16.惚れた腫れたは。
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私はいつものお椀を伏せ、サイコロを中でかき混ぜた。さて、丁にしようか、半にしようか。
それとも、心理を読まれるくらいなら、今まで通り運否天賦で行こうか?
迷って、そのまま手を動かしていると、アカギは「やけに手間が掛かってるね」と言ったので、私は、やはりサイコロの操作はしないことに決めた。運に委ねる。
博奕ってそういうもんでしょ?
「丁半、揃いました」
ようやく動きを止めて、お椀から手を離す。
ちらりとアカギの顔色を伺う。
アカギは、お椀をじっと見ていた。
ここで、ある違和感に気がつく。
おかしいな。アカギは今まで、即答だった。
丁半揃いました、の後、間髪入れずに、丁、だの、半、だの言っていたような気がする。
あまり迷っている様子は見受けられなかった。
今までは。
それなのに、どうしたんだろう?
もしかして、今、苦戦してる?
アカギに限ってそんなこと、あるのかしら。
いや、今実際に起こっているじゃないの。
ふと気がつくと、アカギは今度は、私の瞳を見ていた。アカギの目には、迷いはない。
丁か半か、分からない訳ではなさそうだ。
それならどうして、さっさと答えないんだろう?
案じていると、アカギはふっと笑ってから、
「…………半」
とだけ言った。
「半?」
私が聞き返すと、アカギは、「半」と繰り返した。
なんだか不思議に思って、私はお椀を開けた。
ところで、1+1の答えってなんだったっけ。
私は今まで、2かと思ってたけど、違ったかな?
1+1=1だっけ? それとも、3だった?
ついでにもう一つ。
2って、偶数よね? ここで言う、丁よね?
お椀の中にあったサイの目は、1と1だった。
「……あらら」
アカギの声が聞こえた。
そこでようやく、自分の計算が間違っていないことを理解した。
つまり、アカギが、外したってこと。
ここに来て、初めて。
「私の、勝ち?」
こんなにあっけなく?
おかしい、何かがおかしい。
アカギの顔を見てみても、あまり悔しがる様子などもない。お椀の中身に驚いた様子もない。
こういうこともあるものかと私は思いかけるが、なんていうか、違和感がある。
「アカギ?」
その時確かに、アカギが微かに口の端を上げたのが見えた。
それとも、心理を読まれるくらいなら、今まで通り運否天賦で行こうか?
迷って、そのまま手を動かしていると、アカギは「やけに手間が掛かってるね」と言ったので、私は、やはりサイコロの操作はしないことに決めた。運に委ねる。
博奕ってそういうもんでしょ?
「丁半、揃いました」
ようやく動きを止めて、お椀から手を離す。
ちらりとアカギの顔色を伺う。
アカギは、お椀をじっと見ていた。
ここで、ある違和感に気がつく。
おかしいな。アカギは今まで、即答だった。
丁半揃いました、の後、間髪入れずに、丁、だの、半、だの言っていたような気がする。
あまり迷っている様子は見受けられなかった。
今までは。
それなのに、どうしたんだろう?
もしかして、今、苦戦してる?
アカギに限ってそんなこと、あるのかしら。
いや、今実際に起こっているじゃないの。
ふと気がつくと、アカギは今度は、私の瞳を見ていた。アカギの目には、迷いはない。
丁か半か、分からない訳ではなさそうだ。
それならどうして、さっさと答えないんだろう?
案じていると、アカギはふっと笑ってから、
「…………半」
とだけ言った。
「半?」
私が聞き返すと、アカギは、「半」と繰り返した。
なんだか不思議に思って、私はお椀を開けた。
ところで、1+1の答えってなんだったっけ。
私は今まで、2かと思ってたけど、違ったかな?
1+1=1だっけ? それとも、3だった?
ついでにもう一つ。
2って、偶数よね? ここで言う、丁よね?
お椀の中にあったサイの目は、1と1だった。
「……あらら」
アカギの声が聞こえた。
そこでようやく、自分の計算が間違っていないことを理解した。
つまり、アカギが、外したってこと。
ここに来て、初めて。
「私の、勝ち?」
こんなにあっけなく?
おかしい、何かがおかしい。
アカギの顔を見てみても、あまり悔しがる様子などもない。お椀の中身に驚いた様子もない。
こういうこともあるものかと私は思いかけるが、なんていうか、違和感がある。
「アカギ?」
その時確かに、アカギが微かに口の端を上げたのが見えた。