3.対峙
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治さんはそんなことまで覚えていたのか。
それなら、最後に会った日以降も私を探してあの辺りを散歩していたんだろう、と容易に想像できる。
「どっちにしろ、勝負の日程が既に決まった後にも会ったっていうのか。東雲、こうすることでアカギを躊躇させようと近付いたわけじゃあるまいな」
「まさか。そんなつもりじゃないです」
とんだ誤解だ。私だって今知ったわけだし。
すると、思わぬ助け舟が入った。
「オレはそんなことで躊躇なんざしない。勝負は問題なく出来ますよ」
そうだよね。あなたはそうだと思ってた。
でも、勝負が進むにつれ、治さんは胃が痛くなるでしょうね。
必ずどちらかが追い詰められるんだから。
「うむ……。分かった、アカギがそう言うのなら、良いだろう。ただし、その治とやらは、アカギの後ろと、東雲の後ろで観戦することは許されない」
「それはもっともです」
お互い、手や仕草で合図を決めている可能性があるからだ。本来なら治さんはアカギの後ろで見ている予定だったのだが、私と関係があると分かって、それが出来なくなったということ。
「アカギさんの対戦相手が……東雲さんだなんて。オレはどうすれば」
治さんはどちらからも遠い場所で、頭を抱える。
「ごめんね」
私はあっさりそう言った。なぜか1番うろたえている治さんから、私は意識を離す。
私が今意識すべきは目の前の男、赤木しげるだけだから。
それにしても、と私は考える。ってことはだ。アカギは治さんを助けたってこと。
治さんが先輩に細工されてボロ負けしていた時に、それを見抜いて、金を取り返した、って? じゃあ、アカギは沼田工場に勤めていたの?
私は、赤木しげるという者は冷酷で残忍な男なんだと思ってた。でも、それは間違っていたのかも。なぜか治さんと一緒にいたりするし。
……なんで治さんなの? 賭博が強いとも見えないし。でも確かに、芯はあるのかな。そこをアカギに買われたのか。
なんで治さんの立ち位置が私じゃないんだろう、と心の中で考えて、自分で焦る。私は何を考えているの? 今からこの人と闘うっていうのに。それなのに、行動を共にしたいだなんて。まさか。今のはただの気まぐれよ。
私はパチパチとまばたきをして正面を向いた。
当の本人は、私の目を見ると、にやりと笑みを浮かべた。格下とでも思われているのか、それとも純粋に勝負が楽しみなのか。
その心中はよく分からないけれど、その目を見ているとなんだか心が吸い取られそうになるので、私は自分を強く持てるよう、姿勢を正した。
それなら、最後に会った日以降も私を探してあの辺りを散歩していたんだろう、と容易に想像できる。
「どっちにしろ、勝負の日程が既に決まった後にも会ったっていうのか。東雲、こうすることでアカギを躊躇させようと近付いたわけじゃあるまいな」
「まさか。そんなつもりじゃないです」
とんだ誤解だ。私だって今知ったわけだし。
すると、思わぬ助け舟が入った。
「オレはそんなことで躊躇なんざしない。勝負は問題なく出来ますよ」
そうだよね。あなたはそうだと思ってた。
でも、勝負が進むにつれ、治さんは胃が痛くなるでしょうね。
必ずどちらかが追い詰められるんだから。
「うむ……。分かった、アカギがそう言うのなら、良いだろう。ただし、その治とやらは、アカギの後ろと、東雲の後ろで観戦することは許されない」
「それはもっともです」
お互い、手や仕草で合図を決めている可能性があるからだ。本来なら治さんはアカギの後ろで見ている予定だったのだが、私と関係があると分かって、それが出来なくなったということ。
「アカギさんの対戦相手が……東雲さんだなんて。オレはどうすれば」
治さんはどちらからも遠い場所で、頭を抱える。
「ごめんね」
私はあっさりそう言った。なぜか1番うろたえている治さんから、私は意識を離す。
私が今意識すべきは目の前の男、赤木しげるだけだから。
それにしても、と私は考える。ってことはだ。アカギは治さんを助けたってこと。
治さんが先輩に細工されてボロ負けしていた時に、それを見抜いて、金を取り返した、って? じゃあ、アカギは沼田工場に勤めていたの?
私は、赤木しげるという者は冷酷で残忍な男なんだと思ってた。でも、それは間違っていたのかも。なぜか治さんと一緒にいたりするし。
……なんで治さんなの? 賭博が強いとも見えないし。でも確かに、芯はあるのかな。そこをアカギに買われたのか。
なんで治さんの立ち位置が私じゃないんだろう、と心の中で考えて、自分で焦る。私は何を考えているの? 今からこの人と闘うっていうのに。それなのに、行動を共にしたいだなんて。まさか。今のはただの気まぐれよ。
私はパチパチとまばたきをして正面を向いた。
当の本人は、私の目を見ると、にやりと笑みを浮かべた。格下とでも思われているのか、それとも純粋に勝負が楽しみなのか。
その心中はよく分からないけれど、その目を見ているとなんだか心が吸い取られそうになるので、私は自分を強く持てるよう、姿勢を正した。