16.惚れた腫れたは。
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「ああ」
アカギは何事もなく言った。
「オレは治とも離れたじゃない。あんたがオレを友達だの好敵手だのと考えていようが、オレがここを出て行くことには影響しない」
「そう……」
私はうつむいた。そうだ。それは当たり前。今、アカギは私と離れようとしているんだから。
ただ、別れ際に、私が惚れたか惚れていないか聞こうとしているみたいなもの。
そもそも、アカギは自分のためだけに生きていて、基本的に、他人なんて見ていない。
そんなアカギに買ってもらえたということ自体、私にとっては幸運だったのだ。
駄目なのかな?
彼は、近づいちゃ駄目な人だったのかな?
私はアカギの顔をじっと見た。
アカギは、言った。
「あんたは、惚れてない相手に惚れたなどと嘯 くような人間じゃない。例えオレと一緒にいたくても、惚れていないなら、そう言うでしょ」
そうかもしれない。
問題は、私が心の底から惚れていることだ。
でも、じゃあ、私、ここで告白とやらをしなくちゃいけないわけ?
分かんないよ、どうしたら良いの?
絶対、私には無理だ。あんな、アカギなんていう人を私の元に留めておくなんて。
どうしよう。
私はなんて言えば良い?
アカギと離れたくない。
でも、勝負に負けたらアカギに捨てられる。
そして、苦しいほどに、私は惚れている。
最後の選択が二択なんて、おかしいよ。
どうして?
どうすればいい?
そう言えば、治さんは……?
治さんは、私に告白した時、どう言ってたっけ。
———————————————————————————
「いや……僕じゃ無理だって思ってました」
「なんでしょう……。とりあえず、この気持ちを知って欲しかったんですかね? それで振ってもらえないと、僕はずっと片思いすることになりますし」
「そりゃあ、悲しいですけど、」
「それでも大山さんがちゃんと振ってくれたので良かったです。忘れられるかは置いておいて……後悔は、ないですよ」
———————————————————————————
——ああ、なんてこと。
あの時の私にはぴんと来ていなかった。
でも、治さんは治さんの矜持を持っていたんだ。
何か、心の奥がすっと決まったような気がした。でも、その勇気が出ない。
腹は決めた。
あとは、私自身の問題。
私が、非情なほどに、私になりきれるかどうかだ。
「東雲」
そんな私を見て、アカギが優しく言った。
「偽るなよ」
「え……?」
「もう、オレの前では偽らないで」
ああ……そっか。
なんだ、そうか、そんなことか。
私は、彼の声を聞いて、ふと、思いついた言葉をぽろっと口にした。
「————あなたが、すき」
アカギは何事もなく言った。
「オレは治とも離れたじゃない。あんたがオレを友達だの好敵手だのと考えていようが、オレがここを出て行くことには影響しない」
「そう……」
私はうつむいた。そうだ。それは当たり前。今、アカギは私と離れようとしているんだから。
ただ、別れ際に、私が惚れたか惚れていないか聞こうとしているみたいなもの。
そもそも、アカギは自分のためだけに生きていて、基本的に、他人なんて見ていない。
そんなアカギに買ってもらえたということ自体、私にとっては幸運だったのだ。
駄目なのかな?
彼は、近づいちゃ駄目な人だったのかな?
私はアカギの顔をじっと見た。
アカギは、言った。
「あんたは、惚れてない相手に惚れたなどと
そうかもしれない。
問題は、私が心の底から惚れていることだ。
でも、じゃあ、私、ここで告白とやらをしなくちゃいけないわけ?
分かんないよ、どうしたら良いの?
絶対、私には無理だ。あんな、アカギなんていう人を私の元に留めておくなんて。
どうしよう。
私はなんて言えば良い?
アカギと離れたくない。
でも、勝負に負けたらアカギに捨てられる。
そして、苦しいほどに、私は惚れている。
最後の選択が二択なんて、おかしいよ。
どうして?
どうすればいい?
そう言えば、治さんは……?
治さんは、私に告白した時、どう言ってたっけ。
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「いや……僕じゃ無理だって思ってました」
「なんでしょう……。とりあえず、この気持ちを知って欲しかったんですかね? それで振ってもらえないと、僕はずっと片思いすることになりますし」
「そりゃあ、悲しいですけど、」
「それでも大山さんがちゃんと振ってくれたので良かったです。忘れられるかは置いておいて……後悔は、ないですよ」
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——ああ、なんてこと。
あの時の私にはぴんと来ていなかった。
でも、治さんは治さんの矜持を持っていたんだ。
何か、心の奥がすっと決まったような気がした。でも、その勇気が出ない。
腹は決めた。
あとは、私自身の問題。
私が、非情なほどに、私になりきれるかどうかだ。
「東雲」
そんな私を見て、アカギが優しく言った。
「偽るなよ」
「え……?」
「もう、オレの前では偽らないで」
ああ……そっか。
なんだ、そうか、そんなことか。
私は、彼の声を聞いて、ふと、思いついた言葉をぽろっと口にした。
「————あなたが、すき」