14.ひとり*
名前変換はコチラから
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
翌日には、アカギの熱は下がった。
アカギはいつも通りの態度に戻り、私に囁いた甘い言葉なんて、もう忘れているみたい。
ただ、「助かった」と言ってくれた。
もちろん、私にはそれで十分だった。
けれど。
アカギが弱っていて、私を頼っていたという、あの状況。私がそう簡単に忘れられるはずもなく、その記憶は私の劣情を煽った。
そもそも、あの日——私が連れ込み宿に連れ込まれた日——のことも、現実だとは思えない。鮮明に記憶が残っているわけでもないし。
それなのに、そんな事実があった、ということを思い出すだけで、私の身体はもう一度それを求め始める。
なんていうか、私も若い女ではある。
逆に今まで、アカギと一緒に暮らしているからって、そういう欲を我慢してきた方がすごいんだ。だから、そう、私が今、自分で自分を慰めたとしても、そう違和感はない。
正直、早くそうしたいところはある。
全く、アカギのせいで。
あんな姿見せつけられたら、私だって欲情しちゃうの。
とは言え、一応私は居候の身。人ん家でするのは気がひける。でも、他の場所も知らないし、他の男に抱かれるのも駄目だ。
仕方ない。タイミングを見計らうしかない。
アカギがいない時間帯に、ちゃちゃっと済ませよう。
そう決めた。
「アカギ、今日はいつ帰ってくる?」
「……特に時間を決めてはないけど。あんたもそれは知ってるでしょ?」
「ああ、うん。そうよね……。ちょっと気になっただけなの」
「ん。じゃ、行ってくる」
よし、行った……。とりあえず、すぐに帰ってくるようなことはないだろうから、今済ませてしまおうか。アカギにしては珍しく、昼から出掛けているし。
そう思った、刹那。
「あ、東雲」
「きゃああ⁈」
アカギがふと顔を見せた。
この後、服を脱いで手で済まそうと思っていた私は、腰を抜かす。
「なんでそんな驚いてるの……」
「いや、行ったかと思ったから……それだけ」
「そう」
「どうして戻ってきたの?」
「これ」
アカギは忘れたマッチ棒を片手でひょいと取ると、
「行ってくる」
と外に出ていった。
……駄目だ。
おそらくアカギが帰ってこないにしても、なんだか不安で、事に及べない。
どうせするなら、快感に身を任せたいし、こんな中途半端じゃ、イけそうもないな。
……声も出せないだろうし。
私は、その日はやめておくことにした。
だが、その、「したかったのにできなかった」という悪い結果は、さらにその欲を増大させることとなった。
(……したい)
アカギはいつも通りの態度に戻り、私に囁いた甘い言葉なんて、もう忘れているみたい。
ただ、「助かった」と言ってくれた。
もちろん、私にはそれで十分だった。
けれど。
アカギが弱っていて、私を頼っていたという、あの状況。私がそう簡単に忘れられるはずもなく、その記憶は私の劣情を煽った。
そもそも、あの日——私が連れ込み宿に連れ込まれた日——のことも、現実だとは思えない。鮮明に記憶が残っているわけでもないし。
それなのに、そんな事実があった、ということを思い出すだけで、私の身体はもう一度それを求め始める。
なんていうか、私も若い女ではある。
逆に今まで、アカギと一緒に暮らしているからって、そういう欲を我慢してきた方がすごいんだ。だから、そう、私が今、自分で自分を慰めたとしても、そう違和感はない。
正直、早くそうしたいところはある。
全く、アカギのせいで。
あんな姿見せつけられたら、私だって欲情しちゃうの。
とは言え、一応私は居候の身。人ん家でするのは気がひける。でも、他の場所も知らないし、他の男に抱かれるのも駄目だ。
仕方ない。タイミングを見計らうしかない。
アカギがいない時間帯に、ちゃちゃっと済ませよう。
そう決めた。
「アカギ、今日はいつ帰ってくる?」
「……特に時間を決めてはないけど。あんたもそれは知ってるでしょ?」
「ああ、うん。そうよね……。ちょっと気になっただけなの」
「ん。じゃ、行ってくる」
よし、行った……。とりあえず、すぐに帰ってくるようなことはないだろうから、今済ませてしまおうか。アカギにしては珍しく、昼から出掛けているし。
そう思った、刹那。
「あ、東雲」
「きゃああ⁈」
アカギがふと顔を見せた。
この後、服を脱いで手で済まそうと思っていた私は、腰を抜かす。
「なんでそんな驚いてるの……」
「いや、行ったかと思ったから……それだけ」
「そう」
「どうして戻ってきたの?」
「これ」
アカギは忘れたマッチ棒を片手でひょいと取ると、
「行ってくる」
と外に出ていった。
……駄目だ。
おそらくアカギが帰ってこないにしても、なんだか不安で、事に及べない。
どうせするなら、快感に身を任せたいし、こんな中途半端じゃ、イけそうもないな。
……声も出せないだろうし。
私は、その日はやめておくことにした。
だが、その、「したかったのにできなかった」という悪い結果は、さらにその欲を増大させることとなった。
(……したい)