20.狐日和[終]
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「え、女は入れない、ですって⁈」
賭場に入る前に止められてしまった私は、憤りを隠せずにいた。
「女子供が来るところじゃねえんだよ。ガキは帰んな」
「っ……」
私は、何も言い返せず、アカギを見上げた。
「じゃあ、私、宿で待ってるから、あなたは楽しんできて」
そう言って帰路に足を向ける私を、アカギは、「まあ、待ちな」と呼び止めた。そして、鞄を開け、その中身を男に見せた。
男は、かなりの大金を目にして驚いている。
そりゃそうだ、門番なんかしてる男はそんなに上の者じゃない。
「よく聞きな」
アカギは言った。
「この女は、オレにとって勝利の女神みたいなもんなんだ。こいつがいなきゃ、オレは勝てない」
何を……?
「だから、このまんまじゃ、この金を賭けてはやれねえな。……あんたはそれで良いの?」
それを聞いた門番の男は喉を鳴らし、顔色を変えて近くの者を呼びつけ、上に物を申し立てた。これほどの大金が手に入るのであれば、私を中に入れるかどうかなど、些細な話。
結局、上からの許可は下りて、私は特例として中に入れてもらえることになった。
「アカギ、ありがとう」
廊下でこそっと礼を言うと、アカギは目を逸らした。
「別に、あんたのためじゃない」
「え?」
どう考えても、私のためだと思うんだけど。
「もしかして、本当に私を勝利の女神かなんかだと思ってる?」
「馬鹿言うなよ」
アカギは笑ってから、不思議そうに私を凝視した。
「なんでかな。あんたを隣に置いて勝負すると、いつもより昂ぶるんだよ……勝負の熱が」
「そ、そうなの?」
初耳。
そんなこと、今まで一言も言わなかったのに。
アカギはまた、ふいっと私から目を逸らした。
「クク……どうなっちまってるんだろうね、オレは」
その物言いには、ヤケクソと嘲りの意と、それから少しの愛がこもっているような気がした。
そしてその愛っていうのは多分私を想ってのこと。アカギの、私への愛がそこにはこもっていた。でも、当の本人アカギはそんなつもりで言ったんじゃなくて、ただ自分の思ったことを言っただけなんだよね……。
ああダメ、またドキドキしてきた。
赤木しげるについては、全然慣れない。
いつでも、いつまでも私はあなたの虜。
勝負しているアカギが好き。
自分をもっているアカギが好き。
それと、あと、
無意識のうちに私を少しだけ受け入れてくれる、そんなアカギがすき。
賭場に入る前に止められてしまった私は、憤りを隠せずにいた。
「女子供が来るところじゃねえんだよ。ガキは帰んな」
「っ……」
私は、何も言い返せず、アカギを見上げた。
「じゃあ、私、宿で待ってるから、あなたは楽しんできて」
そう言って帰路に足を向ける私を、アカギは、「まあ、待ちな」と呼び止めた。そして、鞄を開け、その中身を男に見せた。
男は、かなりの大金を目にして驚いている。
そりゃそうだ、門番なんかしてる男はそんなに上の者じゃない。
「よく聞きな」
アカギは言った。
「この女は、オレにとって勝利の女神みたいなもんなんだ。こいつがいなきゃ、オレは勝てない」
何を……?
「だから、このまんまじゃ、この金を賭けてはやれねえな。……あんたはそれで良いの?」
それを聞いた門番の男は喉を鳴らし、顔色を変えて近くの者を呼びつけ、上に物を申し立てた。これほどの大金が手に入るのであれば、私を中に入れるかどうかなど、些細な話。
結局、上からの許可は下りて、私は特例として中に入れてもらえることになった。
「アカギ、ありがとう」
廊下でこそっと礼を言うと、アカギは目を逸らした。
「別に、あんたのためじゃない」
「え?」
どう考えても、私のためだと思うんだけど。
「もしかして、本当に私を勝利の女神かなんかだと思ってる?」
「馬鹿言うなよ」
アカギは笑ってから、不思議そうに私を凝視した。
「なんでかな。あんたを隣に置いて勝負すると、いつもより昂ぶるんだよ……勝負の熱が」
「そ、そうなの?」
初耳。
そんなこと、今まで一言も言わなかったのに。
アカギはまた、ふいっと私から目を逸らした。
「クク……どうなっちまってるんだろうね、オレは」
その物言いには、ヤケクソと嘲りの意と、それから少しの愛がこもっているような気がした。
そしてその愛っていうのは多分私を想ってのこと。アカギの、私への愛がそこにはこもっていた。でも、当の本人アカギはそんなつもりで言ったんじゃなくて、ただ自分の思ったことを言っただけなんだよね……。
ああダメ、またドキドキしてきた。
赤木しげるについては、全然慣れない。
いつでも、いつまでも私はあなたの虜。
勝負しているアカギが好き。
自分をもっているアカギが好き。
それと、あと、
無意識のうちに私を少しだけ受け入れてくれる、そんなアカギがすき。