14.ひとり*
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てっきり、マッチか何かで火を付けるのだと思っていた。けれど、アカギは自分も煙草を咥え、私の方へ顔を近づけた。
「……っ」
目を見開いて、何も言えない私。
「こっち」
後頭部に手が添えられた。と思えば、引き寄せられて、さらに距離を縮める。
私の咥えた煙草の先が、アカギの火の付いた煙草に触れた。
そして、やっと理解した。
手持ち花火を付ける時のように、アカギの煙草の火を私のにも付けようとしているんだ。
「息、吸って」
伏し目がちなアカギはいつもより憂いを帯びていて、くらっとする。こんなに近いから、まるでキスをしているかのように錯覚してしまう。
私は、言われた通りに、アカギの呼吸に合わせて吸った。すると、文字通りぴったり息が合ったのか、すぐに火がついた。
「すごい、付いた」
「吸ってみなよ」
離れながらアカギがそう言って、お手本のようにフーと煙を吐いた。
私は、ものは試しと、見よう見まねで煙を吸ってみた。口の中いっぱいに煙のようなものが広がる。初めての感覚だ。
とりあえず、それを口から吐いてみた。
「こほっ……、どう?」
「ま……いいんじゃない。肺には入れてないみたいだけど」
「肺に……?」
「一度煙を吸ってから深呼吸するようにしたら肺に入れられる。あんたはしなくていいよ」
「うん、でも、香りは好きよ」
「そう。それは良かった」
アカギは気まぐれに、私に煙を吹きかけた。
「ちょっと! ……それにしても、さっきみたいな火の付け方があるなんて知らなかった」
「ああ、あれね」
私はさっきのことを思い出して、煙草をじっと見た。
「どんなものなのか、試してみたくてね。ちょうど、マッチも切れそうだったから」
「なるほどね」
私は、手に持った煙草をどうしようか迷った。
とりあえず肺には入れずにふかしてみるものの、なんだか自分には似合わない気がする。
「ほら」
アカギは灰皿を寄越した。
「吸わないんなら、消しな。あんまり吸ってると、離れられなくなるぜ。」
「ん……分かった」
アカギと同じ煙草を吸うのも良いなと思ったけれど、やっぱり私は見ているのが好きだから、ぐりぐりと押し付けるようにして火を消した。
まだ長い煙草が灰皿に残される。
少し勿体無かったかな、と思うけれど、これ一本のおかげでアカギと接近できたのだから、安いものよね。
そう言えば、アカギはマッチが切れそうだったから、さっきみたいな火の付け方をしたと言っていた。
なんて運が良いんだろう。
ほんと良かったわ、
景品でライターも貰ってたことを言わずに。
「……っ」
目を見開いて、何も言えない私。
「こっち」
後頭部に手が添えられた。と思えば、引き寄せられて、さらに距離を縮める。
私の咥えた煙草の先が、アカギの火の付いた煙草に触れた。
そして、やっと理解した。
手持ち花火を付ける時のように、アカギの煙草の火を私のにも付けようとしているんだ。
「息、吸って」
伏し目がちなアカギはいつもより憂いを帯びていて、くらっとする。こんなに近いから、まるでキスをしているかのように錯覚してしまう。
私は、言われた通りに、アカギの呼吸に合わせて吸った。すると、文字通りぴったり息が合ったのか、すぐに火がついた。
「すごい、付いた」
「吸ってみなよ」
離れながらアカギがそう言って、お手本のようにフーと煙を吐いた。
私は、ものは試しと、見よう見まねで煙を吸ってみた。口の中いっぱいに煙のようなものが広がる。初めての感覚だ。
とりあえず、それを口から吐いてみた。
「こほっ……、どう?」
「ま……いいんじゃない。肺には入れてないみたいだけど」
「肺に……?」
「一度煙を吸ってから深呼吸するようにしたら肺に入れられる。あんたはしなくていいよ」
「うん、でも、香りは好きよ」
「そう。それは良かった」
アカギは気まぐれに、私に煙を吹きかけた。
「ちょっと! ……それにしても、さっきみたいな火の付け方があるなんて知らなかった」
「ああ、あれね」
私はさっきのことを思い出して、煙草をじっと見た。
「どんなものなのか、試してみたくてね。ちょうど、マッチも切れそうだったから」
「なるほどね」
私は、手に持った煙草をどうしようか迷った。
とりあえず肺には入れずにふかしてみるものの、なんだか自分には似合わない気がする。
「ほら」
アカギは灰皿を寄越した。
「吸わないんなら、消しな。あんまり吸ってると、離れられなくなるぜ。」
「ん……分かった」
アカギと同じ煙草を吸うのも良いなと思ったけれど、やっぱり私は見ているのが好きだから、ぐりぐりと押し付けるようにして火を消した。
まだ長い煙草が灰皿に残される。
少し勿体無かったかな、と思うけれど、これ一本のおかげでアカギと接近できたのだから、安いものよね。
そう言えば、アカギはマッチが切れそうだったから、さっきみたいな火の付け方をしたと言っていた。
なんて運が良いんだろう。
ほんと良かったわ、
景品でライターも貰ってたことを言わずに。