15.矜持
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「さて」
家に着いたので、私はアカギの湯のみに「あるものをいれた」。合わせて、自分の分も作り、ちゃぶ台についた。
「どうも」
私も茶に手を伸ばし、傾けてそれを流し込んだ。アカギが湯のみに口をつけ、喉を潤す様子を盗み見ながら。
なぜって、今更だけど、アカギが何かに口をつけるという動作は色っぽいし、そんな食器にさえ嫉妬してしまうくらい、私がアカギに飢えているからだ。
もちろん、そういうのを見ながら私が考えるのは、アカギにキスを拒まれた時のことだ。でも、勝負の途中でそんなことが認められるはずもないし、アカギの行いは全くもって正しい。
それでもいつか、アカギが欲しい。なんて思ってしまう。でも、「誰のものにもならないアカギ」に惚れているのは、私。
ああ、そんな自分に酔ってしまいそう。
「それにしても、勝負相手の出す食事を摂るなんて、結構無謀なんじゃない?」
私は、ふと思いついた疑問を口にした。
「だって、私が一服盛るかもしれないでしょ」
「ああ。確かにそうだ」
アカギは言い、湯のみの中を見た。それから、それをもう一度傾けて、ごくりと飲んでみせた。
「……あんたのことを信用している」
「信用……?」
考えてもいなかった言葉が出てきたので、面食らった。確かに、私たちの間には何かよく分からない関係が結ばれているとは思ったけれど、アカギが私を信用しているなんて。
いや、それはそこまで重要じゃない。驚きなのは、「信用している」ことを、私にわざわざ伝えたことだ。
「そういう風に、東雲を疑ったことはない」
それを聞いて、私は、湯のみをぎゅっと握りしめた。
「……ううん。今回は、入れさせてもらったの。このお茶にね」
アカギの方をちらりと見るが、特に反応はない。
「頭の回転が、少し鈍くなる物を入れてみたの。どう? そろそろ効いてくると思う」
アカギは黙ったままだ。
「効果は長続きするはず。それに、今日中には丁半をやらなくちゃいけない決まりよね? この状態で、アカギ、あなたは今日も勝てるの?」
ここまで言って、私はアカギを見つめた。
しばらくして、アカギはクックッと笑い始めた。
それから、なんと、私の淹れたお茶を一気飲みした。
「ちょっ、話、聞いてた⁈」
私がまたもや目を見開くと、アカギは口元をぬぐって、端をあげた。
「あんたこそ、オレの話を聞いてた? 言ったでしょ、オレはあんたを信用しているって」
私は、アカギを見つめた。アカギは、さらに続ける。
「しないのさ……! あんたは、こんなこと……! オレは、あんたを信用したオレを信じる……」
そのアカギの自信に、私は呟いた。
「どうして——」
家に着いたので、私はアカギの湯のみに「あるものをいれた」。合わせて、自分の分も作り、ちゃぶ台についた。
「どうも」
私も茶に手を伸ばし、傾けてそれを流し込んだ。アカギが湯のみに口をつけ、喉を潤す様子を盗み見ながら。
なぜって、今更だけど、アカギが何かに口をつけるという動作は色っぽいし、そんな食器にさえ嫉妬してしまうくらい、私がアカギに飢えているからだ。
もちろん、そういうのを見ながら私が考えるのは、アカギにキスを拒まれた時のことだ。でも、勝負の途中でそんなことが認められるはずもないし、アカギの行いは全くもって正しい。
それでもいつか、アカギが欲しい。なんて思ってしまう。でも、「誰のものにもならないアカギ」に惚れているのは、私。
ああ、そんな自分に酔ってしまいそう。
「それにしても、勝負相手の出す食事を摂るなんて、結構無謀なんじゃない?」
私は、ふと思いついた疑問を口にした。
「だって、私が一服盛るかもしれないでしょ」
「ああ。確かにそうだ」
アカギは言い、湯のみの中を見た。それから、それをもう一度傾けて、ごくりと飲んでみせた。
「……あんたのことを信用している」
「信用……?」
考えてもいなかった言葉が出てきたので、面食らった。確かに、私たちの間には何かよく分からない関係が結ばれているとは思ったけれど、アカギが私を信用しているなんて。
いや、それはそこまで重要じゃない。驚きなのは、「信用している」ことを、私にわざわざ伝えたことだ。
「そういう風に、東雲を疑ったことはない」
それを聞いて、私は、湯のみをぎゅっと握りしめた。
「……ううん。今回は、入れさせてもらったの。このお茶にね」
アカギの方をちらりと見るが、特に反応はない。
「頭の回転が、少し鈍くなる物を入れてみたの。どう? そろそろ効いてくると思う」
アカギは黙ったままだ。
「効果は長続きするはず。それに、今日中には丁半をやらなくちゃいけない決まりよね? この状態で、アカギ、あなたは今日も勝てるの?」
ここまで言って、私はアカギを見つめた。
しばらくして、アカギはクックッと笑い始めた。
それから、なんと、私の淹れたお茶を一気飲みした。
「ちょっ、話、聞いてた⁈」
私がまたもや目を見開くと、アカギは口元をぬぐって、端をあげた。
「あんたこそ、オレの話を聞いてた? 言ったでしょ、オレはあんたを信用しているって」
私は、アカギを見つめた。アカギは、さらに続ける。
「しないのさ……! あんたは、こんなこと……! オレは、あんたを信用したオレを信じる……」
そのアカギの自信に、私は呟いた。
「どうして——」