「ハッ、なんだよ？」

アカギは、勇気を振り絞って顔を近づけた私を嘲笑った。

「んっ、だ、だめ……？」

未だ自分からキスをしたことのない私は、戸惑いながら尋ねた。何しろ、一度拒まれているから、気が弱ってしまう。
アカギは、腰の動きを緩めて、言った。

「……あんたがしたいと思うことをしなよ」

私は、喉を鳴らし、アカギの瞳を見た。
それから、さらにアカギと距離を詰め、唇を重ね合わせた。

「ん、む」

拒否、されない。

「ふ……っ」

あまりの幸福度に息が漏れ出る。
とうとう、受け入れてもらえた。

「んん」

アカギはまた抽送を開始した。
動きが激しくなるにつれ、舌も密着し、さらに絡みつく。お腹にアカギの腹筋を感じるし、アカギは私の胸の膨らみを感じているだろう。

私の腰にはアカギの手が回され、床から引き上げられているし、私はアカギの肩に抱きついている。こんな状態、普段なら許されない。
しあわせ。こんなしあわせ、初めて。

「……んぅう」

喉の奥まで攻めてきたアカギに、思わず声をあげる。

今夜は甘い。その甘さと言ったら、もうそれはそれは。
ハムハムとアカギの唇を味わえば、舌を吸われて仕返しされ、アカギの動きに合わせて腰を少しだけ揺らしてみれば、奥の奥まで攻められる。
とろけちゃう。こんなにきもちいいなんて。

とにかく、上も下も、身体全体でアカギと繋がっていた。好き。アカギが、本当に好き。
一旦口を離して、見つめ合う。
が、私の口から小さな喘ぎ声が出てしまう。

すると突然、

「すきだよ、あんたの声」

なんて言われ、私は驚きのあまり、口をつぐんでしまった。今、せっかく声を褒められたっていうのに。

「ねえ、聞かせてよ」
「っ……！」
「うん、我慢しないで。すきだから」
「ねえやだ、そんなことっ、言わないでぇ」
「フフ、もっとマシな嘘をつきなよ」

“すき” というのが私の声のことを言っているにしても、タチが悪い。私は結局、また甘い声で悦び続ける。アカギは満足げだった。

奥のイイところをずっと攻められて、私は限界を迎えた。とろんとした目でアカギを見れば、アカギも切羽詰まっていることは一目瞭然だった。

「あ、ん、アカギ、も、むり」
「……は、オレも、そろそろ」

アカギが打ち付けるたびに音がする。

「う、」

そろそろ、くる。きてる。

確実に、大きな快感の波が私を攫っていく。
その波動は押し寄せる度に大きくなり、とうとう、それは私の許容量をはるかに超える。

きもちい、アカギとするのきもちよすぎる。
あぁ、もうダメ。イっちゃう！

「アカギ、イクぅ……っ！」
「ん」

どちらからということもなく、また、自然に口づけを交わす私たち。その状態で、私は、

「んっ⁈ んんんぅうっ……！」

と、膣を痙攣させながら深い絶頂を迎えた。
口の端から唾液が溢れ出て、もうどこもかしこもとろっとろ。

溶けた私に、アカギは急に腰を振るのをやめ、私をぎゅううと抱き締めた後、彼は

「っく……ぅ、」

と辛そうな声を出し、目を瞑ってそのまま達したようだった。