15.矜持
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「……思うけど」
答えると、アカギは、そうだよな、と呟いて家へ向かった。
「何? 本当に、私を落とせる計画でも思いついたみたいじゃない」
「まぁ、そんなに大層なものでもない」
決着をつけるなんて言うから、アカギが私に惚れた、って負けを認めるのかと思った。でも、そんなわけない。そんなことアカギはしない。
「そう言えば、ちょうど、今日は丁半をする日よね」
私は言った。
アカギは煙草の煙を吐きながら、そうだな、と同調した。
アカギとの丁半で決着がつかないことは、今まで散々やってきたからもう分かっている。
かと言って、諦める訳にもいかない。
私はアカギのいない内に丁半の練習をして、なんとなく、自分の出したい目を出せるような気がしていた。不安定だけれど。
さて、今日は丁か半、どちらを出そうか。
それとも、何も操作せず、運否天賦でいこうか。
「それにしても、」
アカギはポケットに手を突っ込んで、私を見た。
「やっぱり、あんたは戻ってきた」
そして、ニッ、と無邪気に笑った。こんなアカギの顔はあまり見られるものじゃない。
無意識に、顔を熱くした。
「東雲が勝負を降りる訳がないと知ってはいたが、あんたが治のところへ行っちまう可能性はあったからね」
アカギに夢中な私からしたら、そんな可能性、ないんだけど。
でも確かに、治さんはアカギとは違う意味で魅力的な人間ではある。だから、アカギの言うことも少しは分かる。
もし私が普通の女で、かつ、アカギを知らなければ、治さんという選択肢は二十分にあった。
「そうなっちまえば、オレの考えも全部破綻するからね」
アカギは一息ついた。
「だから、良かったよ。東雲が戻ってきて」
「そ、そう……」
アカギは、勝負が続行できるから喜んでいるだけだと思うけど……でも、そんな台詞を言われたら、否が応でも期待してしまう。
もしかしたら、なんて、考えてしまう。
いつから私は、アカギしか見えなくなってしまったんだろう?
考えてみても、分からない。
好きと自覚したのは、いつからだったっけ?
本当は、自覚する前から惚れていたはずで。
無意識に、無自覚に。
いつの間にか、アカギという魔力にひれ伏していたのは、私の方だったんだ。
答えると、アカギは、そうだよな、と呟いて家へ向かった。
「何? 本当に、私を落とせる計画でも思いついたみたいじゃない」
「まぁ、そんなに大層なものでもない」
決着をつけるなんて言うから、アカギが私に惚れた、って負けを認めるのかと思った。でも、そんなわけない。そんなことアカギはしない。
「そう言えば、ちょうど、今日は丁半をする日よね」
私は言った。
アカギは煙草の煙を吐きながら、そうだな、と同調した。
アカギとの丁半で決着がつかないことは、今まで散々やってきたからもう分かっている。
かと言って、諦める訳にもいかない。
私はアカギのいない内に丁半の練習をして、なんとなく、自分の出したい目を出せるような気がしていた。不安定だけれど。
さて、今日は丁か半、どちらを出そうか。
それとも、何も操作せず、運否天賦でいこうか。
「それにしても、」
アカギはポケットに手を突っ込んで、私を見た。
「やっぱり、あんたは戻ってきた」
そして、ニッ、と無邪気に笑った。こんなアカギの顔はあまり見られるものじゃない。
無意識に、顔を熱くした。
「東雲が勝負を降りる訳がないと知ってはいたが、あんたが治のところへ行っちまう可能性はあったからね」
アカギに夢中な私からしたら、そんな可能性、ないんだけど。
でも確かに、治さんはアカギとは違う意味で魅力的な人間ではある。だから、アカギの言うことも少しは分かる。
もし私が普通の女で、かつ、アカギを知らなければ、治さんという選択肢は二十分にあった。
「そうなっちまえば、オレの考えも全部破綻するからね」
アカギは一息ついた。
「だから、良かったよ。東雲が戻ってきて」
「そ、そう……」
アカギは、勝負が続行できるから喜んでいるだけだと思うけど……でも、そんな台詞を言われたら、否が応でも期待してしまう。
もしかしたら、なんて、考えてしまう。
いつから私は、アカギしか見えなくなってしまったんだろう?
考えてみても、分からない。
好きと自覚したのは、いつからだったっけ?
本当は、自覚する前から惚れていたはずで。
無意識に、無自覚に。
いつの間にか、アカギという魔力にひれ伏していたのは、私の方だったんだ。