13.熱帯
名前変換はコチラから
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「熱、下がったかしら?」
私は、今日何回目か分からない、アカギの額チェックを行った。
「あんまり下がってない……。まだしんどいでしょ?」
「別に、大したことないよ」
そう言いながら、ふ……っと笑ったアカギが、いつもよりも弱々しく見えて、私は庇護欲のようなものを掻き立てられるのを感じた。
「大したことなくても、私はあなたが治るまで看病するから」
「……びょーき、伝染 るかもしれないのに」
私は言った。
「それはその時考える。だって、アカギ……やっぱり、ちょっと辛そうだもん」
「……そうか?」
アカギは、ふと上半身を起こして、辺りを見回した。
「さがしもの?」
尋ねると、アカギは私を見た。
「煙草。」
「タバコ? 今はやめておく方が良いと思うけど」
「吸ってないと、口寂しくてね」
「でも……」
私は、さっき取り出しておいた煙草ケースを向こうから取ってきた。
「見て。雨に濡れて湿気ってる」
「……これじゃ吸えない」
アカギが言った。なんだか寂しそうで、かわいい。私は、ふとポケットの中に手を入れ、いつの日かもらった飴玉を取り出した。
「飴って、代わりになったりする?」
「さあ、どうかな」
アカギは「あ」と口を開けた。私は包み紙を取って、その中へコロンと投げ込んでやる。
アカギはころころと飴玉を転がした。
「甘い」
「そりゃ、飴だもの」
アカギは、無言で飴を舐めた。
が、途中で、急にガリガリと噛み始め、食べ終わってしまった。
「風呂、入る」
アカギが立ち上がろうとしたので、私が慌てて止める。
「だから! 熱出てる時は入らない方が良いって」
「そうなの?」
じゃあ、どうするの、とアカギが聞くので、私はまたタオルを濡らし、手渡した。
「これで体を拭くと良いわ。私、向こうにいるから」
流石にこれは手伝えないだろう。アカギも、私の目が気になるだろうし。……と思って向こうに行こうとすると、アカギが、
「東雲が拭いてくれるんじゃないんだ」
と、ぽつりと言った。
「だって……。別に、手伝っても良いけど……」
歯切れ悪く私が言うと、アカギは私をじっと見た。
「じゃあ、やって」
私は、喉をゴクリと鳴らした。
私は、今日何回目か分からない、アカギの額チェックを行った。
「あんまり下がってない……。まだしんどいでしょ?」
「別に、大したことないよ」
そう言いながら、ふ……っと笑ったアカギが、いつもよりも弱々しく見えて、私は庇護欲のようなものを掻き立てられるのを感じた。
「大したことなくても、私はあなたが治るまで看病するから」
「……びょーき、
私は言った。
「それはその時考える。だって、アカギ……やっぱり、ちょっと辛そうだもん」
「……そうか?」
アカギは、ふと上半身を起こして、辺りを見回した。
「さがしもの?」
尋ねると、アカギは私を見た。
「煙草。」
「タバコ? 今はやめておく方が良いと思うけど」
「吸ってないと、口寂しくてね」
「でも……」
私は、さっき取り出しておいた煙草ケースを向こうから取ってきた。
「見て。雨に濡れて湿気ってる」
「……これじゃ吸えない」
アカギが言った。なんだか寂しそうで、かわいい。私は、ふとポケットの中に手を入れ、いつの日かもらった飴玉を取り出した。
「飴って、代わりになったりする?」
「さあ、どうかな」
アカギは「あ」と口を開けた。私は包み紙を取って、その中へコロンと投げ込んでやる。
アカギはころころと飴玉を転がした。
「甘い」
「そりゃ、飴だもの」
アカギは、無言で飴を舐めた。
が、途中で、急にガリガリと噛み始め、食べ終わってしまった。
「風呂、入る」
アカギが立ち上がろうとしたので、私が慌てて止める。
「だから! 熱出てる時は入らない方が良いって」
「そうなの?」
じゃあ、どうするの、とアカギが聞くので、私はまたタオルを濡らし、手渡した。
「これで体を拭くと良いわ。私、向こうにいるから」
流石にこれは手伝えないだろう。アカギも、私の目が気になるだろうし。……と思って向こうに行こうとすると、アカギが、
「東雲が拭いてくれるんじゃないんだ」
と、ぽつりと言った。
「だって……。別に、手伝っても良いけど……」
歯切れ悪く私が言うと、アカギは私をじっと見た。
「じゃあ、やって」
私は、喉をゴクリと鳴らした。