16.惚れた腫れたは。
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私は照れながらも、ようやく、声をひねり出した。
「ほんっとに……悪趣味」
アカギはフフフと笑ってから、頬杖をついて、わざとらしく尋ねた。
「なにが。」
目を細めて、私を微笑みながら見つめるアカギ。この色気に、何度頭を抱えただろうか。
私はやれやれ、とアカギから目を逸らした。
じゃないと、何か魔が差しそうだったから。
それにしても、これは、どういう状態なんだろうか。
私が頭をぐるぐるさせていると、
「今夜、ここを出る」
と、アカギが言った。
「出る……?」
私は、目を見開いた。
え、それじゃあ、やっぱりお別れってこと?
今のは別れの挨拶みたいなもの?
相思相愛……って勘違いしたわけじゃないけど、でも、それって、それって酷い。
「イヤ」
泣きそうになっていたのだろうか、アカギは私の顔を見て、片眉をあげた。
「なに、その顔」
「え……?」
「あんたはどうするの」
アカギは言った。
「来ないの?」
私はぶんぶんと首を振った。
「ううん、行く。ついてく」
「そう」
なんだ、捨てられるってわけじゃなかったのか。私は嬉しくて胸がいっぱいになった。
「東雲との勝負が終わったら、どちらにせよここを出て行くつもりでいた」
そうそう。アカギは一箇所に留まらないんだった。私とまあまあ過ごしたこの地は、既に古い場所だと考えているのかもしれない。
「それにしても、随分と素直になったじゃない」
アカギはなんだか嬉しそうだった。
「あんた、ここに来る時は意味の分からない意地を張ってたでしょ。それがこんなに聞き分けが良く育ったってことか」
「そ、育ったって、そんな言い方」
でも確かに、アカギへの想いや自分の意志は、少しだけ、素直に表現できるようになったかもしれない。
アカギは、私の喉元に人差し指の腹を当て、まるで犬っころにするみたいに、こちょこちょとくすぐった。
「いいや、育ったよ。ほら、いい子」
私はその指の動きが心地よくて、されるがままになっていた。むしろ、少し顎を突き出して、くすぐりを促すような姿勢になった。
ああ全く、本当に素直になったらしい。
「んん」
私がもし九尾であったなら、九つの尻尾を千切れんばかりにフル稼動させていただろう。
私はアカギに、ベタ惚れしてしまった負け狐 なんだから。
16.惚れた腫れたは。〈完〉
「ほんっとに……悪趣味」
アカギはフフフと笑ってから、頬杖をついて、わざとらしく尋ねた。
「なにが。」
目を細めて、私を微笑みながら見つめるアカギ。この色気に、何度頭を抱えただろうか。
私はやれやれ、とアカギから目を逸らした。
じゃないと、何か魔が差しそうだったから。
それにしても、これは、どういう状態なんだろうか。
私が頭をぐるぐるさせていると、
「今夜、ここを出る」
と、アカギが言った。
「出る……?」
私は、目を見開いた。
え、それじゃあ、やっぱりお別れってこと?
今のは別れの挨拶みたいなもの?
相思相愛……って勘違いしたわけじゃないけど、でも、それって、それって酷い。
「イヤ」
泣きそうになっていたのだろうか、アカギは私の顔を見て、片眉をあげた。
「なに、その顔」
「え……?」
「あんたはどうするの」
アカギは言った。
「来ないの?」
私はぶんぶんと首を振った。
「ううん、行く。ついてく」
「そう」
なんだ、捨てられるってわけじゃなかったのか。私は嬉しくて胸がいっぱいになった。
「東雲との勝負が終わったら、どちらにせよここを出て行くつもりでいた」
そうそう。アカギは一箇所に留まらないんだった。私とまあまあ過ごしたこの地は、既に古い場所だと考えているのかもしれない。
「それにしても、随分と素直になったじゃない」
アカギはなんだか嬉しそうだった。
「あんた、ここに来る時は意味の分からない意地を張ってたでしょ。それがこんなに聞き分けが良く育ったってことか」
「そ、育ったって、そんな言い方」
でも確かに、アカギへの想いや自分の意志は、少しだけ、素直に表現できるようになったかもしれない。
アカギは、私の喉元に人差し指の腹を当て、まるで犬っころにするみたいに、こちょこちょとくすぐった。
「いいや、育ったよ。ほら、いい子」
私はその指の動きが心地よくて、されるがままになっていた。むしろ、少し顎を突き出して、くすぐりを促すような姿勢になった。
ああ全く、本当に素直になったらしい。
「んん」
私がもし九尾であったなら、九つの尻尾を千切れんばかりにフル稼動させていただろう。
私はアカギに、ベタ惚れしてしまった負け
16.惚れた腫れたは。〈完〉