20.狐日和[終]
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舞美が眠りについた頃、アカギは舞美の寝顔をじっと見つめていた。
何故、自分がこの女を特別扱いしてしまうのか分からない、といった様子で。
舞美は鈍感だった。
アカギが苛つくほどに。
スカートの丈が短いだの 胸元を開けすぎているだのといった指摘では、何も伝わってはいなかった。
わざわざ彼女に勝負を仕掛け、完全に落ちたところでわざと丁半を外して選択を強いることで舞美を自分のものにしたのは、他でもないアカギだった。
元々手に入れるために勝負をしたのではなかったはず。
しかしこれは彼も気がついていないだけで、アカギは舞美を手に入れるための動きを無意識的にしてしまっていたのだった。
そんなアカギは肘をついて、舞美の寝顔を眺めている。
***
あんたは、馬鹿だ。
さっきの条件でオレと勝負しちまったら、
オレはあんたに「すき」だと言えなくなるんだぜ。
「嘘でもいいから」なんて、本当は言う必要ないのに、
どうにもあんたはそいつに頼っちまう。
どうして、あんたはこんなにもオレを煩わせるんだ。
……こんな風にオレが女に酔うのは、
あんたが最初で最後かもしれない。
だったら、オレかあんた、どちらかが飽きるまでだ。
……それまでは、オレはあんたを離さずにいよう。
***
「クク……」
アカギは皮肉っぽく笑った。
「ああ本当に……嫌になるな、この感情」
後に裏社会で神域の男と呼ばれる赤木しげる。
彼が生涯で愛したのは、この東雲舞美という女狐ただ1人。
彼女はまだ、なにも知らずに寝息を立てている。
アカギが彼女に向けるその眼差しは、慈愛に満ちていた。
それは、満月の綺麗な夜のことだった。
舞美がアカギの気持ちを知るのには、まだまだ時間が必要。
——そう、この化かし合い は、まだ始まったばかり。
そして、アカギは何かに気がついたようにふっと笑った。
「ああ、確かに……フフ……ねじ曲げられねえもんだな、この気持ちは」
「——“すき”だよ、舞美。」
それは、誰にも語られることのない静かな秘密だった。
惚れた腫れたは丁半博打。[終]
何故、自分がこの女を特別扱いしてしまうのか分からない、といった様子で。
舞美は鈍感だった。
アカギが苛つくほどに。
スカートの丈が短いだの 胸元を開けすぎているだのといった指摘では、何も伝わってはいなかった。
わざわざ彼女に勝負を仕掛け、完全に落ちたところでわざと丁半を外して選択を強いることで舞美を自分のものにしたのは、他でもないアカギだった。
元々手に入れるために勝負をしたのではなかったはず。
しかしこれは彼も気がついていないだけで、アカギは舞美を手に入れるための動きを無意識的にしてしまっていたのだった。
そんなアカギは肘をついて、舞美の寝顔を眺めている。
***
あんたは、馬鹿だ。
さっきの条件でオレと勝負しちまったら、
オレはあんたに「すき」だと言えなくなるんだぜ。
「嘘でもいいから」なんて、本当は言う必要ないのに、
どうにもあんたはそいつに頼っちまう。
どうして、あんたはこんなにもオレを煩わせるんだ。
……こんな風にオレが女に酔うのは、
あんたが最初で最後かもしれない。
だったら、オレかあんた、どちらかが飽きるまでだ。
……それまでは、オレはあんたを離さずにいよう。
***
「クク……」
アカギは皮肉っぽく笑った。
「ああ本当に……嫌になるな、この感情」
後に裏社会で神域の男と呼ばれる赤木しげる。
彼が生涯で愛したのは、この東雲舞美という女狐ただ1人。
彼女はまだ、なにも知らずに寝息を立てている。
アカギが彼女に向けるその眼差しは、慈愛に満ちていた。
それは、満月の綺麗な夜のことだった。
舞美がアカギの気持ちを知るのには、まだまだ時間が必要。
——そう、この
そして、アカギは何かに気がついたようにふっと笑った。
「ああ、確かに……フフ……ねじ曲げられねえもんだな、この気持ちは」
「——“すき”だよ、舞美。」
それは、誰にも語られることのない静かな秘密だった。
惚れた腫れたは丁半博打。[終]
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