20.狐日和[終]
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「ふふっ」
嘘だって分かっていても、ほころんでしまう自分にまた笑えてくる。
前回試して分かったんだけど、「嘘でもいい」って本当に都合のいい言葉だ。
アカギは半ば呆れたような表情をしている。
「あんた、そうやって何人もの男を弄んできたんだろ」
「全然。それはむしろあなたの方でしょ」
「あんたほどじゃない」
そう言われて、アカギの切れ長の目を横から覗く私。
「じゃあさ、勝負しましょうよ」
「なに?」
「今度はさ、私があなたを惚れさせてみせるの」
「……へえ?」
やっぱり食いついた。普段、アカギはつまらない勝負は受けないんだけれど、これは私のことをつまらなくないって思ってくれている証拠になるよね。
「また丁半?」
「ううん」
私は首を振った。
「そもそも、この勝負はあなたがいなくなったら終わりなの。だって、アカギはいつだって私の元を離れていけるんだから」
「確かにそうだ」
というわけで、と続ける。
「私は、次の日もアカギが私の隣にいることに賭けるっていうのはどう?」
「……なるほどね」
アカギは口角を上げた。
「うん、私も自分で良い案だと思うの。この条件でどう?」
「いいんじゃない」
やった。私はガッツポーズをした。
「三度目の正直ってやつよ。次こそ勝ってやるの」
「フフ……二度あることは三度あるとも言うけど?」
「ぐ。な、なら、仏の顔も三度までよ!」
「……三度までってことは、四度目に怒られるんだろ? なんだ。結局三回目は負けるんじゃない」
「あぁ。もう」
私はポスンとベッドを拳で軽く殴った。でも、本当はずっとこんな軽口を叩いていたい。それって、アカギが私の隣にいるってことだから。
「とにかく、決まりだから。また私と勝負しなさいよ」
「あんたも懲りないね」
「まぁね」
私は布団に潜り込んだ。
「あれ……もう寝るの」
「え、そのつもりだけど。……なんで?」
「あんた、オレに襲われたいって言ってたじゃない。てっきり——」
「て、てっきりも何も無い! 襲われたいなんて言ってないもの!」
「……そう」
アカギも、私に続いて布団をかぶる。
「ざんねん」
そ、そんなこと言われても……私だって、残念だし……!
私はふと、思いつきでアカギに話しかけた。
「アカギ、温泉行きたい」
「……温泉?」
「うん」
アカギは少し考えてから言った。
「良いな、温泉。悪くない」
「決定!」
この時の気まぐれで、私たちは後日、粟津温泉に行くこととなる。が、それはまた別の話。
「じゃあ、今日は寝るよ」
「ん。温泉であんたを抱けばいいんでしょ」
「そ……そんなことは言ってないけど」
否定しながらも、早速温泉が楽しみになってきている私。多分救いようがない。
「東雲」
「なに?」
珍しい、アカギが寝る前に話しかけてくるなんて。そう思っていると、
「後にも先にも、あんただけだ」
と言われる。
「え?」
アカギって……、アカギってもしかして。
「……おやすみ」
「え、あ、おやすみ、なさい」
アカギの気まぐれな爆弾発言に、私は悶々としながら眠りについた。
ちなみにこれはアカギの癖みたいなもので、彼のこういった気まぐれに、私はこれから幾たびか頭を悩ませることとなる。
そして、この時眠りにつく前に、私の中で出た結論が、1つだけある。
——アカギって、もしかして、私のこと結構すきなんじゃない……?
なんて。
嘘だって分かっていても、ほころんでしまう自分にまた笑えてくる。
前回試して分かったんだけど、「嘘でもいい」って本当に都合のいい言葉だ。
アカギは半ば呆れたような表情をしている。
「あんた、そうやって何人もの男を弄んできたんだろ」
「全然。それはむしろあなたの方でしょ」
「あんたほどじゃない」
そう言われて、アカギの切れ長の目を横から覗く私。
「じゃあさ、勝負しましょうよ」
「なに?」
「今度はさ、私があなたを惚れさせてみせるの」
「……へえ?」
やっぱり食いついた。普段、アカギはつまらない勝負は受けないんだけれど、これは私のことをつまらなくないって思ってくれている証拠になるよね。
「また丁半?」
「ううん」
私は首を振った。
「そもそも、この勝負はあなたがいなくなったら終わりなの。だって、アカギはいつだって私の元を離れていけるんだから」
「確かにそうだ」
というわけで、と続ける。
「私は、次の日もアカギが私の隣にいることに賭けるっていうのはどう?」
「……なるほどね」
アカギは口角を上げた。
「うん、私も自分で良い案だと思うの。この条件でどう?」
「いいんじゃない」
やった。私はガッツポーズをした。
「三度目の正直ってやつよ。次こそ勝ってやるの」
「フフ……二度あることは三度あるとも言うけど?」
「ぐ。な、なら、仏の顔も三度までよ!」
「……三度までってことは、四度目に怒られるんだろ? なんだ。結局三回目は負けるんじゃない」
「あぁ。もう」
私はポスンとベッドを拳で軽く殴った。でも、本当はずっとこんな軽口を叩いていたい。それって、アカギが私の隣にいるってことだから。
「とにかく、決まりだから。また私と勝負しなさいよ」
「あんたも懲りないね」
「まぁね」
私は布団に潜り込んだ。
「あれ……もう寝るの」
「え、そのつもりだけど。……なんで?」
「あんた、オレに襲われたいって言ってたじゃない。てっきり——」
「て、てっきりも何も無い! 襲われたいなんて言ってないもの!」
「……そう」
アカギも、私に続いて布団をかぶる。
「ざんねん」
そ、そんなこと言われても……私だって、残念だし……!
私はふと、思いつきでアカギに話しかけた。
「アカギ、温泉行きたい」
「……温泉?」
「うん」
アカギは少し考えてから言った。
「良いな、温泉。悪くない」
「決定!」
この時の気まぐれで、私たちは後日、粟津温泉に行くこととなる。が、それはまた別の話。
「じゃあ、今日は寝るよ」
「ん。温泉であんたを抱けばいいんでしょ」
「そ……そんなことは言ってないけど」
否定しながらも、早速温泉が楽しみになってきている私。多分救いようがない。
「東雲」
「なに?」
珍しい、アカギが寝る前に話しかけてくるなんて。そう思っていると、
「後にも先にも、あんただけだ」
と言われる。
「え?」
アカギって……、アカギってもしかして。
「……おやすみ」
「え、あ、おやすみ、なさい」
アカギの気まぐれな爆弾発言に、私は悶々としながら眠りについた。
ちなみにこれはアカギの癖みたいなもので、彼のこういった気まぐれに、私はこれから幾たびか頭を悩ませることとなる。
そして、この時眠りにつく前に、私の中で出た結論が、1つだけある。
——アカギって、もしかして、私のこと結構すきなんじゃない……?
なんて。