2.雀斑
名前変換はコチラから
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
そして夜になると、いつものように雀荘か賭場で金を稼ぐ。毎夜ってわけじゃないけど。
赤木しげると近々対決することはもう分かっているんだから、その日までには資金を貯めておくのが良いかな。そっちの方がお互い楽しめるはず。
とは言っても、多少金を貯めたところで、きっとアカギとの賭け金はそれを大きく上回るんだろうね。それを考えると、ぞくぞくする。
川田組から誘いを受けて、数日が経った。
あれから一度も赤木しげるに会っていない。
そしてつまらないことに、特に大きく変わったことも起きていない。
ただ、狐の名を広めすぎたのか、雀荘で高レートの対局をしてくれる人は少なくなった。
かと言って、ちゃり銭を稼いでいても私が舐められるだけ。楽しくないわけではないが、ギャンブルという感じはあまりしないし。
組の者は、漢を売る仕事に就いているのだから、流石に断るようなことはない。
が、仮にも私は川田組と約束をしている身。
迂闊な真似をして組同士のゴタゴタに巻き込まれるようなことにはなりたくない。つまり、私は少しばかり暇を持て余していた。
私はただ便りを待っていた。
赤木しげるが私の挑戦を受けたという知らせが来るのを、ただ待っていた。自分の居場所を知らせるために、毎回少しの期待をもちながら出歩いた。
連絡が来たのは、あの日初めて赤木しげると会ってから、約2週間後のことだった。
それは、私もそろそろ退屈で、開帳されている賭場に入ろうか迷っていた時。
「東雲!」
と、背後から石川の声がした。
ようやく来た!
興奮して、喜びの声を上げそうになったけど、なんだか恥ずかしいので、落ち着いてゆっくりと振り返る。
「例の件、よね?」
「ああ。……アカギは勝負を受け入れた」
咄嗟に出そうになったガッツポーズを抑えるのに苦労し、微笑むまでにとどめる。
「良かった、本当に楽しみにしてたの」
「ああ、俺もだ。場所と日にちはここに記した通りだ。……それまでは騒ぎを起こしてくれるなよ」
石川はそう言い、軽く私を睨みつけた。
私が賭場に入ろうか迷っていたんだから、当たり前か。もう少し遅かったら、私はここで鬱憤を晴らしてたかもしれない。川田組にとって、それが喜ばしい事態じゃないことは確かだ。
「はいはい、分かってますよ」
私は肩をすくめた。渡された封筒を見ると、日付は2週間後となっている。
また、あと2週間待たなくちゃいけないのか。まぁ、この勝負までの期間っていうのも良い緊張感があって、好きと言えば好きだけど。
「そう言えば、彼の様子はどうだった?」
「俺には良く分からんが、『もうそろそろ来る頃だと思ってた』、らしい」
「へぇ、すっかりお見通しね。流石」
「お前、もしかしてアカギと話したことあるのか?」
「いや、ないよ」
まさか、あの日石川と話す直前に赤木しげるを見た、とは言えない。彼は2週間も、その赤木しげるを探してたんだから。
そもそも、本当に彼が“赤木しげる”なのかは私には判別しようがない。
所詮、勘だから。……当たってると思うけど。
「とにかく、ありがとう」
私は石川にお礼を言った。
赤木しげるが彼かどうかの答え合わせなら、2週間後に出来る。そのことを考えるだけで、思わず胸が躍った。
赤木しげると近々対決することはもう分かっているんだから、その日までには資金を貯めておくのが良いかな。そっちの方がお互い楽しめるはず。
とは言っても、多少金を貯めたところで、きっとアカギとの賭け金はそれを大きく上回るんだろうね。それを考えると、ぞくぞくする。
川田組から誘いを受けて、数日が経った。
あれから一度も赤木しげるに会っていない。
そしてつまらないことに、特に大きく変わったことも起きていない。
ただ、狐の名を広めすぎたのか、雀荘で高レートの対局をしてくれる人は少なくなった。
かと言って、ちゃり銭を稼いでいても私が舐められるだけ。楽しくないわけではないが、ギャンブルという感じはあまりしないし。
組の者は、漢を売る仕事に就いているのだから、流石に断るようなことはない。
が、仮にも私は川田組と約束をしている身。
迂闊な真似をして組同士のゴタゴタに巻き込まれるようなことにはなりたくない。つまり、私は少しばかり暇を持て余していた。
私はただ便りを待っていた。
赤木しげるが私の挑戦を受けたという知らせが来るのを、ただ待っていた。自分の居場所を知らせるために、毎回少しの期待をもちながら出歩いた。
連絡が来たのは、あの日初めて赤木しげると会ってから、約2週間後のことだった。
それは、私もそろそろ退屈で、開帳されている賭場に入ろうか迷っていた時。
「東雲!」
と、背後から石川の声がした。
ようやく来た!
興奮して、喜びの声を上げそうになったけど、なんだか恥ずかしいので、落ち着いてゆっくりと振り返る。
「例の件、よね?」
「ああ。……アカギは勝負を受け入れた」
咄嗟に出そうになったガッツポーズを抑えるのに苦労し、微笑むまでにとどめる。
「良かった、本当に楽しみにしてたの」
「ああ、俺もだ。場所と日にちはここに記した通りだ。……それまでは騒ぎを起こしてくれるなよ」
石川はそう言い、軽く私を睨みつけた。
私が賭場に入ろうか迷っていたんだから、当たり前か。もう少し遅かったら、私はここで鬱憤を晴らしてたかもしれない。川田組にとって、それが喜ばしい事態じゃないことは確かだ。
「はいはい、分かってますよ」
私は肩をすくめた。渡された封筒を見ると、日付は2週間後となっている。
また、あと2週間待たなくちゃいけないのか。まぁ、この勝負までの期間っていうのも良い緊張感があって、好きと言えば好きだけど。
「そう言えば、彼の様子はどうだった?」
「俺には良く分からんが、『もうそろそろ来る頃だと思ってた』、らしい」
「へぇ、すっかりお見通しね。流石」
「お前、もしかしてアカギと話したことあるのか?」
「いや、ないよ」
まさか、あの日石川と話す直前に赤木しげるを見た、とは言えない。彼は2週間も、その赤木しげるを探してたんだから。
そもそも、本当に彼が“赤木しげる”なのかは私には判別しようがない。
所詮、勘だから。……当たってると思うけど。
「とにかく、ありがとう」
私は石川にお礼を言った。
赤木しげるが彼かどうかの答え合わせなら、2週間後に出来る。そのことを考えるだけで、思わず胸が躍った。