
「さて、どうしましょうかねぇ」
私が言うと、アカギの切れ長の目が私を捉える。身体がぴくりと反応しそうになるが、なんとか抑え、自分の瞳で彼の視線を反射させる。このやり取りでさえ、楽しい。
「今お互いの持ち金は無い。必然的にこれから金のやり取りをする時は、川田組から借りる形になる」
「了解。えっと、利子は……」
組長をチラリと見る。
「敗者にのみ、負けた額に200万を加えた値段が負債となる、というのはどうかな」
「あれ、歩合制じゃなくて良いんですか?」
「なぁに、こちらも楽しませてもらっておる。このくらいの措置は当然じゃ」
「ありがとうございます、分かりました」
私はアカギに向き直った。
「それじゃあ、いくら賭ける?」
「……あんた、総資産いくら持ってるの」
「600万くらいはあったはずだけど」
目の端で治さんが私をすごい顔で見つめているのが分かる。お願いだからそんな風に見ないでよ。私はもう、あなたの知ってる東雲舞美じゃないから。
「ふーん、結構持ってるんだね。で、この組はオレたちにどれだけ借せる?」
「む……。東雲が600万持っているのならば、4000万円までは借せるといったところかの」
「クク……そっちも結構儲かってんだ。なら話は早い。賭け金は始める前の、牌の引いた数字で決める。単位は100万。引いたのが字牌ならその前の倍額を賭けることにする」
例えば、三索を引いたら300万を賭けて半荘、次に白を引いたらその二倍の600万を賭けるってことだ。
「とっても面白そう。乗った」
「そして、オレとあんたの差額が4000万になるまでこれを続ける。ただし、途中で勝負をオリるには1500万払ってもらうぜ」
「上等。私もあなたもオリないでしょ」
「えっ、ってことは、どっちかは必ず4000万、いや、4200万の負債を背負うことになるんですよ?! そんなの、おかしいですって……!」
「おかしくない。私はこのために来たの」
「そんなっ……」
治さんは、私の身とアカギの身、両方を案じているんだろう。これは推測だけど、私に少し惚れてるっぽいし。
もちろん、4200万なんて大金、返せる当てはない。下手をすれば最終的に生命保険を使って、命で支払うことになる。ヤクザから金を借りるというのはそういうことなのだ。でも、互いに譲歩はしない。
どちらかが潰れるまでやる。