14.ひとり*
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「東雲舞美っていう女がどうやら代打ちの世界で何か騒ぎを起こしているとは聞いていた……。が、まさかアカギと一緒にいるとは」
安岡さんはそう言ってビールを飲んだ。
「オレも、舞美ちゃんがそんな子だなんて、知らなかった……! 確かに、アカギがどうして舞美ちゃんみたいな子と住んでいるのか不思議ではあったんだがな。麻雀打ちだったのか」
まあ、南郷さんに会った時は猫を被っていたから、仕方のないことではある。
「で……え? アカギと東雲はデキてんのか」
安岡さんが鋭く聞いてくる。
私はいいえ、と首を振った。
「恋仲とか、そういった関係ではないんです。ただ、一緒に住んではいますけど」
「あぁ……。アカギは女に興味なさそうだもんな」
安岡さんが言った。私は、本当にそうかなぁ、と思ったけれど、特に反論しようとは思わなかった。
「でも、舞美ちゃんは可愛いから、流石のアカギも痺れを切らしたり……なんてことはあるんじゃないのか?」
南郷さんは私がアカギに恋心を抱いているのをなんとなく知っている。どうやら応援されているみたいで、結構恥ずかしい。
「まぁね」
アカギは涼しく答えた。嬉しい。
「まぁねって……。アカギもそんなこと言うようになったんだな」
言い振りからして、この2人とアカギは長い付き合いのようだ。
気になって、聞いてみることにした。
「ところで、南郷さんと安岡さんは、アカギとどういった関係なんですか?」
「あぁ、それはアカギが13の時に遡るんだがな——」
私は、アカギの昔話を聞かせてもらった。驚くことが沢山あったけれど、やっぱりアカギはアカギのままなんだ。こんな人、彼しかいない。
13歳の頃、私は、何をしていたかな。
アカギは黙って、時折微笑みながら2人がアカギについて話しているのを聞いていた。
「そうだ。なぁアカギ。お前は、代打ち業をするつもりはないんだよな」
「ああ、ねぇな。そんな七面倒くさいこと」
「……まぁ、お前はそう言うと思ってたよ。それじゃあ、」
安岡さんは、私に目を向けた。
「東雲はどうだ? 代打ち業。オレと組めば、あんたの後ろ盾も保証してやるよ」
私は、息を飲んだ。
それは、今までずっと私が望んでいた申し出だったからだ。
今まで、私はアカギに会うまでに雀荘を荒らしていた。どれだけ麻雀が強くても、女だからって、代打ちの世界に入れてもらえなかったからだ。
ごくたまに組との大きな勝負をして、それこそ九尾狐と呼ばれるようにはなったが、やはり女を使うと組のメンツが潰れるからと、いつも蚊帳の外にいた。こんなにも勝負が好きなのに、勝負をさせてくれない。
苛ついて賭場を荒らしても、荒らしすぎると暴力沙汰になる。女だから暴力には抗えない。勝負事以外で命を落とすなんてそんな勿体無い真似、したくない。だから保身の為に刃物を持ち歩くしかなかった。
別に、何かに負けて死ぬのなら良いのだけれど。
安岡さんと組めば、後ろ盾が手に入る。つまり、男どもと対等に、本当の勝負ができるってわけ。
強い相手と、戦える。
それは、九尾狐という女ギャンブラーの私にとって、魅力的な話だった。
安岡さんはそう言ってビールを飲んだ。
「オレも、舞美ちゃんがそんな子だなんて、知らなかった……! 確かに、アカギがどうして舞美ちゃんみたいな子と住んでいるのか不思議ではあったんだがな。麻雀打ちだったのか」
まあ、南郷さんに会った時は猫を被っていたから、仕方のないことではある。
「で……え? アカギと東雲はデキてんのか」
安岡さんが鋭く聞いてくる。
私はいいえ、と首を振った。
「恋仲とか、そういった関係ではないんです。ただ、一緒に住んではいますけど」
「あぁ……。アカギは女に興味なさそうだもんな」
安岡さんが言った。私は、本当にそうかなぁ、と思ったけれど、特に反論しようとは思わなかった。
「でも、舞美ちゃんは可愛いから、流石のアカギも痺れを切らしたり……なんてことはあるんじゃないのか?」
南郷さんは私がアカギに恋心を抱いているのをなんとなく知っている。どうやら応援されているみたいで、結構恥ずかしい。
「まぁね」
アカギは涼しく答えた。嬉しい。
「まぁねって……。アカギもそんなこと言うようになったんだな」
言い振りからして、この2人とアカギは長い付き合いのようだ。
気になって、聞いてみることにした。
「ところで、南郷さんと安岡さんは、アカギとどういった関係なんですか?」
「あぁ、それはアカギが13の時に遡るんだがな——」
私は、アカギの昔話を聞かせてもらった。驚くことが沢山あったけれど、やっぱりアカギはアカギのままなんだ。こんな人、彼しかいない。
13歳の頃、私は、何をしていたかな。
アカギは黙って、時折微笑みながら2人がアカギについて話しているのを聞いていた。
「そうだ。なぁアカギ。お前は、代打ち業をするつもりはないんだよな」
「ああ、ねぇな。そんな七面倒くさいこと」
「……まぁ、お前はそう言うと思ってたよ。それじゃあ、」
安岡さんは、私に目を向けた。
「東雲はどうだ? 代打ち業。オレと組めば、あんたの後ろ盾も保証してやるよ」
私は、息を飲んだ。
それは、今までずっと私が望んでいた申し出だったからだ。
今まで、私はアカギに会うまでに雀荘を荒らしていた。どれだけ麻雀が強くても、女だからって、代打ちの世界に入れてもらえなかったからだ。
ごくたまに組との大きな勝負をして、それこそ九尾狐と呼ばれるようにはなったが、やはり女を使うと組のメンツが潰れるからと、いつも蚊帳の外にいた。こんなにも勝負が好きなのに、勝負をさせてくれない。
苛ついて賭場を荒らしても、荒らしすぎると暴力沙汰になる。女だから暴力には抗えない。勝負事以外で命を落とすなんてそんな勿体無い真似、したくない。だから保身の為に刃物を持ち歩くしかなかった。
別に、何かに負けて死ぬのなら良いのだけれど。
安岡さんと組めば、後ろ盾が手に入る。つまり、男どもと対等に、本当の勝負ができるってわけ。
強い相手と、戦える。
それは、九尾狐という女ギャンブラーの私にとって、魅力的な話だった。