15.矜持
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「どうして、バレたの?」
そう、もちろん、私は本当にアカギに何か盛った訳ではない。私がアカギの湯のみに “いれた”のは、美味しいお茶だけだ。
ただ、アカギの反応を試しただけなのに、こんなにも動揺しないなんて。それを見た私が1番動揺してる。口先なんかじゃなく、本当に私を、心の底から信用してるってことでしょ。
……そんな嬉しいこと、私が信じられない。
「分かるんだよ」
アカギは笑った。
「こうしてオレは、あんたに試された訳だが。どうしたものかね?」
「試すなんて、人聞きの悪い」
「事実でしょ」
「……否定はできない」
「だろうね」
私は言った。
「それじゃあ、何をお望み?」
アカギの目がきらりと光り、笑った。
「そろそろ、あんたの背景でも見たいな」
「背景?」
「なんでもいい。九尾が生える前のことだよ」
「過去を語れっていうの?」
「あんただって、オレの13の頃の話を南郷さんから聞いたじゃない」
確かにそうだ。それなら、私も話さないと不公平かもしれない。
「あんたの過去そのものに興味があるという訳じゃない……。そいつの勝負の中に顕著に現れる、そいつの核にあたる部分——生い立ちと密接に関係するもの」
「なるほど、それを知りたいってこと? でも、アカギの生い立ちは未だによく分からないわ。それに、生い立ちが勝負にも関係するって……。まぁ、あなたは死や破滅を恐れず、真っ直ぐ見据える、とかかな?」
「まぁ、そういうこと。あんたにもその傾向はあるけどね」
そう、そのはずだった。死や破滅が怖くないって思ってた。ただ、自由を奪われることは怖くて、あの日アカギと勝負した時は “堕ちる”かもしれない、といった恐怖を感じた。
でも、いつの間にか、アカギが私の中で大きな存在となってしまった。だから、今死ぬのが怖くないかというと……前とは違う。万一死が怖くはないとしても、二度とアカギに会えないと思うと、未練がましく思う。アカギを見ていたい、という感情を授けられてしまったから。
私は、うーんと唸った。
「でも、あなたの過去ほど面白くないの」
「良いよ。どうしてあんたみたいな人間が生まれたのか、教えてよ」
「その言い方、私が駄目人間みたいじゃない」
私が笑うと、アカギも微笑んだ。
「似た者同士じゃない。オレたちは所謂 はぐれ者でしょ」
そう、もちろん、私は本当にアカギに何か盛った訳ではない。私がアカギの湯のみに “いれた”のは、美味しいお茶だけだ。
ただ、アカギの反応を試しただけなのに、こんなにも動揺しないなんて。それを見た私が1番動揺してる。口先なんかじゃなく、本当に私を、心の底から信用してるってことでしょ。
……そんな嬉しいこと、私が信じられない。
「分かるんだよ」
アカギは笑った。
「こうしてオレは、あんたに試された訳だが。どうしたものかね?」
「試すなんて、人聞きの悪い」
「事実でしょ」
「……否定はできない」
「だろうね」
私は言った。
「それじゃあ、何をお望み?」
アカギの目がきらりと光り、笑った。
「そろそろ、あんたの背景でも見たいな」
「背景?」
「なんでもいい。九尾が生える前のことだよ」
「過去を語れっていうの?」
「あんただって、オレの13の頃の話を南郷さんから聞いたじゃない」
確かにそうだ。それなら、私も話さないと不公平かもしれない。
「あんたの過去そのものに興味があるという訳じゃない……。そいつの勝負の中に顕著に現れる、そいつの核にあたる部分——生い立ちと密接に関係するもの」
「なるほど、それを知りたいってこと? でも、アカギの生い立ちは未だによく分からないわ。それに、生い立ちが勝負にも関係するって……。まぁ、あなたは死や破滅を恐れず、真っ直ぐ見据える、とかかな?」
「まぁ、そういうこと。あんたにもその傾向はあるけどね」
そう、そのはずだった。死や破滅が怖くないって思ってた。ただ、自由を奪われることは怖くて、あの日アカギと勝負した時は “堕ちる”かもしれない、といった恐怖を感じた。
でも、いつの間にか、アカギが私の中で大きな存在となってしまった。だから、今死ぬのが怖くないかというと……前とは違う。万一死が怖くはないとしても、二度とアカギに会えないと思うと、未練がましく思う。アカギを見ていたい、という感情を授けられてしまったから。
私は、うーんと唸った。
「でも、あなたの過去ほど面白くないの」
「良いよ。どうしてあんたみたいな人間が生まれたのか、教えてよ」
「その言い方、私が駄目人間みたいじゃない」
私が笑うと、アカギも微笑んだ。
「似た者同士じゃない。オレたちは