16.惚れた腫れたは。
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それは、ただ触れるだけの接吻 。
私は、何が起こったのか認識したと同時に、驚きのあまり何も言えなくなった。
微かに、鼻先も触れ合っているような気がする。
唇を押し付けられたのは最初だけで、後は一点で触れ合うのみに留 まる、そんな初々しい、アカギとのファーストキス。
その時間は一瞬で、ふっと私から離れるようにして、その柔らかな感触は、私の唇から存在を消した。
ゆっくりと、恐る恐る目を開けると、アカギはいつもと変わらぬ顔で、私の目の前に立っていた。
私は何か言おうとしたんだ——何か言わなくちゃ、じゃないとあなたはどこかへ行ってしまうから——でも、何も言葉にできなくて、瞳を潤ませたまま、アカギを見つめることしかできなかった。
以前、私は一度だけ、キスを拒まれている。
それは恋人とするやつでしょ、みたいなことを言われた気がするんだけど……。
じゃあ、このキスは一体、なんなの?
本当に……本当に今、アカギが……?
言わずもがな、私の顔は沸騰したかのように真っ赤で、なんていうか、不安定な状態だ。
アカギは、ふう、と息をついた。
そんなアカギの唇から紡 がれる言の葉に、私はなんとか耳を傾ける。
「こうでもしなきゃ——あんたには、分からないだろうから」
え。
掠 れた声が漏れた。
「勝負は、あんたの負けだけど」
アカギの声がいつもより深く聞こえる。
「あんたに参ってるのは、俺 もなんだ」
それだけ言うと、アカギは全て済んだかのように、さて、と言ってどさりと胡座をかいた。
「え……?」
私は、そっと自分の唇に指で触れてから、そろりと隣に腰を下ろした。
その様子を、アカギはじっと見ていた。
今の発言、さっきの行動、それから、その視線。
どれをとっても、その、まるで、アカギが、私を——。
私は、どうしたら良いのか分からなくて、ただただ熱くて、目の前のお茶に手をつけた。
が、焦りすぎて、少し、茶をこぼしてしまう。
クク……、と声がするので、そちらを見る。
そこには、あまり見たことのないような表情のアカギがいた。
「慌てすぎ」
私は、何が起こったのか認識したと同時に、驚きのあまり何も言えなくなった。
微かに、鼻先も触れ合っているような気がする。
唇を押し付けられたのは最初だけで、後は一点で触れ合うのみに
その時間は一瞬で、ふっと私から離れるようにして、その柔らかな感触は、私の唇から存在を消した。
ゆっくりと、恐る恐る目を開けると、アカギはいつもと変わらぬ顔で、私の目の前に立っていた。
私は何か言おうとしたんだ——何か言わなくちゃ、じゃないとあなたはどこかへ行ってしまうから——でも、何も言葉にできなくて、瞳を潤ませたまま、アカギを見つめることしかできなかった。
以前、私は一度だけ、キスを拒まれている。
それは恋人とするやつでしょ、みたいなことを言われた気がするんだけど……。
じゃあ、このキスは一体、なんなの?
本当に……本当に今、アカギが……?
言わずもがな、私の顔は沸騰したかのように真っ赤で、なんていうか、不安定な状態だ。
アカギは、ふう、と息をついた。
そんなアカギの唇から
「こうでもしなきゃ——あんたには、分からないだろうから」
え。
「勝負は、あんたの負けだけど」
アカギの声がいつもより深く聞こえる。
「あんたに参ってるのは、
それだけ言うと、アカギは全て済んだかのように、さて、と言ってどさりと胡座をかいた。
「え……?」
私は、そっと自分の唇に指で触れてから、そろりと隣に腰を下ろした。
その様子を、アカギはじっと見ていた。
今の発言、さっきの行動、それから、その視線。
どれをとっても、その、まるで、アカギが、私を——。
私は、どうしたら良いのか分からなくて、ただただ熱くて、目の前のお茶に手をつけた。
が、焦りすぎて、少し、茶をこぼしてしまう。
クク……、と声がするので、そちらを見る。
そこには、あまり見たことのないような表情のアカギがいた。
「慌てすぎ」