2.雀斑
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私はそのまま、背を向けて帰ろうとした。石川の用も済んだだろうし、立ち話する気もない。
それなのに、石川は私を呼び止めた。
「待て」
「ん、まだ何かあった?」
私が尋ねると、石川は苦い顔をしたように見えた。
「その、黙っていてお前と揉めるのが嫌だから言うが……。勝負の日まで、たまにお前の様子を見させてもらうことにした」
なるほど。
「……逃げないように?」
「うむ」
様子を見る、なんて表現を濁らせてはいるが、要は私を監視するということだ。そしておそらくそれは、 “たまに” なんて頻度じゃない。
「私が逃げるはずないことは分かってるでしょ」
監視されると言われて、気分が良くはならない。私は当然、腕を組んで反論した。
「それはこっちだって理解しているつもりだ。お前に対して失礼だってこともな。だが、万が一ということもある。日程などの詳細が決まったのだから、組としてもそういう処置を取らざるを得ないんだよ、分かってくれ」
まぁ、そう言うだろうと思ってた。仕方ない。
「分かった、認める」
「……物分かりが良くて助かる」
「それは良かった」
だって、私がここで駄々をこねたところで、そっちは聞いてくれないでしょ? だったらこっちが条件を飲むしかない。無意味な感情論なんて必要ないし、非効率的だもん。
「言うべきことは、これだけだ。俺はもう行くが、何かあるか?」
「ううん、特にない」
「そうか。不都合なことがあればすぐ連絡してくれ。あとは、勝負の取りやめはないことを祈るのみだ」
「少なくとも、私はそんなことしないから、安心して良いよ」
「信じるよ」
「どうも。じゃあ、2週間後に」
「ああ」
石川は片手をあげてから、去っていった。
私はしばらくその場に留まり、石川がいなくなってから、周囲を見渡した。
監視はもう始まってるの? 見張り役は男なんだろうな。どこかにいると思うと、なんとなく気味が悪い。
……こんなこと、考えない方が良いか。うん、出来るだけ考えないようにしよう。
流石に家までは入ってこないでしょ。よし、早く家に帰ろう。必然的に私の住んでいる場所もバレるってことになるけど、仕方ない。
とりあえず、勝負の決着がついたらまた引っ越そう。そのままだと何が起こるか分からないし。信用してないわけじゃないけど、気分的に嫌なもんは嫌だ。
間接的にずっと誰かと一緒にいるなんてうんざりだ。そう言えば、治さんは寮生活だったとか言ってたっけ。朝起きて、夜寝るときまで、誰かと一緒っていうのは、こんな気持ちなのか。
いや、流石にここまでは不快じゃないはずだ。と、そう信じたい。
私は初めて急ぎ足で帰路に着いた。やれやれ。
この2週間は、いつ見られていても構わないように振る舞わないと。舐められないように、自分を演出しなきゃ。
ねぇ、監視者さん。
あなた、私をずっと眺めていられるんだからラッキーだと思いなさいよ。
私は心の中で皮肉った。
それなのに、石川は私を呼び止めた。
「待て」
「ん、まだ何かあった?」
私が尋ねると、石川は苦い顔をしたように見えた。
「その、黙っていてお前と揉めるのが嫌だから言うが……。勝負の日まで、たまにお前の様子を見させてもらうことにした」
なるほど。
「……逃げないように?」
「うむ」
様子を見る、なんて表現を濁らせてはいるが、要は私を監視するということだ。そしておそらくそれは、 “たまに” なんて頻度じゃない。
「私が逃げるはずないことは分かってるでしょ」
監視されると言われて、気分が良くはならない。私は当然、腕を組んで反論した。
「それはこっちだって理解しているつもりだ。お前に対して失礼だってこともな。だが、万が一ということもある。日程などの詳細が決まったのだから、組としてもそういう処置を取らざるを得ないんだよ、分かってくれ」
まぁ、そう言うだろうと思ってた。仕方ない。
「分かった、認める」
「……物分かりが良くて助かる」
「それは良かった」
だって、私がここで駄々をこねたところで、そっちは聞いてくれないでしょ? だったらこっちが条件を飲むしかない。無意味な感情論なんて必要ないし、非効率的だもん。
「言うべきことは、これだけだ。俺はもう行くが、何かあるか?」
「ううん、特にない」
「そうか。不都合なことがあればすぐ連絡してくれ。あとは、勝負の取りやめはないことを祈るのみだ」
「少なくとも、私はそんなことしないから、安心して良いよ」
「信じるよ」
「どうも。じゃあ、2週間後に」
「ああ」
石川は片手をあげてから、去っていった。
私はしばらくその場に留まり、石川がいなくなってから、周囲を見渡した。
監視はもう始まってるの? 見張り役は男なんだろうな。どこかにいると思うと、なんとなく気味が悪い。
……こんなこと、考えない方が良いか。うん、出来るだけ考えないようにしよう。
流石に家までは入ってこないでしょ。よし、早く家に帰ろう。必然的に私の住んでいる場所もバレるってことになるけど、仕方ない。
とりあえず、勝負の決着がついたらまた引っ越そう。そのままだと何が起こるか分からないし。信用してないわけじゃないけど、気分的に嫌なもんは嫌だ。
間接的にずっと誰かと一緒にいるなんてうんざりだ。そう言えば、治さんは寮生活だったとか言ってたっけ。朝起きて、夜寝るときまで、誰かと一緒っていうのは、こんな気持ちなのか。
いや、流石にここまでは不快じゃないはずだ。と、そう信じたい。
私は初めて急ぎ足で帰路に着いた。やれやれ。
この2週間は、いつ見られていても構わないように振る舞わないと。舐められないように、自分を演出しなきゃ。
ねぇ、監視者さん。
あなた、私をずっと眺めていられるんだからラッキーだと思いなさいよ。
私は心の中で皮肉った。