16.惚れた腫れたは。
名前変換はコチラから
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「あんたはただ選ぶだけ。勝つか、負けるかの選択をするだけだ」
「その選択肢、聞かせてくれない?」
「もちろん」
アカギはふうとため息をついた。
「ひとつ。あんたがオレに惚れていたことを認め、この勝負の勝者をオレとする」
「うん」
「もうひとつ。東雲が、オレに惚れていたことはない、と宣言する。その場合は、あんたの勝ち……オレの敗北となる」
「うん?」
「大事なのは、ここから」
アカギは言った。
「東雲は惚れていないと言うだろうから、その証明が必要となる。それはあんたも分かるよな」
「分かるわ。何をしろっていうの?」
「いや、あんたは何もしなくて良い」
アカギはその、熱いような冷たいような視線を私に向けた。
「あんたがオレに惚れていないと、そう言うのなら……オレは、ここを出ていく」
「え?」
ここを、出る……というと?
「オレはこれから東雲には会わない。オレとあんたは、ここでお別れだ」
「はっ?」
私は目を見開いた。
「おかしいでしょ……それは」
アカギは首を捻った。
「どうして?」
「どうしてって、だって、」
「あんたはオレに “惚れてないはず” だろ? だったら、これは難なく呑める条件のはずだ」
私は絶句した。
つまり、こういうこと。
私は勝ちを選べる。ただし、アカギと会えなくなる条件付きで。
そして、私は負けを選ぶこともできる。その場合は、アカギは……出ていかない、の?
……それは、質問できない。
「もし私が負けを選んだら、アカギはここに残ってくれるの?」と聞いた時点で、私がアカギに惚れていると認めることになってしまう。
「アカギに出て行って欲しくない」という気持ちを吐露した時点で、私は負けを認めたことになる。
私は沈黙した。本当は、ノータイムで勝利宣言をするべきなんだって、分かってるけど。
「アカギには惚れてない。私の勝ちだ、さっさと出て行け」と、言うべきだ……、九尾としては。
でも、そんなこと、“舞美”にはできない。
私には、ある直感があった。もし、今ここでアカギと別れたら、二度と彼には会えない。
アカギが私と会わないと決めたなら、偶然に出逢うことさえ、なくなる。もう二度と、アカギと会うことはなくなるだろう。そんな直感。
私は、ぽつりと言った。
「惚れてなくても……例えば私がアカギのことを、友達や良い勝負相手だと思っていても、私はアカギと離れなくちゃいけないの?」
「その選択肢、聞かせてくれない?」
「もちろん」
アカギはふうとため息をついた。
「ひとつ。あんたがオレに惚れていたことを認め、この勝負の勝者をオレとする」
「うん」
「もうひとつ。東雲が、オレに惚れていたことはない、と宣言する。その場合は、あんたの勝ち……オレの敗北となる」
「うん?」
「大事なのは、ここから」
アカギは言った。
「東雲は惚れていないと言うだろうから、その証明が必要となる。それはあんたも分かるよな」
「分かるわ。何をしろっていうの?」
「いや、あんたは何もしなくて良い」
アカギはその、熱いような冷たいような視線を私に向けた。
「あんたがオレに惚れていないと、そう言うのなら……オレは、ここを出ていく」
「え?」
ここを、出る……というと?
「オレはこれから東雲には会わない。オレとあんたは、ここでお別れだ」
「はっ?」
私は目を見開いた。
「おかしいでしょ……それは」
アカギは首を捻った。
「どうして?」
「どうしてって、だって、」
「あんたはオレに “惚れてないはず” だろ? だったら、これは難なく呑める条件のはずだ」
私は絶句した。
つまり、こういうこと。
私は勝ちを選べる。ただし、アカギと会えなくなる条件付きで。
そして、私は負けを選ぶこともできる。その場合は、アカギは……出ていかない、の?
……それは、質問できない。
「もし私が負けを選んだら、アカギはここに残ってくれるの?」と聞いた時点で、私がアカギに惚れていると認めることになってしまう。
「アカギに出て行って欲しくない」という気持ちを吐露した時点で、私は負けを認めたことになる。
私は沈黙した。本当は、ノータイムで勝利宣言をするべきなんだって、分かってるけど。
「アカギには惚れてない。私の勝ちだ、さっさと出て行け」と、言うべきだ……、九尾としては。
でも、そんなこと、“舞美”にはできない。
私には、ある直感があった。もし、今ここでアカギと別れたら、二度と彼には会えない。
アカギが私と会わないと決めたなら、偶然に出逢うことさえ、なくなる。もう二度と、アカギと会うことはなくなるだろう。そんな直感。
私は、ぽつりと言った。
「惚れてなくても……例えば私がアカギのことを、友達や良い勝負相手だと思っていても、私はアカギと離れなくちゃいけないの?」