3.対峙
名前変換はコチラから
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
私はまたか、と夜空を見上げた。
勝負を受けてからちょうど1ヶ月が経った。
空にはあの時と同じように妖しく光る丸い月が見える。いや、よく見ると少し欠けているような気もする。今日という日に相応しい空模様だな、なんて私は笑った。
ようやく赤木しげると会える。
石川から貰った封筒には、賭けに使う現金を持参する必要はない、と書かれていた。即時払いである必要は無いってことだ。金のやり取りはまとめて後に行うってこと。それか、借金か。
家も割れているんだから、逃げは出来ない。
他の賭場や雀荘に脇目もふらず、指定された住所に行くと、大きめの屋敷があった。でも、川田組の本部というわけではなさそう。とりあえず、屋敷を囲んでいる塀を辿り、入口を探した。
全く、本部の他にこれほど大きな場所を持っていたなんて。相当儲かっているのかな。やるじゃん。
「あ」
入口を見つけた。組の下の方だと思われるチンピラが見張りをしている。
彼らは私に気付くと、声をあげた。その顔には少し動揺が見受けられる。
「東雲様、ですね?」
「えぇ」
大体は、本当に女が来たことに驚いているのだろうと見当がつく。ヤクザが見張りを置いている場所にわざわざ近付く女は、普通いない。いるとしたら、それはこの私、東雲舞美だ。
「お待ちしておりました、どうぞ中へ」
ガラリと扉が開けられた。
なるほど、ここでは私は客人として迎えられるのか。このチンピラ達は最近可愛がられている下っ端といったところか。さっきの反応から察するに、私が何しにここへ来たのかなどは分かっていないらしい。
こんな風に下の者に見張らせ、私さえ知らない屋敷を今日の場所に選んだってことは、組も勝負の結果を外に出さないよう、一応は配慮してくれているってことだ。結構しっかりしてる。
なんてことを思いつつ、そっと中に入り、靴を脱ぐ。その間も、出来るだけ上品に振る舞う。
折角、良い服だって着てきたんだから。これぞ本当の勝負服ってもの。私だけが、私を最高級に飾り付けることができる。そのチャンスを活かさないで、どうするっていうの?
自分の容姿が悪くないってことは、周りの反応から分かる。可愛いだとか美人だとか、初めは全部お世辞の種だと思っていたけど、どうやらそうではないらしい。だから九尾狐にも一定の熱烈な支持があるみたいで、少し笑える。
「こちらです」
案内者の後ろをついて行く。やはりここは広い。日本庭園を横目に迷路のような長い廊下を歩くと、何やら個室に着いた。
「勝負の時が来るまでは、ここでお過ごしください」
綺麗な和室だ。壁には何か絵が掛かっている。
とりあえず腰を下ろした。
すぐに夕食が運ばれてくる。
一応、最後の晩餐にもなり得る食事だ。川田組は最高のもてなしをしているみたい。
私は拒む理由もなかったので、口をつけた。これに何か仕込むような真似はしないはず。赤木しげると組の繋がりはないからだ。
「……美味しい」
高級な和食……。美味に決まっている。
腹は減っては何とやら。
私は本格的に食し始めた。
勝負を受けてからちょうど1ヶ月が経った。
空にはあの時と同じように妖しく光る丸い月が見える。いや、よく見ると少し欠けているような気もする。今日という日に相応しい空模様だな、なんて私は笑った。
ようやく赤木しげると会える。
石川から貰った封筒には、賭けに使う現金を持参する必要はない、と書かれていた。即時払いである必要は無いってことだ。金のやり取りはまとめて後に行うってこと。それか、借金か。
家も割れているんだから、逃げは出来ない。
他の賭場や雀荘に脇目もふらず、指定された住所に行くと、大きめの屋敷があった。でも、川田組の本部というわけではなさそう。とりあえず、屋敷を囲んでいる塀を辿り、入口を探した。
全く、本部の他にこれほど大きな場所を持っていたなんて。相当儲かっているのかな。やるじゃん。
「あ」
入口を見つけた。組の下の方だと思われるチンピラが見張りをしている。
彼らは私に気付くと、声をあげた。その顔には少し動揺が見受けられる。
「東雲様、ですね?」
「えぇ」
大体は、本当に女が来たことに驚いているのだろうと見当がつく。ヤクザが見張りを置いている場所にわざわざ近付く女は、普通いない。いるとしたら、それはこの私、東雲舞美だ。
「お待ちしておりました、どうぞ中へ」
ガラリと扉が開けられた。
なるほど、ここでは私は客人として迎えられるのか。このチンピラ達は最近可愛がられている下っ端といったところか。さっきの反応から察するに、私が何しにここへ来たのかなどは分かっていないらしい。
こんな風に下の者に見張らせ、私さえ知らない屋敷を今日の場所に選んだってことは、組も勝負の結果を外に出さないよう、一応は配慮してくれているってことだ。結構しっかりしてる。
なんてことを思いつつ、そっと中に入り、靴を脱ぐ。その間も、出来るだけ上品に振る舞う。
折角、良い服だって着てきたんだから。これぞ本当の勝負服ってもの。私だけが、私を最高級に飾り付けることができる。そのチャンスを活かさないで、どうするっていうの?
自分の容姿が悪くないってことは、周りの反応から分かる。可愛いだとか美人だとか、初めは全部お世辞の種だと思っていたけど、どうやらそうではないらしい。だから九尾狐にも一定の熱烈な支持があるみたいで、少し笑える。
「こちらです」
案内者の後ろをついて行く。やはりここは広い。日本庭園を横目に迷路のような長い廊下を歩くと、何やら個室に着いた。
「勝負の時が来るまでは、ここでお過ごしください」
綺麗な和室だ。壁には何か絵が掛かっている。
とりあえず腰を下ろした。
すぐに夕食が運ばれてくる。
一応、最後の晩餐にもなり得る食事だ。川田組は最高のもてなしをしているみたい。
私は拒む理由もなかったので、口をつけた。これに何か仕込むような真似はしないはず。赤木しげると組の繋がりはないからだ。
「……美味しい」
高級な和食……。美味に決まっている。
腹は減っては何とやら。
私は本格的に食し始めた。