16.惚れた腫れたは。
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「なに、何がおかしいの?」
尋ねると、アカギはクククと笑った。
「心配しなくても、出目はもう変わらないよ。オレは半と言ったが、あんたの出したのは丁だ」
「そんなこと、分かってる」
アカギが「オレは丁と言ったのに」などと絶対に言わないことも、分かってる。
「じゃあ、どうしてそんなに余裕なの?」
「なんでだと思う?」
「なんでって、」
私は、もう一度この勝負のルールを思い出した。そこではっとする。
まだ、勝負は終わっていない。
私の脳裏に、あの日のアカギとの会話が浮かんだ。
———————————————————————————
「そしてもし、オレが丁半を外した時には、大山に2つの選択肢が与えられる」
「選択肢?」
「まぁ、それはその時に言うよ。今言っても仕方のないことだしね。ただ、あんたの選択によっては、丁半を外した時のオレの負けがひっくり返る可能性があるってことは覚えておきな」
「ん、分かった」
———————————————————————————
アカギが丁半外したことに驚いて頭から飛んでしまっていたみたいだ。私としたことが。
「……選択肢?」
「そう。忘れてたでしょ」
私はしっかりと、この取り決めに「分かった」と同意してしまっている。だから、今更そんなのはナシ、などとは言えない。
「それにしても、選択肢がどうのって、全く意味が分からない」
「そうだろうね。まぁ、これは言ってみれば確認作業」
「確認作業……?」
アカギはまるでこの日を待ちわびていたかのように、きらりと歯を見せた。
「今、オレは丁半を外した。実質的に、負けている……言ってみれば、オレは今仮死状態にある……」
思わずごくりと喉を鳴らした。
私はアカギをまだ、殺せていない状態だ。
油断は禁物、といったところか。
「が、オレの勝利条件は、あんたがオレに惚れていること……。逆に言えば、このサイコロを振る前に、既に東雲がオレに惚れていたと仮定すると、オレの敗北の前に、あんたの敗北条件が満たされたということになる」
それは、その通りだ。
「もし、あんたがサイコロを振る前に、オレに惚れていたと認めれば、オレは蘇る……! この仮死状態から、あんたを殺せる」
はぁ、なるほど、道理は通っている。
「でも、私がそんなもの認めるわけがないことは、アカギもご存知でしょうに」
私が言うと、アカギは、
「認める認めない、なんてもんじゃない。今からオレが、あんたに認めさせる」
と不敵に笑った。
私はぞくりと背筋が凍るのが分かった。
それでいて、心臓はどくんどくんと脈打ち始めるもんだから、私の身体は混乱している。
こんなにも素敵なアカギを、かつて見たことがあっただろうか。
尋ねると、アカギはクククと笑った。
「心配しなくても、出目はもう変わらないよ。オレは半と言ったが、あんたの出したのは丁だ」
「そんなこと、分かってる」
アカギが「オレは丁と言ったのに」などと絶対に言わないことも、分かってる。
「じゃあ、どうしてそんなに余裕なの?」
「なんでだと思う?」
「なんでって、」
私は、もう一度この勝負のルールを思い出した。そこではっとする。
まだ、勝負は終わっていない。
私の脳裏に、あの日のアカギとの会話が浮かんだ。
———————————————————————————
「そしてもし、オレが丁半を外した時には、大山に2つの選択肢が与えられる」
「選択肢?」
「まぁ、それはその時に言うよ。今言っても仕方のないことだしね。ただ、あんたの選択によっては、丁半を外した時のオレの負けがひっくり返る可能性があるってことは覚えておきな」
「ん、分かった」
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アカギが丁半外したことに驚いて頭から飛んでしまっていたみたいだ。私としたことが。
「……選択肢?」
「そう。忘れてたでしょ」
私はしっかりと、この取り決めに「分かった」と同意してしまっている。だから、今更そんなのはナシ、などとは言えない。
「それにしても、選択肢がどうのって、全く意味が分からない」
「そうだろうね。まぁ、これは言ってみれば確認作業」
「確認作業……?」
アカギはまるでこの日を待ちわびていたかのように、きらりと歯を見せた。
「今、オレは丁半を外した。実質的に、負けている……言ってみれば、オレは今仮死状態にある……」
思わずごくりと喉を鳴らした。
私はアカギをまだ、殺せていない状態だ。
油断は禁物、といったところか。
「が、オレの勝利条件は、あんたがオレに惚れていること……。逆に言えば、このサイコロを振る前に、既に東雲がオレに惚れていたと仮定すると、オレの敗北の前に、あんたの敗北条件が満たされたということになる」
それは、その通りだ。
「もし、あんたがサイコロを振る前に、オレに惚れていたと認めれば、オレは蘇る……! この仮死状態から、あんたを殺せる」
はぁ、なるほど、道理は通っている。
「でも、私がそんなもの認めるわけがないことは、アカギもご存知でしょうに」
私が言うと、アカギは、
「認める認めない、なんてもんじゃない。今からオレが、あんたに認めさせる」
と不敵に笑った。
私はぞくりと背筋が凍るのが分かった。
それでいて、心臓はどくんどくんと脈打ち始めるもんだから、私の身体は混乱している。
こんなにも素敵なアカギを、かつて見たことがあっただろうか。