20.狐日和[終]
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そして最後には、ただ表面に唇を押し付けるだけのものに変わった。単純にお互いがそこにいることを確かめるべく、私たちは本能的に、口の先でその輪郭を押さえ込み、自分のものにしようと躍起になる。
「ん、んむっ」
息が吸えないから息継ぎをしようとすると、やっぱりそれは許されなくて、「こら」と注意される代わりに続行される、アカギの魔法の口づけ。
頭がくらくらする。
脳内はアカギのことでいっぱいになって、むしろアカギのこと以外考えられなくなっている。
「んぅ!」
酸素が足りなくてアカギをトントンとノックすると、アカギは一旦私から離れた。
それはそれで名残惜しいけど、私はなんとか解放された。
「顔、真っ赤だぜ」
「……苦しい、のよっ」
理由は絶対それだけじゃないと思うけど、私はそう答えた。アカギは「ふうん?」と流す。
「アカギ」
私は呟いた。
「どうしたの」
アカギに尋ねられ、私は言いかけていた言葉を飲み込んだ。流石に何回も同じこと聞いたらアカギだって鬱陶しいだろうし……。
「ううん、なんでもないの」
「そう」
そして、別の話題を口にする。
「そう言えば、あの日……、私が丁半博打で負けた日のこと」
ああ、正確に言うと丁半博打に負けたのはあなたの方なんだけど。そう付け加え、私は疑問を尋ねた。
「あの時、丁か半かを外したのは、わざとなの?」
すると、アカギはくつくつと笑い、私に目を向けた。
「どっちだと思う?」
「えっと」
「あんたは、どっちであって欲しい?」
「それは——」
考えてみて、私は首をひねった。
わざと外したんなら、それこそ計画的に私を落とそうとしていたことになって嬉しいし、そうでないなら、一時的にでも私はアカギに勝利していたということになって、嬉しい。
アカギは、にやりと笑った。
「あんたを落とせるなら、どんな手段でも良かったんだぜ」
そんなアカギに、悩殺されてしまう。
「どうして……?」
アカギは、ふっと儚げに息をついた。
「あんたの、その熱のこもった視線にほだされちまった」
えっ。
「あんたを見ると、オレが今まで持つはずのなかった感情が湧いてきちまう」
アカギは首を傾げた。
「なんだろうね」
私は、衝動的にアカギに身を寄せてから、すかさず、さっき言えなかったことを口にした。
「アカギ、すきって言って」
瞳を覗き込む。
「嘘でもいいから」
アカギは、ふうと息をついた。
「嘘でも……ね」
「うん」
“嘘”を確認した彼は、私の耳にそっと口を寄せて、あの声で囁いた。
「あんたがすきだよ、舞美」
「ん、んむっ」
息が吸えないから息継ぎをしようとすると、やっぱりそれは許されなくて、「こら」と注意される代わりに続行される、アカギの魔法の口づけ。
頭がくらくらする。
脳内はアカギのことでいっぱいになって、むしろアカギのこと以外考えられなくなっている。
「んぅ!」
酸素が足りなくてアカギをトントンとノックすると、アカギは一旦私から離れた。
それはそれで名残惜しいけど、私はなんとか解放された。
「顔、真っ赤だぜ」
「……苦しい、のよっ」
理由は絶対それだけじゃないと思うけど、私はそう答えた。アカギは「ふうん?」と流す。
「アカギ」
私は呟いた。
「どうしたの」
アカギに尋ねられ、私は言いかけていた言葉を飲み込んだ。流石に何回も同じこと聞いたらアカギだって鬱陶しいだろうし……。
「ううん、なんでもないの」
「そう」
そして、別の話題を口にする。
「そう言えば、あの日……、私が丁半博打で負けた日のこと」
ああ、正確に言うと丁半博打に負けたのはあなたの方なんだけど。そう付け加え、私は疑問を尋ねた。
「あの時、丁か半かを外したのは、わざとなの?」
すると、アカギはくつくつと笑い、私に目を向けた。
「どっちだと思う?」
「えっと」
「あんたは、どっちであって欲しい?」
「それは——」
考えてみて、私は首をひねった。
わざと外したんなら、それこそ計画的に私を落とそうとしていたことになって嬉しいし、そうでないなら、一時的にでも私はアカギに勝利していたということになって、嬉しい。
アカギは、にやりと笑った。
「あんたを落とせるなら、どんな手段でも良かったんだぜ」
そんなアカギに、悩殺されてしまう。
「どうして……?」
アカギは、ふっと儚げに息をついた。
「あんたの、その熱のこもった視線にほだされちまった」
えっ。
「あんたを見ると、オレが今まで持つはずのなかった感情が湧いてきちまう」
アカギは首を傾げた。
「なんだろうね」
私は、衝動的にアカギに身を寄せてから、すかさず、さっき言えなかったことを口にした。
「アカギ、すきって言って」
瞳を覗き込む。
「嘘でもいいから」
アカギは、ふうと息をついた。
「嘘でも……ね」
「うん」
“嘘”を確認した彼は、私の耳にそっと口を寄せて、あの声で囁いた。
「あんたがすきだよ、舞美」